加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Thelonious Monk Quartet with John Coltrane At Carnegie Hall (Blue Note) 1957」発掘された幻の共演

Thelonious Monk Quartet with John Coltrane At Carnegie Hall (Blue Note)」は、2005年に発売された全世界待望の発掘盤。

正規録音が無い「ファイブ・スポット伝説」を裏付ける演奏でもあります。


1957年、麻薬の常習癖を理由に、マイルスのバンドをクビになったジョン・コルトレーンJohn Coltrane)。

セロニアス・モンクThelonious Monk)の温情で、彼のカルテットに参加したコルトレーンは、1957年夏頃に出演したファイブ・スポットにて、モンクに触発されてか飛躍的な成長を遂げ、「伝説的な演奏」を繰り広げたそうです。

正規録音が存在しないため、「伝説的な演奏」だったという噂だけが、世界中のファンの間で語り継がれていたようです。

 


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なお、1993年にはネイマ夫人(当時)によって録音されたプライベートテープが、「Live At The Five Spot Dicovery!」として正規に発売されましたが、音質・バランスとも満足いくものではなかった模様。

 

 


さて、「Thelonious Monk Quartet with John Coltrane At Carnegie Hall (Blue Note)」
として発売された演奏は「Thanksgiving Jazz」と題された慈善コンサートの実況録音。

 

アメリカの国営放送局「Voice of America」が録音したもので、2005年まで米国議会図書館にて、誰もが存在すら忘れたまま保管されていた模様。

 

2005年に米国議会図書館の技師により偶然発見されたテープを、発掘男の異名を持つマイケル・カスクーナ(Michael Cuscuna)と、モンクの息子でジャズ・ドラマーでもあるT.S.モンク(T.S. Monk)によって修復された後、ブルーノート(Blue Note Records)より正規に発売されました。

 

国営放送局による録音なんで、音質良好。

モンクとコルトレーンの息の合った演奏を、お茶の間に居ながら聴くことが出来ます。

 


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私はリズミックな「Bye-Ya」とか、好きです。

 

まあ、大名盤「Blue Train (Blue Note BST-81577)」を録音して3ヶ月後のコルトレーンですから、マシンガンのように吹きまくっております。

 

Thelonious Monk Quartet with John Coltrane At Carnegie Hall (1957)
Blue Note 0946 3 35173 2 5 / 東芝EMI TOCJ-66280 [2005.09.22]

Early Show
01. Monk's Mood (Thelonious Monk)  7:52
02. Evidence (Thelonious Monk)  4:41
03. Crepuscule With Nellie (Thelonious Monk)  4:26
04. Nutty (Thelonious Monk)  5:03
05. Epistrophy (Kenny Clarke, Thelonious Monk)  4:29

Late Show    
06. Bye-Ya (Thelonious Monk)  6:31
07. Sweet And Lovely (Daniels, Arnheim, Tobias)  9:34
08. Blue Monk (Thelonious Monk)  6:31
09. Epistrophy (Incomplete) (Kenny Clarke, Thelonious Monk)  2:24


John Coltrane (ts) Thelonious Monk (p) Ahmed Abdul-Malik (b) Shadow Wilson (ds) 
November 29, 1957 at Carnegie Hall, NYC.

 

 

 

「Thanksgiving Jazz」と題された慈善コンサートに参加したミュージシャンは他に、ビリー・ホリディ(Billie Holiday)、ディジー・ガレスピーDizzy Gillespie)、レイ・チャールス(Ray Charles)、ソニー・ロリンズSonny Rollins)、チェット・ベイカーズート・シムズChet Baker with Zoot Sims)という顔ぶれだった模様。

 

ディスコグラフィの類を調べてみると、その時の録音は発売されてない感じですが、晩年のビリー・ホリディとか興味深いんで、録音の発掘が期待されます。

 

試しにコルトレーンが1957年に残した録音を眺めると、ハードバップ時代の名演が続いております。

 

1957年05月31日、初リーダーアルバム「John Coltrane - Coltrane (Prestige PRLP 7105)」録音

 

 

Monk's Music

Monk's Music

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1957年06月、「Thelonious Monk - Monk's Music (Riverside RLP 12-242)」に参加。

 

 

1957年07月、「Thelonious Monk With John Coltrane (Jazzland JLP 46)」に参加。

 

Blue Train

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1957年09月15日、大名盤「John Coltrane - Blue Train (Blue Note BST-81577)」録音。

 

ネット眺めてたら、翌年のファイブ・スポットでの演奏が出てますね。さあて、どんなもんだか。