加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Miles Davis - In A Silent Way (Columbia) 1969」静寂の中繰り広げられる新たなる音楽表現

マイルス・デイヴィスMiles Davis)の「In A Silent Way (Columbia CS-9875)」は、「Miles In The Sky (Columbia CS-9628)」、「キリマンジャロの娘 Filles De Kilimanjaro (Columbia CS-9750)」と続くエレクトリック路線のアルバム第3弾であります。

 

「Miles Davis - In A Silent Way (Columbia) 1969」静寂の中繰り広げられる新たなる音楽表現

 

「静寂の中繰り広げられる新たなる音楽表現」とでも書いたらいいのでしょうか?


エレクトリック時代に突入したマイルスは、アルバム毎に異なるアプローチを試しております。


なお、ジャケットの下に小さく「Directions In Music by Miles Davis」と書かれている通り、マイルス本人が曲の編曲にまで関わり、「In A Silent Way」では、大幅な改変を施し、作曲者のジョー・ザヴィヌルから嫌がられた模様。

 

リハーサルで沢山のコードが書かれた楽譜を見たマイルスが「(コードを無視し)メロディだけを元に演奏する様」指示したそうで、後にジョー・ザヴィヌルは「(自分の意図を無視した)あの演奏は嫌いだ」と発言したみたいですが、マイルスは「良い演奏が出来たから、(結果的に)良かったじゃないか」と自己肯定的な発言を自叙伝に残しております・・・。

 

 

まあ、この辺りは音楽家同士のプライドとか意地に関わる部分なので、音楽鑑賞の際には無用なのかもしれませんが、興味深い話なので、あえて載せておきます。

 

 

「In A Silent Way (Columbia CS-9875)」で聴かれる演奏メンバーは、マイルス・デイヴィスMiles Davis)の他、テナーからソプラノ・サックスに持ち替えたウェイン・ショーターWayne Shorter)、オルガンのジョー・ザヴィヌルJoe Zawinul)、エレクトリック・ピアノチック・コリアChick Corea)とハービー・ハンコックHerbie Hancock)、ギターのジョン・マクラフリンJohn McLaughlin)、エレクトリック・ベースのデイブ・ホランドDave Holland)、そしてドラムスのトニー・ウィリアムスTony Williams)。

 

ジョー・ザヴィヌルのオルガンが加わりキーボードが3人で、そこにギターのジョン・マクラフリンが加わりコード楽器が大幅に増設されてますね。

 

この時期のマイルスのバンドは、ドラムスがジャック・ディジョネットJack DeJohnette)に代わり、キーボードもチック・コリアだったそうですが、この録音の為にトニーとハービーを呼び戻したとの事。

 

イギリス出身のギタリスト、ジョン・マクラフリンは、トニー・ウィリアムスの新バンド「Lifetime」で演奏を聴いたマイルスが気に入り、録音に参加させた模様。

 

 

1曲目「Shhh / Peaceful」は、レコード時代にはA面に相当する18分もののメドレーです。

 


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ドラムスのトニー・ウィリアムスとエレクトリック・ベースのデイブ・ホランドに延々、突っ込み気味の単純なシャッフル・ビートを刻ませる一方、オルガンと2台のエレクトリック・ピアノ、そしてギターに、単純なバッキングとは異なる「装飾的な演奏」をさせている事が興味深いですね。

 

そこに乗っかるマイルスのソロは軽快そのもの。

 

コード進行ではなくメロディを演奏の中心に据える手法は、1959年に録音された大ベストセラー・アルバム「Kind Of Blue (Columbia CS-8163)」に通じるものを感じます。

 

 

 

形容しがたい「浮遊感」の中、ジョン・マクラフリンウェイン・ショーターとソロが続きます。

 

 

 

2曲目「In A Silent Way / It's About That Time」は、レコード時代にはB面に相当する、約20分にも及ぶメドレーです。

 


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雲の上にでも居るかの様なふわふわした「浮遊感」の中、ギターのイントロで「In A Silent Way」の演奏はスタートしますが、このメロディのみを生かした「浮遊感」が、マイルスが求めていたサウンドなんでしょうし、リハーサル時に提示された譜面に記載されたコードがあったら、こんな「浮遊感」は生まれなかったでしょうね・・・。

 

4分を過ぎた辺りで演奏は「It's About That Time」に変わりますが、この唐突感は多分、テープを繋いだせいでしょう。

 

1曲目のメドレー同様、ドラムスとベースに定型のリズム・パターンを刻ませ、ギター、オルガンとキーボード2台がサウンドの彩を添える役目を担っている感じですか。

 

マイルスのソロの途中、いきなりドラムスが盛り上げる叩き方に変え、しばらくして元の定型ビートに戻る演出があったりと、長尺の演奏ですが飽きさせない工夫が随所に仕掛けられております。

 


なお、この文章を書くため紅葉を眺めにいく途中、カーステレオで延々、この「In A Silent Way (Columbia CS-9875)」を聴いていたのですが、「浮遊感」溢れる演奏なんで、どうしても聴き流してしまいがちで・・・。

 

家のステレオ装置でじっくり聴かないと、書くべきポイントが見えて来ないですね(苦笑)。

 

 

Miles Davis - In A Silent Way
Columbia CS-9875 / Sony Records SRCS-9117 [1996.09.21]

side 1 (A)
01. Shhh / Peaceful (Miles Davis)  18:19

side 2 (B)
02. In A Silent Way / It's About That Time (Joe Zawinul / Miles Davis)  19:53


Miles Davis (tp) Wayne Shorter (ss) Joe Zawinul (org) Chick Corea (el-p) 
Herbie Hancock (el-p) John McLaughlin (g) Dave Holland (b) Tony Williams (ds) 

February 18, 1969 at Columbia Studio B, NYC.

 

 

 

<1968>
January 16, 1968 at Columbia Studio B, NYC.

Miles Davis - Miles In The Sky (Columbia CS-9628)
Miles Davis - Circle In The Round (Columbia KC2-36278)

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

May 15, 1968 at Columbia Studio B, NYC.
May 16, 1968 at Columbia Studio B, NYC.
May 17, 1968 at Columbia Studio B, NYC.

Miles Davis - Miles In The Sky (Columbia CS-9628)

 

 


June 19, 1968 at Columbia 30th Street Studios, NYC.
June 20, 1968 at Columbia 30th Street Studios, NYC.
June 21, 1968 at Columbia Studio B, NYC.
September 24, 1968 at Columbia Studios, NYC.

Miles Davis - Filles De Kilimanjaro (Columbia CS-9750)

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

Filles De Kilimanjaro

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<1969>
February 18, 1969 at Columbia Studio B, NYC.

Miles Davis - In A Silent Way (Columbia CS-9875)

IN A SILENT WAY

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August 19, 1969 at Columbia Studio B, NYC.
August 20, 1969 at Columbia Studio B, NYC.
August 21, 1969 at Columbia Studio B, NYC.

Miles Davis - Bitches Brew (Columbia GP-26)

Bitches Brew: 40th Anniversary

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