加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Sonny Rollins - Sonny Rollins Plus 4 (Prestige) 1956」ブラウンーローチ・クインテット、最後の輝き

モダンジャズ・テナーサックスの巨人、ソニー・ロリンズSonny Rollins)のアルバムを紹介するにあたり、「クリフォード・ブラウンマックス・ローチの双頭クインテット」関連の話題を断続的に書いてきましたが、その過程で思い出した「裏技的」なアルバムを紹介しておきます。

 

さて、今回紹介するアルバムは、1956年03月22日に録音された「Sonny Rollins Plus 4 (Prestige PRLP-7038)」です。

 

「Sonny Rollins - Sonny Rollins Plus 4 (Prestige) 1956」

 

ソニー・ロリンズSonny Rollins)名義となっておりますが、アルバムジャケットに記載されている通り、実質的にはクリフォード・ブラウンClifford Brown)とマックス・ローチMax Roach)の双頭クインテットのメンバーによる演奏が収録されております。

 

ソニー・ロリンズ名義ではあるものの、「クリフォード・ブラウンマックス・ローチの双頭クインテット」のメンバーが揃って残した、最後の「公式スタジオ録音」という側面もある訳です。

 

近年、クリフォード・ブラウンClifford Brown)関連のライブ録音が発掘され、CDで多数発売されておりますが、あれ?「ブラウンーローチ・クインテット」でこんなの演奏してたかなー?という曲は大体、この「Sonny Rollins Plus 4 (Prestige PRLP-7038)」に収録されていたりします(笑)。

 

しかし、1956年06月末に起きた交通事故により「ブラウンーローチ・クインテット」が空中分解してしまった事は、まったくもって残念、としか言いようがないですね。

 

それではアルバム「Sonny Rollins Plus 4 (Prestige PRLP-7038)」の曲を、簡単に紹介しておきましょう。

 

1曲目、ソニー・ロリンズSonny Rollins)作曲の「Valse Hot」は、3拍子で書かれた曲。

 


www.youtube.com

 

レギュラー・バンドによる安定した演奏と、各メンバーのツボを心得たソロを堪能する事が出来ますが、中でもクリフォード・ブラウンClifford Brown)のソロは「凄い」の一言。

 

2曲目の「Kiss and Run」は、アップテンポの如何にも「ブラウンーローチ・クインテット」らしい1曲であります。

クリフォード・ブラウンがソロ・ブレイクで登場しますが、続くソロは何故かソニー・ロリンズが吹くというあたりは、面白い演出ですね(笑)。

 

3曲目「I Feel a Song Coming On」は、2曲目よりさらにテンポ・アップ。

 


www.youtube.com

 

バックのリズム隊と果敢にソロを展開するフロント陣いずれも、余裕すら感じさせる演奏を聴かせてくれるのは、レギュラー・バンドだから出来る事なんでしょうねえ。


4曲目、バラッド調の「Count Your Blessings (Instead of Sheep)」は、クリフォード・ブラウンが抜け、ソニー・ロリンズがワンホーンで演奏される曲。

リッチー・パウエル(Richie Powell)の短いながらも印象的なピアノ・ソロが心に沁みます。

 

5曲目、アルバム最後を飾るソニー・ロリンズSonny Rollins)作曲の「Pent-Up House」はフロントの二人に加え、ピアノもテーマをユニゾンで演奏するという珍しい演奏です。

 


www.youtube.com

 

最初に登場するクリフォード・ブラウンClifford Brown)の安定したソロ、続いて登場するソニー・ロリンズSonny Rollins)の奔放極まりないソロも聴きどころではあるんですが。

各々のソロのバックで、マックス・ローチMax Roach)が笑顔を見せつつも、容赦なく演奏を焚きつけるというか、煽りまくっている光景が目に浮かびますね(笑)。

 

まあ、クリフォード・ブラウンClifford Brown)とソニー・ロリンズSonny Rollins)の息の合ったコンビネーションは勿論、マックス・ローチMax Roach)の容赦ない煽り(笑)を心ゆくまでお楽しみ下さいませ。

 

Sonny Rollins - Sonny Rollins Plus 4 
Prestige PRLP-7038 / OJC-243 / Victor Entertainment VICJ-60321 [1999.08.04]


Side 1 (A)
01. Valse Hot (Sonny Rollins)  8:40
02. Kiss and Run (Sam Coslow)  7:11

 

Side 2 (B)
03. I Feel a Song Coming On (Dorothy Fields, Jimmy McHugh, George Oppenheimer)  5:16
04. Count Your Blessings (Instead of Sheep) (Irving Berlin)  2:33
05. Pent-Up House (Sonny Rollins)  8:53


Clifford Brown (tp #1-3,5) Sonny Rollins (ts) Richie Powell (p) George Morrow (b)

Max Roach (ds) 

March 22, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

 

プラス・フォー

プラス・フォー

Amazon

 

蛇足ですが、最初にOJC盤のアナログレコードで購入した時、収録時間が片面15分程度と短か過ぎるためカセットテープに録音する事をせず、殆ど聴かずに放置した事を思い出しました(笑)。収録時間が短いから、音は良いはずなんですけどね。

 

最後に、1956年06月末の悲劇が起こるまでに残されたアルバム群を紹介しておきます。

 

●January 4, 1956 in NYC.
Clifford Brown And Max Roach At Basin Street (EmArcy MG-36070)

アット・ベイズン・ストリート +8

アット・ベイズン・ストリート +8

Amazon

 


●March 22, 1956 in NYC.
Sonny Rollins Plus 4  (Prestige PRLP-7038)

 


●May 24, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Sonny Rollins - Tenor Madness (Prestige PRLP-7047)

テナー・マッドネス

テナー・マッドネス

Amazon

 

 

●June 22, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Sonny Rollins - Saxophone Colossus (Prestige PRLP-7079)