ブルーノート(Blue Note Records)で「洗練されたブルース・フィーリング」と言って真っ先に思い浮かべるのがギタリストのケニー・バレル(Kenny Burrell)。
そんな洗練されたブルージーな感覚を備えるケニー・バレルを主役に据え、あえてブルージーな曲多めに演奏してみしたアルバムが、今回ご紹介する「Midnight Blue (Blue Note BST-84123)」です。
シンプルなギター・トリオによる演奏をメインとし、ケニー・バレルの無伴奏ソロであったり、曲によりコンガやソウルフルなテナーを加える事で多彩性を持たせたりと、さりげなく聴き飽きない工夫が凝らされたアルバムであったりします。
このアルバムを聴くと、都会の高層マンションから夜景を眺め、ウイスキー片手にJBLのスピーカーか、BOSEのシステムからさりげなく流れているBGM・・・という情景を思い浮かべてしまいますが、我々庶民には無縁の光景であり、完全なる絵空事です(笑)。
さて1曲目、ブルースのコード進行で書かれた「Chittlins Con Carne」は、ギター・トリオにスタンレー・タレンタイン(Stanley Turrentine)のテナー・サックスと、レイ・バレット(Ray Barretto)のコンガが加わるという、要するに演奏メンバー全員参加のソウルフルなブルースです。
そういえば、「Chittlins Con Carne」はブルースのコード進行で書かれた曲なんで、私が率いた臨時編成のジャズ・バンドでも、演奏した事ありましたね。
確か、今でも入手可能な海外の出版社が発売したブルースだけ集めた楽譜に、「Chittlins Con Carne」が収録されておりましたね。
2曲目はケニー・バレルとベーシスト、メジャー・ホリー(Major Holley Jr.)との競作「Mule」。ギター・トリオによる落ち着いた演奏です。
3曲目、ケニー・バレルの無伴奏ソロによる「Soul Lament」は、アルバム一番の聴き所だと思います。
ケニー・バレルの都会的に洗練されたギター・プレイ、心ゆくまでお楽しみ下さい。
4曲目、ケニー・バレル作曲のタイトル曲「Midnight Blue」は、ギター・トリオ+コンガという珍しい編成での演奏。
ミディアム・テンポで、ケニー・バレルのシングル・トーンによるソロを堪能出来る1曲となります。
5曲目、ケニー・バレル作曲の「Wavy Gravy」は全員参加する3拍子の曲。押さえ気味にブローするスタンレー・タレンタイン(Stanley Turrentine)が良い味出しております。
6曲目の「Gee Baby Ain't I Good To You」は再び、シンプルなギター・トリオによる演奏。
7曲目、ケニー・バレル作曲の「Saturday Night Blues」は全員参加。ソウルフルな演奏で、ここでもスタンレー・タレンタインの演奏が光ります。
CD追加曲である8曲目「Kenny's Sound」は軽快な曲。
CD追加曲の9曲目「K Twist」は、トリオで演奏されております。
Kenny Burrell - Midnight Blue +2 (RVG)
Blue Note BST-84123 / Blue Note 7243 4 95335 2 3 [1999]
side 1 (A)
01. Chitlins Con Carne (Kenny Burrell) 5:25
02. Mule (Major Holley Jr. - Kenny Burrell) 6:53
03. Soul Lament (Kenny Burrell) 2:39
04. Midnight Blue (Kenny Burrell) 3:59
side 2 (B)
05. Wavy Gravy (Kenny Burrell) 5:43
06. Gee Baby, Ain't I Good To You (Andy Razaf, Don Redman) 4:21
07. Saturday Night Blues (Kenny Burrell) 6:13
CD Bonus Tracks
08. Kenny's Sound (Kenny Burrell) 4:39
09. K Twist (Kenny Burrell) 3:35
Stanley Turrentine (ts #1,2,5,7,8) Kenny Burrell (g)
Major Holley Jr. (b omit #3) Bill English (ds omit #3)
Ray Barretto (conga #1,4,5,7,8,9)
January 8, 1963 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
なお、初期に発売されたCDは、中~低音が薄っぺらい印象がありますので、この「Midnight Blue (Blue Note BST-84123)」に関しては、RVGリマスターのCDか、アナログレコードで聴く事を推奨しておきます。