最初に買ったアナログレコードの帯に「ジャズ喫茶で流れていた”枯葉”はコレだ!」と書かれていた記憶がある、かなり個性的な「枯葉」の演奏が印象的なアルバム「Cookin' (SAVOY MG-12154)」。
テナーサックス奏者ブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)のリーダーアルバムではありますが、私的にはトランペット奏者のリチャード・ウィリアムス(Richard Williams)を聴くためのアルバムだったりします。
前にブルーノート(Blue Note Records)の看板アーティスト、スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)のライブ「Up At Minton's Vol. 1 (Blue Note BST-84069)」と、「Up At Minton's Vol. 2 (Blue Note BST-84070)」。
これらの2枚のライブを「どす黒過ぎる演奏」と形容しましたが、癖のあるテナーサウンドが売りのブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)はそれ以上。
濃度で形容すると、軽く3倍濃縮位は、いってる気がします。

Booker Ervin - Cookin'
SAVOY MG-12154
side 1 (A)
01. Dee Da Doo (B.Ervin) 7:30
02. Mr. Wiggles (B.Ervin) 5:17
03. You Don't Know What Love Is (D.Raye-G.DePaul) 7:22
side 2 (B)
04. Down In the Dumps (B.Ervin) 6:11
05. Well, Well (B.Ervin) 9:50
06. Autumn Leaves (Prevert-Kosma) 7:00
Richard Williams (tp) Booker Ervin (ts) Horace Parlan (p) George Tucker (b)
Dannie Richmond (ds)
November 26,1960 in NYC.
なんてったってバックは、ピアノのホレス・パーラン(Horace Parlan)、ベースのジョージ・タッカー(George Tucker)という「Us Three」トリオの2人に、ドラムが、チャールズ・ミンガス・バンドのダニー・リッチモンド(Dannie Richmond)が加わるピアノ・トリオ。
メンバーを書き出しただけでも、ブルース&ファンキー臭さで悶絶しそうというか、「くさやの干物」並みの旨みと破壊力があります。
そんな(とんでもない)メンバーに囲まれたお蔭(?)で、トランペットのリチャード・ウィリアムス(Richard Williams)も、大健闘しております。
癖のあるメンバーに囲まれたためか、「傷跡を残す」的に逆に張り切ったいい演奏を残すというか、フロント陣のコントラストが結構強くなる感じ。
例えば、「Eric Dolphy - Outward Bound (New Jazz NJLP 8236)」に参加して好演を残した、フレディ・ハバード(Freddie Hubbard)。
あるいは知性と破壊性を併せ持つ、ドナルド・バード(Donald Byrd)とペッパー・アダムス(Pepper Adams)のファンキー・チームとか・・・。
有名どころでは、2026年で生誕100周年を迎えるマイルス・デイビス(Miles Davis)と
ジョン・コルトレーン(John Coltrane)のコンビもそうですね。
さて、アルバム「Cookin' (SAVOY MG-12154)」の話に戻します。
ブッカー・アーヴィン(Booker Ervin)自作の4曲は、テンポは違えど「ブルース&(ド)ファンキーで全て説明され尽くされる気がします。ジャズ版のくさやの干物・・・噛めば噛むほど旨みが増します(笑)。
中でも5曲目、スロー・(ド)ブルースの「Well, Well」で、ピアノのホレス・パーラン(Horace Parlan)お得意のワン・フレーズ攻撃が堪能出来ます。
コードが替わっても呪文のように、延々と同じフレーズを繰り返すパーラン・・・そこから抜け出した時の開放感!を知ってしまうと最後・・・あなたもパーランの虜に(笑)。
あと面白いのが、スタンダードの2曲、バラッド仕立ての3曲目「恋とはなんでしょう(You Don't Know What Love Is)」と、(ド)ファンキー風に味付けされたシャンソン・ナンバーの6曲目「枯葉(Autumn Leaves)」でしょう。
3曲目の「恋とはなんでしょう(You Don't Know What Love Is)」は、無理やり形容すると「漢(おとこ)泣き」みたいな演奏ですね(なんのこっちゃ)。
江口寿史のギャグ漫画に出てくる(古い形容でスイマセン)ふんどし一丁の角刈りのごついオニーサンが、雨降り注ぐ崖淵で涙を流しながらテナーを演奏するみたいな・・・(笑)。
アルバム最後を飾る6曲目「枯葉(Autumn Leaves)」、ドラムのダニー・リッチモンド(Dannie Richmond)が叩き出すシャッフル気味のリズムに乗り、ミュートを付けたトランペットのリチャード・ウィリアムス(Richard Williams)が好演を聴かせてくれます。
ミュートでそこまで吹かなくとも・・・と思うくらい、畳み掛けるように音符を並べてくる感じはホント、「Outward Bound 」で演奏するフレディ・ハバード(Freddie Hubbard)みたい。
話は飛びますが、ファンキーなキャノンボール&ナットのアダレイ兄弟が演奏する「枯葉」を聴いたこと無いんですが、彼らは「Somethin' Else (Blue Note BST-81595)」のバージョンで演奏しているのでしょうか・・・。
学生の頃、ナット・アダレイ(Nat Adderley)のクインテットを、「新潟県民会館」脇の特設会場で聴いたことがあるんですが、モロに「Somethin' Else (Blue Note BST-81595)」バージョンで演奏してましたね。
その時のドラムが、ジミー・コブだったためかもしれませんが。
懐かしい・・・あ、そういえば私も大学の時、演奏した(されられた)し、最近結成したジャズ・バンドでもイントロの雰囲気だけ真似しておりました。

