加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Miles Davis - Bags' Groove (Prestige) 1954」喧嘩セッションの真実は

マイルス・デイヴィスMiles Davis)の「Bags' Groove (Prestige PRLP-7109)」は、通称「喧嘩セッション」と呼ばれる録音を含むアルバム。

 

1、2曲目は1954年12月24日、クリスマス・イブの日に録音され、日本では通称「喧嘩セッション」と呼ばれております。

 

「Miles Davis - Bags' Groove (Prestige) 1954」喧嘩セッションの真実は

マイルス・デイヴィスMiles Davis)の他、モダン・ジャズの巨人であるミルト・ジャクソンMilt Jackson)のヴィヴラフォン、セロニアス・モンクThelonious Monk)のピアノ、パーシー・ヒース(Percy Heath)のベース、ケニー・クラークKenny Clarke)のドラムという編成です。

 

なおこの時の録音が「喧嘩セッション」では無かった事を、マイルスは自叙伝で切々と訴えております。

 

モンクのバッキングで弾く和声進行のボイシングがマイルスのトランペットにマッチしない為、マイルスが「自分がトランペット(ソロ)を吹いている間は休んでいて欲しい」と言い、モンクも素直に従っただけというのが、「喧嘩セッション」の真相という訳です。

もしもマイルスのバックでモンクがバッキング弾いてたら、あれほどまでにクールなソロは出来なかったと思われます。

 

さて、「Bags' Groove」は、ミルト・ジャクソンMilt Jackson)自作のブルースです。

 

1曲目「Bags' Groove [take 1]」、ミルト・ジャクソンMilt Jackson)のクールなヴィヴラフォンが、演奏を一層格調高くしておりますね。

 


www.youtube.com

 

ミュート・プレイでクールにキメるマイルスのソロも好調。次に登場するミルト・ジャクソンのソロでバッキングを弾き出すセロニアス・モンクを聴くと、マイルスのソロには合わんよなー、と妙に納得してしまいます(笑)。

3番目に登場するセロニアス・モンクの独特すぎるピアノ・ソロも、真面目に聴き直してみると味わい深いものがありますね。

 

2曲目「Bags' Groove [take 2]」は、「Take 1」よりややユル目の演奏です。

 

 

3~7曲目は1954年06月29日の録音で、ソニー・ロリンズSonny Rollins)のテナーサックス、ホレス・シルヴァーHorace Silver)のピアノ、パーシー・ヒース(Percy Heath)のベース、ケニー・クラークKenny Clarke)のドラムという編成。

 

「Airegin」、「Oleo」、「Doxy」は、いずれもソニー・ロリンズSonny Rollins)の作品であり今日、モダン・ジャズを演奏する際の定番曲になっておりますね。

 

3曲目「Airegin」は当時、アフリカに興味があったロリンズが「Nigeria」を逆さにして曲名にしたらしいです。

 


www.youtube.com

 

ロリンズとマイルスの緊張感溢れる演奏に、ホレス・シルヴァーのバッキングが絶妙に絡む感じがよろしいです。


4曲目「Oleo」は、バターの安い代用品「オレオ・マーガリン」から命名された曲なんだそうです。

マイルスの自叙伝によると、ジャッキー・マクリーンJackie McLean)がジョージ・ウォーリントン(George Wallington)のバンドでやっていた「ペッキング奏法」を取り入れた曲なんだそうで、マイルスもロリンズも軽快なソロを聴かせてくれます。


6曲目「Doxy」は、ミディアムテンポで演奏されるファンキーな曲です。

ケニー・クラークが叩き出す上品な4ビートに乗り、マイルスも気持ちよくソロを吹いております。

 

5、7曲目はガーシウィン兄弟が作った「But Not For Me」です。

マイルスの自叙伝を読むと、「アーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal)が演奏していたから録音した」旨の記述がありますね。

 

5曲目「But Not For Me [take 2]」では、マイルスの繊細なミュート・トランペット・ソロ、続くソニー・ロリンズの豪快なテナー・ソロ、3番手のホレス・シルヴァーのファンキーなソロも素晴らしいですが、バックで彼らを引き立てるケニー・クラークのドラムスも聴きどころの一つです。

 


www.youtube.com


7曲目「But Not For Me [take 1]」は、「take 2」より遅めのテンポで演奏されております。

ちょっと緊張感に欠ける感じがするため、「take 2」ではテンポアップしたんだと思います。

 

 

1954年06月29日の録音も、1954年12月24日、クリスマス・イブの日に録音された通称「喧嘩セッション」のいずれも、好調なマイルス・デイヴィスMiles Davis)のソロをお楽しみいただけるかと思います。

 

Miles Davis - Bags' Groove (1954)
Prestige PRLP-7109 / OJCCD-245-2 / Victor Entertainment VICJ-60263 [1999.02.03]

side 1 (A)
01. Bags' Groove [take 1] (Milt Jackson)  11:11
02. Bags' Groove [take 2] (Milt Jackson)  9:19

side 2 (B)
03. Airegin (Sonny Rollins)  4:59
04. Oleo (Sonny Rollins)  5:12
05. But Not For Me [take 2] (George Gershwin, Ira Gershwin)  4:37
06. Doxy (Sonny Rollins)  4:53
07. But Not For Me [take 1] (George Gershwin, Ira Gershwin)  5:40


#03-07  June 29, 1954 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Miles Davis (tp) Sonny Rollins (ts) Horace Silver (p) Percy Heath (b) Kenny Clarke (ds) 


#01,02  December 24, 1954 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Miles Davis (tp) Milt Jackson (vibs) Thelonious Monk (p) Percy Heath (b)

Kenny Clarke (ds) 

 

BAGS GROOVE

BAGS GROOVE

Amazon

 

10インチレコードで発売された際の詳細も付記しておきます。

●Prestige PRLP-187  Miles Davis Quintet

「Miles Davis - Bags' Groove (Prestige) 1954」喧嘩セッションの真実は

side 1 (A)
01. Airegin (Sonny Rollins)  4:59
02. Oleo (Sonny Rollins)  5:12

side 2 (B)
03. But Not For Me (George Gershwin, Ira Gershwin)  4:37
04. Doxy (Sonny Rollins)  4:53

Miles Davis (tp) Sonny Rollins (ts) Horace Silver (p) Percy Heath (b) Kenny Clarke (ds) 

June 29, 1954 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

 


●Prestige PRLP-196  Miles Davis All Stars Vol. 1

「Miles Davis - Bags' Groove (Prestige) 1954」喧嘩セッションの真実は

side 1 (A)
01. Bags' Groove (Milt Jackson)  11:11

side 2 (B)
02. Swing Spring (Miles Davis)  10:46

Miles Davis (tp) Milt Jackson (vibs) Thelonious Monk (p) Percy Heath (b) 
Kenny Clarke (ds) 

December 24, 1954 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.