加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Miles Davis - Miles Davis At Carnegie Hall (Columbia) 1961」マイルスとギル・エヴァンス楽団のライブ盤

マイルス・デイヴィスMiles Davis)とギル・エヴァンス(Gil Evans)楽団が、1961年05月19日にニューヨークのカーネギーホールCarnegie Hall)で行ったライブの模様を収録したアルバムが「Miles Davis At Carnegie Hall (Columbia CS-8612)」です。

 

「Miles Davis - Miles Davis At Carnegie Hall (Columbia) 1961」マイルスとギル・エヴァンス楽団のライブ盤

 

クインテットだけによる演奏もあり、マイルスの他、テナーサックスのハンク・モブレーHank Mobley)、ピアノのウイントン・ケリー(Wynton Kelly)、ベースのポール・チェンバースPaul Chambers)、ドラムスのジミー・コブ(Jimmy Cobb)というレギュラー・メンバーのゴキゲンな演奏もお楽しみいただけます。

 

 

 

マイルスの自叙伝によれば、このカーネギーホールでのライブは、アフリカ救済財団の「慈善コンサート」だったそうですが、何かを勘違いしたマックス・ローチMax Roach)達がプラカードを持ってステージ上に座り込み、演奏の妨害をした事で、マイルスの調子が狂ってしまった模様・・・。

 

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相方のクリフォード・ブラウンClifford Brown)を1956年06月の交通事故で失って以来、マックス・ローチMax Roach)がおかしくなってしまったというマイルスの証言もあり、チャーリー・パーカーCharlie Parker)のバンドで共演した親友の変わりように唖然としたのだと思われます。

 

そんな衝撃的でネガティブな「裏エピソード」を織り交ぜつつ、演奏は進められていったみたいです。

 

 

さて、1曲目「So What」と2曲目「Spring Is Here」は、このライブのためギル・エヴァンスが編曲を用意したものと思われます。

 

1曲目「So What」は、最初のテーマ部分で重厚なアンサンブルが演奏され、続くトランペット部隊の咆哮と共にクインテットが猛烈にスイングした演奏を開始します。

 


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テーマ部以降はクインテットだけの演奏となりますが、各メンバーの手慣れたソロを聴く事が出来ます。

 


2曲目「Spring Is Here」は、ギル・エヴァンス楽団が奏でるアンサンブルにのり、
マイルスのリリカルなソロが展開されます。

 


3曲目から5曲目に演奏される「No Blues」、「Oleo」、「Someday My Prince Will Come」の3曲は、マイルスのクインテットのみでの演奏となります。

 

3曲目「No Blues」は、ミディアムテンポで演奏されるブルース。


軽快なマイルス、珍しくアグレッシブなハンク・モブレー、鼻歌交じりのウイントン・ケリー、堅実なポール・チェンバースとソロが続いていきます。

 

4曲目「Oleo」は、かなりのアップテンポで演奏されてますが、マイルス以下、余裕たっぷりといった感じが流石ですね。

 

5曲目「Someday My Prince Will Come」は3分弱の短いバージョンですが、曲の美味しい処をぎゅっと凝縮した感じがある、こういう演奏もありかなあ・・・と思ったりします。

 


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残りの3曲は、マイルス・デイヴィスMiles Davis)が、ギル・エヴァンス(Gil Evans)楽団と共演したアルバム第1弾「Miles Ahead (Columbia CK-40784/CL-1041)」から。

 

 

「The Meaning Of The Blues」、「Lament」、「New Rhumba」の3曲が演奏されております。

 


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6曲目「The Meaning Of The Blues」、7曲目「Lament」は共に静寂感漂う演奏。

マイルスが多彩に音色を変化しつつ、演奏するトランペットに注目ですね。

 

8曲目「New Rhumba」は、アルバム「Miles Ahead (Columbia)」のバージョンよりテンポアップされて演奏されます。

 

いずれの曲も、マイルスの軽快で色彩豊かなソロと、ギル・エヴァンス楽団のゴージャスなアンサンブルが素敵でございます。

 

 

Miles Davis - Miles Davis At Carnegie Hall
Columbia CS-8612 / Sony Records SRCS-9319 [1997.06.21]

 

side 1 (A)
01. So What (Miles Davis)  11:59
02. Spring Is Here (L. Hart - R. Rodgers)  4:00

03. No Blues (Miles Davis)  10:43

side 2 (B)
04. Oleo (Sonny Rollins)  7:20
05. Someday My Prince Will Come (F. E. Churchill, L. Morey)  2:42

06. The Meaning Of The Blues (B. Troup, L. Worth)  3:15
07. Lament (J. J. Johnson)  1:19
08. New Rhumba (Ahmad Jamal)  3:59

 


Miles Davis (tp) Hank Mobley (ts #1,3,4) Wynton Kelly (p #1-5) Paul Chambers (b)

Jimmy Cobb (ds) 

Gil Evans Orchestra (#1,2,6-8)
Johnny Coles, Bernie Glow, Louis Mucci, Ernie Royal (tp) 
Dick Hixson, Jimmy Knepper, Frank Rehak (tb) Bill Barber (tuba) 
Paul Ingraham, Robert Swisshelm, Julius Watkins (french horn) 
Danny Bank, Eddie Caine, Romeo Penque, Jerome Richardson, Bob Tricarico (woodwinds) 
Janet Putnam (harp) Bobby Rosengarden (per) Gil Evans (arr,conductor) 

 

May 19, 1961 at Carnegie Hall, NYC.

 

 

Miles Davis At Carnegie Hall (Columbia CS-8612)」は今まで買ったものの、あまり聴く機会がなかったのですが、アルバム「Miles Ahead (Columbia)」から始まるギル・エヴァンス(Gil Evans)楽団との三部作を聴いた後に、真剣に聴いてみると、なかなか良い演奏が詰まってるなあーと、感じました。

 

 

このコンサートの目玉であったろう「アランフェス協奏曲」含めお蔵入りしてた曲は、「Miles Davis - Live Miles: More Music From The Legendary Carnegie Hall Concert」として発売されておりますが、その紹介は次回に。