「Miles Davis - Porgy And Bess (Columbia) 1959」名オペラのジャズ化作品
マイルス・デイヴィス(Miles Davis)が、ギル・エヴァンス(Gil Evans)楽団と共演したアルバム第2弾が「Porgy And Bess (Columbia CS-8085/CL-1274)」。
「ポーギーとベス(Porgy And Bess)」は、小説家・エドワード・デュボーズ・ヘイワード(Edwin DuBose Heyward)が1925年に発表した小説「ポーギー」(1927年に舞台化)を元に、音楽を担当するジョージとアイラのガーシウィン兄弟と共に制作したオペラです。
私、このミュージカルは観る機会に恵まれてないので、ネット(wiki 等)にある情報を元に概要を記します。
「ポーギーとベス(Porgy And Bess)」は、1935年に初演された「3幕9場」からなるオペラであり、ジャズ・スタンダードとしても有名な「Summertime」は、第1幕第1場で歌われているとの事。
第1幕「ある夏の夕方 - 夜」
第2幕「殺人事件の1ヶ月後 - その1週間後」
第3幕「ハリケーンの翌日 - その1週間後」
「ポーギーとベス(Porgy And Bess)」で繰り広げられる物語の舞台は1920年代初頭、アメリカ南部の海に面した貧困にあえぐアフリカ系アメリカ人達の居住区「キャットフィッシュ・ロウ(なまず横丁)」。
そこに住む、足の不自由な乞食ポーギーが、給仕女ベスに恋した事で起こる、悲恋の物語の様です。
麻薬に賭博、そして殺人と、貧困層のやさぐれた日常を舞台に、男女の複雑な恋愛模様が展開され、最後は麻薬の売人と共に消えたベスを探しに、ポーギーがニューヨークに向かうという、希望薄き物悲しい結末を迎えるみたいですね。
さて、アルバム「Porgy And Bess (Columbia CS-8085/CL-1274)」では13曲ほど演奏されておりますが、オペラで演奏された11曲に加えて、ギル・エヴァンス(Gil Evans)が書いた3曲目「Gone」、4曲目「Gone, Gone, Gone」が何故か混ぜてあります。
「ポーギーとベス(Porgy And Bess)」というオペラを題材にした作品のためか、マイルスはトランペット(フリューゲルホルン)で人間の声に近い音を意識的に吹いていたそうで。
中山康樹さんがマイルス本人に聞いた話によると、2曲目「Bess, You Is My Woman」においては、曲中のセリフ「Bess, You Is My Woman」をトランペットで意味を変え、8回も吹き分けていたとの事。
3曲目「Gone」は前述の通り、ギル・エヴァンス(Gil Evans)の作品。
この曲は、「Miles Ahead (CK-40784/CL-1041)」に近い雰囲気ですね。
5曲目「Summertime」は、マイルスの物悲しいミュート・トランペットが印象的ですが、オペラでは赤ん坊を寝かしつかせるために歌われる子守歌なんだとか。
歌詞を意訳すると「夏だ、暮らしは楽だ。父さん金持ち、母さん美人。」てな感じみたいです。
9曲目「My Man's Gone Now」は、タイトル通り物悲しい雰囲気の曲。
マイルスは、1980年代に復帰した際にライブで演奏していましたが、あの時期、ギル・エヴァンス(Gil Evans)との関係も復活してたんでしょうかねえ。
Miles Davis - Porgy And Bess (1959)
Columbia CS-8085/CL-1274 / Sony Records SRCS-9107 [1996.09.21]
side 1 (A)
01. The Buzzard Song (D. Heyward, G. Gershwin, I. Gershwin) 4:09
02. Bess, You Is My Woman Now (D. Heyward, G. Gershwin, I. Gershwin) 5:12
03. Gone (Gil Evans) 3:38
04. Gone, Gone, Gone (Gil Evans) 2:05
05. Summertime (D. Heyward, G. Gershwin, I. Gershwin) 3:21
06. Oh Bess, Oh Where's My Bess? (D. Heyward, G. Gershwin, I. Gershwin) 4:31
side 2 (B)
07. Prayer (Oh Doctor Jesus) (D. Heyward, G. Gershwin, I. Gershwin) 4:42
08. Fisherman, Strawberry and Devil Crab (D. Heyward, G. Gershwin, I. Gershwin) 4:07
09. My Man's Gone Now (D. Heyward, G. Gershwin, I. Gershwin) 6:16
10. It Ain't Necessarily So (D. Heyward, G. Gershwin, I. Gershwin) 4:25
11. Here Come de Honey Man (D. Heyward, G. Gershwin, I. Gershwin) 1:20
12. I Loves You, Porgy (D. Heyward, G. Gershwin, I. Gershwin) 3:42
13. There's a Boat That's Leaving Soon for New York (D. Heyward, G. Gershwin, I. Gershwin) 3:26
#03,04,09 July 22, 1958 at Columbia 30th Street Studios, NYC.
Miles Davis (flh, tp) Gil Evans (arr, conductor)
Johnny Coles, Bernie Glow, Louis Mucci, Ernie Royal (tp)
Joe Bennett, Jimmy Cleveland, Frank Rehak (tb) Dick Hixson (bass-tb)
Willie Ruff, Gunther Schuller, Julius Watkins (french horn) Bill Barber (tuba)
Phil Bodner, Romeo Penque (fl) Danny Bank (bass-cl) Cannonball Adderley (as)
Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds)
#02,08,10,11 July 29, 1958 at Columbia 30th Street Studios, NYC.
Jimmy Cobb (ds) replaces Philly Joe Jones (ds)
#01,06,07 August 4, 1958 at Columbia 30th Street Studios, NYC.
#05,12,13 August 18, 1958 at Columbia 30th Street Studios, NYC.
Jerome Richardson (fl) replaces Phil Bodner (fl)
マイルス・デイヴィス(Miles Davis)が、ギル・エヴァンス(Gil Evans)楽団と共演作をまとめ、制作過程の別テイクなどの未発表曲を大幅追加したBOXセットも発売されていますね。