加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Hank Mobley - Hank Mobley Quintet (Blue Note) 1957」ジャズ・メッセンジャーズ再会セッション

日本で人気の高いテナーサックス奏者、ハンク・モブレーHank Mobley)名義の1957年03月に録音された「Hank Mobley Quintet (Blue Note BLP-1550)」は、晩年のチェット・ベイカーChet Baker)が、何故か好んで演奏した曲「Funk In Deep Breeze」収録のアルバムです。

 

「Hank Mobley - Hank Mobley Quintet  (Blue Note) 1957」ジャズ・メッセンジャーズ再会セッション

また、オリジナル盤の製造枚数が少ない(当時は売れなかった)ため、日本では非常な高値で取引されている1枚のようです。


このアルバムではトランペットのアート・ファーマーArt Farmer)以外、「分裂騒動」後にも関わらず、元ジャズ・メッセンジャーズ(The Jazz Messengers)のメンバーが顔を揃えております。

 

これはハンク・モブレーがシャイな性格であったため、気心の知れたメンバーと演奏する事が、最良の録音を残す為の必須事項であるという、ブルーノート(Blue Note Records)側の判断によるもののようです。

 

「分裂騒動」とさらっと書きましたが1956年05月、コロンビア(Columbia Records)で録音された「The Jazz Messengers (Columbia CL-897)」以降、ホレス・シルヴァーHorace Silver)はアート・ブレイキー(Art Blakey)と袂を分かち、自身のバンドを率いて活動しております。

 

ジャズ・メッセンジャーズ「分裂騒動」の理由は、公式には明らかにされていないようですが、その直後「Art Blakey and The Jazz Messengers」名義で録音が開始される事から、ホレス・シルヴァーが自身の判断でバンドを抜けたようです。

 

ジャズ・ジャーナリスト・小川隆夫さんのインタビュー記事によると、「イスラム教に改宗したアート・ブレイキーと一緒にツアーを回るのが苦痛になってきた」という宗教上の問題であったようです。

 

ザ・スタイリングス・オブ・シルヴァー

ザ・スタイリングス・オブ・シルヴァー

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アート・ファーマーArt Farmer)とハンク・モブレーHank Mobley)は、1957年06月録音の「Horace Silver - The Stylings Of Silver (Blue Note BLP-1562)」に参加している事から、当時はホレス・シルヴァーHorace Silver)バンドのメンバーであったと推定されます。

 

 

クリフォード・ブラウンClifford Brown)と、ライオネル・ハンプトンLionel Hampton)楽団で並んでトランペットを吹いていたアート・ファーマーArt Farmer)が加わる事で、「The Jazz Messengers At The Cafe Bohemia(Blue Note BLP-1507/1508)」より以前に録音された、 「A Night At Birdland with Art Blakey Quintet(Blue Note BLP-1521/1522)」に近い雰囲気を持ったアルバムに仕上がっております。

 

バードランドの夜 Vol.1

 

1曲目の「Funk In Deep Freeze」は、ミディアム・テンポの哀愁漂う1曲。

ド派手なテーマ部とは対照的に、アート・ファーマーArt Farmer)を先頭に淡々とソロ・リレーが続きます。

 


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この淡々とした感じがハンク・モブレーらしいといえば、らしいですね。

 

アート・ブレイキーのドラム・ソロ・ブレイクから始まる2曲目「Wham And They're Off」は、「バードランドの夜(Blue Note BLP-1521/1522)」を彷彿とさせる、血沸き肉踊るリズム・セクションの躍動感が素晴らしい1曲。

 


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そう思うと、アート・ファーマーのトランペット・ソロが何だかクリフォード・ブラウンみたいに聴こえてくるから、あら不思議。

 

 

ハンク・モブレーの気だるいテーマ演奏から始まる3曲目の「Fin De L'Affaire (情事の終わり)」は、ディアム・テンポの美しいバラッド。

 


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続くアート・ファーマーの、涙が出る程切なげなミュート・トランペットも聴き所の一つです。

 

レコード時代にはB面1曲目、CDでは4曲目の「Startin' From Scratch」は、再び「バードランドの夜(Blue Note BLP-1521/1522)」に戻ったような超アップ・テンポのナンバー。


後半に登場するフロント二人のソロ交換から、セカンド・リフに進むあたりがなんとも気持ちいいですね。

 

5曲目「Stella-Wise」はミディアム・テンポの心地よい1曲。


ホレス・シルヴァーハンク・モブレーアート・ファーマーとソロ・リレーが繋がるに従い、演奏は熱を帯びてきます。

 

6曲目の「Base On Balls」は、ベースのウォーキング・ソロから始まるマイナー・ブルース。


粘るようなベース・ランニングに乗り、メンバーがやや泥臭いソロを展開していきます。


CDによっては「Funk In Deep Freeze -alternate take-」と、「Wham And They're Off -alternate take-」の別テイクが追加収録されております。

 

Hank Mobley - Hank Mobley Quintet +2 (RVG)
Blue Note BLP-1550 / Blue Note 50999 2 15388 2 7 [2008] RVG Edition

side 1 (A)
01. Funk In Deep Freeze (Hank Mobley)  6:46
02. Wham And They're Off (Hank Mobley)  7:39
03. Fin De L'affaire (End of the Affair) (Hank Mobley)  6:36

side 2 (B)
04. Startin' From Scratch (Hank Mobley)  6:38
05. Stella-Wise (Hank Mobley)  7:14
06. Base On Balls (Hank Mobley)  7:28

CD Bonus Tracks
07. Funk In Deep Freeze (Hank Mobley) (alternate take)  6:55
08. Wham And They're Off (Hank Mobley) (alternate take)  7:37


Art Farmer (tp) Hank Mobley (ts) Horace Silver (p) Doug Watkins (b) 
Art Blakey (ds) 

March 8, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

 

ハンク・モブレー・クインテット+2

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ついでなんで晩年のチェット・ベイカーChet Baker)が、好んで演奏した曲「Funk In Deep Breeze」収録のスタジオ録音アルバムも、紹介しておきます。

枯葉

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