加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Dizzy Reece - Star Bright (Blue Note) 1959」ハードバップ期最強のサイドメンを揃えたアルバム

今回のアルバムは、イギリス連邦加盟国の一つ、ジャマイカJamaica)のキングストン(Kingston)出身で、ヨーロッパで活動した後、アメリカに移住してきたディジー・リース(Dizzy Reece)のブルーノート(Blue Note Records)第2弾で、1959年11月19日に録音された「Star Bright (Blue Note BLP-4023)」です。

 

「Dizzy Reece - Star Bright (Blue Note) 1959」ハードバップ期最強のサイドメンを揃えたアルバム

演奏をサポートするメンバーは、テナー・サックスのハンク・モブレーHank Mobley)、ピアノのウィントン・ケリーWynton Kelly)、ベースのポール・チェンバースPaul Chambers)、ドラムスのアート・テイラーArt Taylor)という、ハードバップ期に数々の名盤に参加した、ある意味「最強とも言える面子」をこれでもか!といった風に揃えております。

 

という事で、何気に時々再発される事があるこのアルバムですが、購入する人は多分、リーダーより、サイドメン目当ての方が多いでしょう。

 

まあ、ブルーノート(Blue Note Records)のオーナー、アルフレッド・ライン(Alfred Lion)が思い描くハードバップ期における最強のサイドメンを揃えたアルバムが、「Dizzy Reece - Star Bright (Blue Note BLP-4023)」なんだと思います。

 

特に3、5、6曲目は全て、ウィントン・ケリーWynton Kelly)トリオによるピアノ・ソロから始まりますので、ブルーノート(Blue Note Records)としても、人気あるサイドメン達を前面に押し出し、何とか売り上げに繋げようという意図があったのではないかと思われます(笑)。

 

 

重厚でファンキー風味満載のの1曲目「The Rake」は、ディジー・リース(Dizzy Reece)の自作曲であり、シングル盤「Dizzy Reece - The Rake / The Rebound (Blue Note 45-1759)」としても発売された模様。

 

時代がファンキー・ブームで沸き立つ時期の録音なので、こういう曲調が1曲目に配置されたと思いますが、全編聴き通すとアナログレコードのA面とB面をひっくり返し、ここでは4曲目に収録された「The Rebound」で1曲目に配置した方が、哀愁のハードバップ風味が特に似合う、ディジー・リース(Dizzy Reece)の特性をよりアピール出来たのではないかと、個人的には思ったりします・・・。

 

 

2曲目の「I'll Close My Eyes」は、「Blue Mitchell – Blue's Moods (Riverside Records RLP-9336)」における名演とは「異なるキー設定」での演奏となっております。

 


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ピアノのウィントン・ケリーWynton Kelly)は同じながらも、テーマが始まると、
「あれっ?雰囲気が違うなー」とか思ってしまいます。

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

この曲では、ハンク・モブレーHank Mobley)のテナーサックス・ソロが一番の聴き処かと。

 

 

ウィントン・ケリーWynton Kelly)トリオによる軽快な長尺ピアノ・ソロから始まる3曲目の「Groovesville」は、ディジー・リース(Dizzy Reece)の自作曲。

 


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曲の感じといい、キー設定も「Blue Mitchell – Blue's Moods (Riverside Records RLP-9336)」収録バージョンの「I'll Close My Eyes」そっくりで、ディジー・リース(Dizzy Reece)のソロも、ブルー・ミッチェルBlue Mitchell)まんまのフレーズが飛び出したりします。

 

・・・あー、だから「I'll Close My Eyes」のキー設定変えたんだな・・・と(笑)。

 

 

ここからが、アナログレコード時代のB面となります。

 

軽快なテンポで演奏される4曲目の「The Rebound」は、ディジー・リース(Dizzy Reece)の自作曲で、絶妙に哀愁漂う曲調に、ウィントン・ケリーWynton Kelly)の陽気でファンキーなピアノ・バッキングに、ソロの途中でホーンの合いの手が入る感じがたまらないですね。

 


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ウィントン・ケリーWynton Kelly)の陽気で軽快なイントロで始まる5曲目の「I Wished On The Moon」は、小粋な演奏といった感じですかね・・・。。

 


6曲目の「A Variation On Monk」は、ディジー・リース(Dizzy Reece)の自作曲で、これまたウィントン・ケリーWynton Kelly)トリオによる長めのソロから始まり、ハードバップ調ながらモンクっぽい(笑)若干ひねくれ気味が面白いですね。

 

ハンク・モブレーHank Mobley)、ディジー・リース(Dizzy Reece)、ウィントン・ケリーWynton Kelly)と堅実なソロが続いた後、アート・テイラーArt Taylor)のソロにホーン陣によるアンサンブルが掛け合いで登場します。

 

 

Dizzy Reece - Star Bright
Blue Note BLP-4023  

side 1 (A)
01. The Rake (Dizzy Reece)  6:04
02. I'll Close My Eyes (Reid, Kaye)  5:55
03. Groovesville (Dizzy Reece)  8:05

side 2 (B)
04. The Rebound (Dizzy Reece)  6:46
05. I Wished On The Moon (Parker, Rainger)  6:48
06. A Variation On Monk (Dizzy Reece)  5:41


Dizzy Reece (tp) Hank Mobley (ts) Wynton Kelly (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds) 

November 19, 1959 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

 

スター・ブライト

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ディジー・リース(Dizzy Reece)のハードバップ風味の演奏を堪能したい方には、1999年に発売された未発表音源集「Dizzy Reece - Comin' On (Blue Note 7243 5 22019 2 1)」をお勧めしますが、デジタル配信のみで、CDはもう入手困難な模様・・・。

 

 

お蔵入りしていたリズム隊がジャズ・メッセンジャーズでテナーサックスのスタンレー・タレンタイン(Stanley Turrentine)が加わる1960年04月03日の録音と、デューク・ジョーダンDuke Jordan)、スタンレー・タレンタイン(Stanley Turrentine)という、これまたハード・バップマニアにはたまらない面子を揃えた1960年07月17日の録音が収録されております。

 

お聴きいただければご納得されるかと思われますが、お蔵入りしてたのが不思議な位、豪華なメンバーによる素晴らしい演奏が収録されております。