ハッピーなウイントン・ケリー(Wynton Kelly)トリオをバックにした、ブルー・ミッチェル(Blue Mitchell)の珍しいワン・ホーン・アルバム「Blue's Moods (Riverside)」は、ファンキージャズ全盛時代の1960年に録音されたものです。
屈託なく明るいワンホーン・アルバム。アルバムの全編通して「ブルー」ではなく「ハッピー」な雰囲気満点の1枚。ドライブのお供に最適だと思います。
煙漂うタバコを左指に挟み、おまけにたばこの箱らしきモノを持ちながらトランペットを構えるブルー・ミッチェル、いかにも往時のジャズっぽいと思いませんか?
嫌煙家の私ではありますが、厚紙の輸入盤LP(OJC盤)で購入した時には、このアルバムをしばらく部屋に飾ってました。
今だと禁煙活動家の皆様に叩かれますが・・・時の流れは残酷なものですなー。
1曲目「I'll Close My Eyes」は、ウイントン・ケリーのゴキゲンなイントロから始まる1曲。
この曲、大学のジャズ研の譜面帳に必ず?あると聞いた事がありますが、明るく屈託のない曲調が演奏し易く、お客さんに受けがいいんでしょう(多分)。
あと、新潟でジャズトランペット(アドリブ含む)を教わっている生徒さんなんかも、必ず「I'll Close My Eyes」演奏してた事、思い出しました。
初心者向けなのか、単なる先生の趣味なのか・・・要「調査」事項ですなー。
3曲目「Scrapple from the Apple」は、アップテンポで演奏されるチャーリー・パーカー(Charlie Parker)の曲。
ウイントン・ケリーも好調ですが、ここでは心地よいドライブ感が素晴らしい、ドラムのロイ・ブルックスが大きくフューチャーされております。
5曲目のブルース「Sir John」は、当時在籍していたホレス・シルバー(Horace Silver)クインテットの曲かと思えるほど、ファンキーなナンバー。
ここでのウイントン・ケリーは、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)バンドの先輩にあたるレッド・ガーランド(Red Garland)のようなブロック・コードを多用。
ソロでは、あえてホレス・シルバーっぽい弾き方をして、ファンキーな演奏をいっそう盛り上げています。
おっと最後は、セカンド・リフっぽい部分も・・・・うーん、もろホレス・シルバーを意識した曲だったんですね。
6曲目のバラッド「When I Fall In Love」に続いて、7曲目、「I'll Close ~」調のロネル・ブライト(Ronell Bright)作曲による隠れた名曲「Sweet Pumpkin」に移ります。
8曲目ラスト・ナンバーの「I Wish I Knew」も、ハッピーな曲調ですね。
※この記事は、2007年頃に書いたものを加筆・修正の上、掲載したものです。よしなに。
Blue Mitchell - Blue's Moods (1960)
Riverside RLP-9336/OJCCD-138-2 / Victor VICJ-60348 [1999.09.22]
side 1 (A)
01. I'll Close My Eyes (Kaye-Reid) 5:53
02. Avars (Rocky Boyd) 4:04
03. Scrapple from the Apple (Charlie Parker) 3:58
04. Kinda Vague (Blue Mitchell-Wynton Kelly) 6:24
side 2 (B)
05. Sir John (Blue Mitchell) 6:04
06. When I Fall In Love (Heyman-Young) 5:40
07. Sweet Pumpkin (Ronell Bright) 4:17
08. I Wish I Knew (Warren-Gordon) 4:27
Blue Mitchell(tp) Wynton Kelly(p) Sam Jones(b) Roy Brooks(ds)
August 24 & 25(#1-4,7),1960 in NYC.
なんだかんだ言っても、ブルー・ミッチェル(Blue Mitchell)最良の演奏は、ホレス・シルバー・クインテット在籍時のアルバム群に集中している気がします。