加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

Wynton Marsalis - Wynton Marsalis (Columbia) 1981

クロスオーバー(フュージョン)・サウンド旋風が世を席巻していた時期、ハービー・ハンコックHerbie Hancock)率いる「V.S.O.P. Quintet」が商業的成功を収めた事をきっかけにして、アコーステック・ジャズ回帰の機運が高まっていったみたいですね。

 

そんな中、ドラムスの大御所、アート・ブレイキー(Art Blakey)率いる「Jazz Messengers」に参加した事で俄然注目を浴びたトランペットの新星がウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)です。

 

で、アコーステック・ジャズ回帰の象徴でもあるフォーマルなスーツに身を包み、老成したふてぶてしい感じさえするウイントンの横顔が印象的な衝撃のデビュー作が、アルバム「Wynton Marsalis - Wynton Marsalis (Columbia FC-37574/CK-37574)」であります。

 

Wynton Marsalis - Wynton Marsalis (Columbia) 1981

プロデューサーが、あのハービー・ハンコックHerbie Hancock)である点にも注目が集まっていた様ですね。

 

ブランフォード・マルサリスBranford Marsalis)、ケニー・カークランド(Kenny Kirkland)を含むクインテットによる若さ溢れ奔放とも言える3曲は、圧倒的なテクニックを持つ若い世代が、アコーステック・ジャズ回帰を真剣に目指している事を如実に示している気がします。

 

1曲目、ウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)作曲の「Father Time」は、ウイントンの圧倒的なテクニックをまざまざと感じさせる演奏となっております。

 


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残りの4曲は、ウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)とブランフォード・マルサリスBranford Marsalis)がフロントで、1960年代マイルス・デイヴィスMiles Davis)アコーステック・クインテットのリズム隊であるピアノのハービー・ハンコックHerbie Hancock)、ベースのロン・カーターRon Carter)、ドラムスのトニー・ウィリアムスTony Williams)がバックに顔を揃えるクインテットによる演奏です。

 

例のトリオをバックに演奏する事で、ウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)達若手が、マイルス・デイヴィスMiles Davis)が放棄した1960年代マイルスが率いたアコーステック・クインテットによるサウンドを継承した事を、世に強く印象付ける一役を担ったと思います。

 

 

5曲目「Sister Cheryl」は、トニー・ウィリアムスTony Williams)が書いた名曲であります。

 


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圧倒的なテクニックを誇るウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)が、この曲では大人し目なソロに終始しているように感じる方も居るかもしれませんが、この曲のキー設定がトランペットにはかなり難儀なモノなので、流石のウイントンも苦労してるんだなあ・・・と思いつつお聴き下さいませ。

 

 

Wynton Marsalis - Wynton Marsalis (1981)

Columbia FC-37574/CK-37574 / Sony Records SRCS-9173 [1996.12.12]

side 1 (A)
01. Father Time (Wynton Marsalis)  8:13
02. I'll Be There When The Time Is Right (Herbie Hancock)  2:33

03. RJ (Ron Carter)  3:51
04. Hesitation (Wynton Marsalis)  5:42

side 2 (B)
05. Sister Cheryl (Tony Williams)  7:24
06. Who Can I Turn To (When Nobody Needs Me) (A. Newley, L. Bricusse)  4:40

07. Twilight (Wynton Marsalis)  8:39


#01,02,07  August, 1981 at CBS Studios, NYC.
Wynton Marsalis (tp) Branford Marsalis (sax) Kenny Kirkland (p) 
Clarence Seay (b #1,2) Charles Fambrough (b #7) Jeff "Tain" Watts (ds)


#03-06  July, 1981 at CBS/Sony Shinanomachi Studio, Tokyo.
Wynton Marsalis (tp) Branford Marsalis (sax) Herbie Hancock (p) 
Ron Carter (b) Tony Williams (ds)

 

 

 

ついでなんで、これまで書いたウイントン関連のブログ記事も掲載しておきます。

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

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