「Wynton Marsalis - Hot House Flowers (Columbia) 1984」グラミー賞を受賞したストリングスもの
1980年代にロック風味のエレクトリック・サウンドが幅をきかせていたジャズ界を、アコーステックに回帰させた最大の貢献者であるトランペット奏者のウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)。
類まれなるテクニックで、ジャズとクラッシックの両方のアルバムを発表していたウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)が、早々とストリングス入りのジャズ・アルバムを制作するのは当然というか必然というか・・・・。
そんな感じで、1984年05月30日と31日にかけ、ニューヨークの「RCA Studio A」録音され、表題曲で第27回グラミー賞の「最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・パフォーマンス(ソロ)」を受賞したアルバムが「Hot House Flowers (Columbia FC-39530)」です。
流暢で甘すぎないストリングスものなので、曲紹介は何曲かかいつまんで・・・。
分かりやすい曲を邦題にした方が売れるだろうという判断か、邦題は1曲目に収録された「スターダスト(Stardust)」です。
古来から演奏されるフォーマットに従い、冒頭のバースからウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)が吹き始めますが、この曲でありがちな感情多可に歌い上げる演奏からは距離を置き、甘すぎず的確に盛り上げるストリングスをバックに、感情を抑えつつ比較的クールな演奏に終始しております。
まあ、さりげに見せつける演奏テクニックは、物凄いモノなんですけどね(笑)。
ちなみに「スターダスト」で決定的名演とされるのが、ヴィヴラフォンのライオネル・ハンプトン(Lionel Hampton)をリーダーとしたアルバムです。
4曲目に収録された、比較的アップテンポで軽快に演奏される「星に願いを(When You Wish Upon A Star)」が、私はこのアルバムの中で一番好きかな。
ウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)バンドお得意の、途中でリズム・パターンやテンポを変えつつ演奏にメリハリをつけ、各メンバーのソロやアンサンブル、そして流暢なストリングスが舞う様は、大劇場で映画を見ているかの如き、スリリングな一時を味合わせてくれます。
「星に願いを」は、私がこれまた大好きな山下達郎さんも、服部克久さんが編曲したストリングス入りのオケを使って歌っておりますので、興味のある方は検索してみてください。
7曲目に収録されたウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)の「Hot House Flowers」は、あえてもう1度書きますけど、1985年02月26日に発表された「第27回グラミー賞(27th Annual Grammy Awards)」にて、「最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・パフォーマンス(ソロ)」を受賞しております。
こちらの演奏は、変幻自在にテンポを変えるコンボの演奏を基本としつつ、テーマ部で流暢なストリングが絶妙に絡む中、フルートのケント・ジョーダン(Kent Jordan)、ソプラノ・サックスのブランフォード・マルサリス(Branford Marsalis)、ベースのロン・カーター(Ron Carter)と華麗なるソロが続きます。
あれ、面白い事にトランペットのウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)は「最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・パフォーマンス(ソロ)」を受賞した曲で、ソロっぽいソロとってないんですね(笑)。
Wynton Marsalis - Hot House Flowers
Columbia FC-39530 / Sony Music SRCS-9213 [1997.03.01]
side 1 (A)
01. Stardust (H. Carmichael, M. Parish) 4:07
02. Lazy Afternoon (Jerome Moross, John Latouche) 5:03
03. For All We Know (F. Coots) 6:15
04. When You Wish Upon A Star (Ned Washington, L. Harline) 4:40
side 2 (B)
05. Django (John Lewis) 4:52
06. Melancholia (Duke Ellington) 5:09
07. Hot House Flowers (Wynton Marsalis) 5:46
08. I'm Confessin' (That I Love You) (A. J. Neiburg, D. Dougherty, E. Reynolds) 5:41
Wynton Marsalis (tp) Branford Marsalis (ts,ss) Kent Jordan (alto-fl)
Kenny Kirkland (p) Ron Carter (b) Jeffrey Watts (ds)
Robert Freedman (conductor,arr) Charles Libove (concertmaster,violin)
Peter Gordon (french horn) Tony Price (tuba)
Paul McCandless (oboe,english horn) Andrew Schwartz (bassoon)
Diane Monroe, Gayle Dixon, Guillermo Figueroa, Harry Glickman,
Ingrid Arden, Louann Montesi, Patmore Lewis, Peter Dimitriades,
Raymond Kunicki, Winterton Garvey (violin)
Alvin Clinton McCall, Fred Zlotkin, Richard Locker, Seymour Barab (cello)
Al Brown, Harry Zaratzian, Mitsue Takayama, Theodore Israel (viola)
May 30 & 31, 1984 at RCA Studio A, NYC.
ウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)関連のアルバムを紹介した記事のリンクも貼っておきます。