ビバップ時代、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の後任としてチャーリー・パーカー(Charlie Parker)のバンドで演奏していたトランぺッター、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)。
1959年11月に、かの有名なヴァン・ゲルダー・スタジオで録音されたワンホーン・アルバムが、彼の日本での人気を決定付けた「Quiet Kenny (New Jazz)」です。
ジャズマニアの間で「名盤請負人」と呼ばれる、トミー・フラナガン(Tommy Flanagan)のトリオをバックに、静かに、時としてちょっと饒舌気味ながら味わい深いソロフレーズを吹き綴っております。
この静かなる「Quiet Kenny (New Jazz)」はジャズ喫茶はもちろん、自宅のこじんまりとしたオーディオシステムで聴くにもびったりな演奏だと思います。
1曲目の自作曲「蓮の花(Lotus Blossom)」は、フレディ・ハバード(Freddie Hubbard)も、何故か「Asiatic Race」というタイトルに改題し、若干テーマ部の譜割りに手を加えた上で演奏してますね。
脱線ついでに。
フレディ・ハバード(Freddie Hubbard)とウディ・ショウ(Woody Show)の2トランペットで、確かドン・シックラー(Don Sickler)が編曲を担当したバージョンも、フレディの譜割りを元に作成されていたと記憶しております。
「Kenny Dorham - Quiet Kenny (New Jazz NJLP-8225) 」に話を戻しますね。
このアルバムには有名スタンダードナンバーの他、「Blue Friday」と「Blue Spring Shuffle」という、ケニー・ドーハム自作の魅力的なブルースを演奏してたりします。
「Blue Spring Shuffle」は、別のタイトルでバルネ・ウィラン(Barney Wilen)と演奏してた記憶もありますが、今、そこまで調べる時間がないので詳細は割愛。
有名スタンダードナンバーは、バラッド風の「My Ideal」、「Alone Together」の2曲と、ミディアムテンポで演奏される「I Had the Craziest Dream」、「Old Folks」の2曲を演奏しております。
なお、最後の軽快な「Mack The Knife」は、オリジナル盤には収録されてなんですよね。
でも、1970年に「Kenny Dorham/1959 (Prestige PRST-7754)」として再発されて以降、追加収録となったようです。
※ジャケットは「discogs」よりお借りしました。
今CDで通して聴くと、「Mack The Knife」だけ妙に軽快すぎる演奏なんですよね。
という事で、アルバムコンセプトに合わず、オリジナル盤発売当初は削られたんだと思われます。
Kenny Dorham - Quiet Kenny (1959)
New Jazz NJLP-8225 / Victoor VICJ-60275 [1999.02.03]
side 1 (A)
01. Lotus Blossom (Kenny Dorham) 4:35
02. My Ideal (Robbin-Chase-Whiting) 5:02
03. Blue Friday (Kenny Dorham) 8:41
04. Alone Together (Schwartz-Dietz) 3:08
side 2 (B)
05. Blue Spring Shuffle (Kenny Dorham) 7:33
06. I Had the Craziest Dream (Warren-Gordon) 4:35
07. Old Folks (Hill-Robinson) 5:10
08. Mack The Knife (Weill-Brecht) 3:01
Kenny Dorham(tp) Tommy Flanagan(p) Paul Chambers(b) Art Taylor(ds)
November 13,1959 at Rudy Van Gelder Studio,Englewood Cliffs,NJ.
最後に別のアルバム紹介で書いていた、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)の特徴についての記述を付記しておきます。
ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)は、かすれ気味だが艶のある、ハスキー気味な音を「らっぱ」から紡ぎだすトランペットの名手です。
トランペットの場合、ハッタリの効いたド派手な演奏が好まれる傾向があるので、「アート・ファーマー(Art Farmer)」とか「ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)」辺りは、どうも、ジャズ喫茶で玄人受けする存在、という印象が強すぎるかもしれません。
アップ・テンポの火を吹くかのようなソロでも、しみじみとしたバラードでも、同じ「音」で飄々と吹き綴る・・・そんなところが、ケニー・ドーハムの魅力です。
そんな訳で、ケニー・ドーハムの「Quiet Kenny - Kenny Dorham (New Jazz NJLP 8225)」は、抒情的なバラードが印象深い事から、人気が出ているのだと推測致します。
しかし、今まで「Quiet Kenny (New Jazz)」についてのブログ記事、書いてなかったんですね・・・。
延々聴いているのに、ブログ等で(公に)アルバム・レビュー書いてないジャズアルバムって、案外多いんだなあ・・・と思い知らされました(笑)。