スタン・ゲッツ（Stan Getz）と、ケニー・バロン（Kenny Barron）によるデュオ作品「People Time (EmArcy/Verve) 1991」は、北欧デンマーク（Danmark）の首都コペンハーゲン（Copenhagen）のライブスポット、カフェ・モンマルトル（Café Montmartre）
にて、1991年03月03日から06日に実施されたライブ録音。
ピアノのケニー・バロン（Kenny Barron）だけをバックに演奏されたライブ録音が、公式に記録された最後の演奏（遺作）となり、スタン・ゲッツ（Stan Getz）は、このライブ録音の約３ヶ月後の1991年06月06日、肝臓癌により、64歳で逝去しております。
個々の曲毎の解説が不要なほど、どの演奏を聴いても、心揺り動かされる素敵な演奏が詰まっておりまして、テナー・サックスとピアノだけのデュオ演奏であるので、会場の空気感とか、聴いているお客さんの気持ちまでダイレクトに伝わってくる名ライブ盤だと思います。
2022年02月に一度、ブログ記事にしているのですが、このたび「People Time The Complete Recordings (Universal Music France 532 101-6)」を聴くことが出来たので、あらためてご紹介してみようかと思います。
●Stan Getz, Kenny Barron - People Time (EmArcy 510 136-2/Verve 314 510 823-2)
1992年、最初に発売された「Stan Getz, Kenny Barron - People Time (EmArcy 510 136-2/Verve 314 510 823-2)」では、17曲入り（CD２枚組）。
Stan Getz, Kenny Barron - People Time
EmArcy 510 136-2 / Verve 314 510 823-2 [1992]
◎People Time [CD 1]
1-01. East Of The Sun (And West Of The Moon) (Brooks Bowman) 9:29
1-02. Night And Day (Cole Porter) 8:16
1-03. I'm Okay (Eddie Del Barrio) 5:24
1-04. Like Someone In Love (James Van Heusen, Johnny Burke) 8:02
1-05. Stablemates (Benny Golson) 8:47
1-06. I Remember Clifford (Benny Golson) 9:04
1-07. Gone With The Wind (Allie Wrubel, Herb Magidson) 7:12
◎People Time [CD 2]
2-01. First Song (For Ruth) (Charlie Haden) 9:55
2-02. (There Is) No Greater Love (Isham Jones, Marty Symes) 8:36
2-03. The Surrey With The Fringe On Top (Richard Rodgers, Oscar Hammerstein II) 9:22
2-04. People Time (Benny Carter) 6:14
2-05. Softly, As In A Morning Sunrise (Oscar Hammerstein II, Sigmund Romberg) 7:54
2-06. Hush-A-Bye (Ambroise Thomas, Jerry Seelen, Sammy Fain) 9:33
2-07. Soul Eyes (Mal Waldron) 7:32
Stan Getz (ts) Kenny Barron (p)
Digitally recorded live on March 3-6, 1991 at the Café Montmartre, Copenhagen.
軽快なテンポで演奏される１曲目「East Of The Sun (And West Of The Moon)」から始まり、アップテンポな２曲目「Night And Day」の演奏が始まると観客席から歓声と拍手が沸き起こったりという感じで、奏者と客席の一体感が感じられるライブならではの素晴らしい演奏が続いていきます。
アルバムタイトルにも採用された11曲目「People Time」は、ミディアムテンポで演奏されつつも、時折、倍のテンポでスタン・ゲッツ（Stan Getz）の素晴らしいソロフレーズが飛び出します。
このような素晴らしい演奏内容なのですが、美しいバラッド17曲目「Soul Eyes」で余韻を残しつつ終わるという、４日間（1991年03月03日から06日）のライブを凝縮した内容でした。
●People Time The Complete Recordings (Universal Music France 532 101-6)
また、2009年に発売された「People Time The Complete Recordings (Universal Music France 532 101-6)」は、06月03日～06日の各セット順に収録。
06月03日が２枚、04日が２枚、05日が２枚、06日が１枚と計７枚のＣＤボックスセットとして発売されました。
こちらのボックスセットでは、スタン・ゲッツ（Stan Getz）のユーモア交えたアナウンスで、観客の笑いが沸き起こるなど、和やかな雰囲気を演出しつつ、演奏が始まると観客が演奏に引き込まれていく様子も伺えたりします。
「People Time The Complete Recordings (Universal Music France 532 101-6)」では、
既発「People Time」に収録された17曲の他、別テイク含め、新たに11曲もの曲を聴くことが出来ます。
△Allison's Waltz (Alan Broadbent)
△Autumn Leaves (Jacques Prévert, Johnny Mercer, Joseph Kosma)
△Yours And Mine (Thad Jones)
△You Don't Know What Love Is (Don Raye, Gene Depaul)
△You Stepped Out Of A Dream (Gus Kahn, Nacio Herb Brown)
△I Wish You Love (Que Reste-t-il De Nos Amours) (Charles Trenet / Albert Beach)
△Con Alma (Dizzy Gillespie)
△The End Of A Love Affair (Edward C. Redding)
△Whisper Not (Benny Golson)
△You Stepped Out Of A Dream (Gus Kahn, Nacio Herb Brown)
△Bouncing With Bud (Bud Powell)
追加曲の中では哀愁漂う「Autumn Leaves」、ありがちなバラッドではなく（笑）、ミディアムテンポで演奏される「You Don't Know What Love Is」、何度も演奏されたにも関わらず未発表のままだった「I Wish You Love (Que Reste-t-il De Nos Amours)」、ケニー・バロン（Kenny Barron）が弾くラテン調のリズムで観客席から何故か笑いが湧きおこる「Con Alma」、バド・パウエル（Bud Powell）作曲でビバップ時代の名曲「Bouncing With Bud」などが耳に残りますね。
Stan Getz, Kenny Barron - People Time The Complete Recordings
Universal Music France 532 101-6 / Sunnyside SSC-3084 [2009]
★EmArcy 510 136-2 / Verve 314 510 823-2 Stan Getz, Kenny Barron - People Time 1992
Universal 314 586 755-2 Stan Getz - Cafe Montmartre 2003
Stan Getz (ts) Kenny Barron (p)
March 3, 4, 5 & 6, 1991, at the Café Montmartre, Copenhagen, Denmark.
＜補足＞
スタン・ゲッツ（Stan Getz）は、1940年代初頭、10代半ばから年齢を偽って（笑）プロとして活動を開始。
スタン・ケントン（Stan Kenton）楽団、ジミー・ドーシー（Jimmy Dorsey）楽団、ベニー・グッドマン（Benny Goodman）楽団と有名なビックバンドを渡り歩き、名声を高めていきます。
1950年代半ば、プロになった頃から嗜んでてたヘロインの中毒症状が、強盗未遂事件をおこすまで悪化。逮捕され服役後、一時的に北欧スウェーデンに移住。
1960年代初めに帰国した後、「Verve Records」でボサノヴァを取り入れた作品を発表。
名曲「イパネマの娘」を筆頭に、大ヒット作を連発する事になります。
1970年代には、チック・コリア（Chick Corea）らと共演する事で、クロスオーヴァー系のサウンドでも活躍。
スタン・ゲッツ（Stan Getz）は年代毎に演奏スタイル（主にリズムパターン）が変遷していきますが、どのようなサウンドをバックに演奏してもマイルス・デイヴィス（Miles Davis）同様、スタン・ゲッツ（Stan Getz）節とでも形容すべき、彼独自の魅力的な演奏を聴かせてくれてます。
これはバンド形態でのラスト・レコーディングですね。
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