クール・ジャズ、ボサ・ノヴァと時代にあった演奏スタイルに変遷しつつも、自身の演奏にはあまりブレを感じさせないスタン・ゲッツ(Stan Getz)。
自身の演奏スタイルをそれほど変えず、その時代にあった演奏スタイルを得意とするミュージシャンをバックに起用することで成功を収める辺りは、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)と似通っているのかもしれません。
今回紹介するアルバム「Captain Marvel (Columbia PC-32706)」が録音された1972年は、クロスオーヴァーとかフュージョンなどと呼ばれた演奏スタイルが流行していた時期にあたり、チック・コリア(Chick Corea)が弾く程よくラテン風味を混ぜ、歯切れ良く軽快なエレクトリック・ピアノのバッキングにのっかり、スタン・ゲッツ(Stan Getz)も気持ちよくブローしております。
その他のメンバーを眺めると、ベースはスタンリー・クラーク(Stanley Clarke)、ドラムスはトニー・ウィリアムス(Tony Williams)、パーカッションがアイアート・モレイア(Airto Moreira)という、まあ、チック・コリア(Chick Corea)の「Return To Forever」風味強めな布陣ですね(笑)。
1972年02月に録音され、世界的なベストセラーとなる「Return To Forever (ECM Records ECM 1022 ST)」を録音したチック・コリア(Chick Corea)をサイドマンとして起用する事で、クロスオーヴァー(フュージョン)テイストの演奏を上手く取り入れており、遡って1967年に録音された「Sweet Rain (Verve V/V6-8693)」から、さらにチック・コリア(Chick Corea)への依存度を強めたアルバムと言えるかな・・・と。
1曲目「La Fiesta」、2曲目「Five Hundred Miles High」、3曲目「Captain Marvel」、
4曲目「Times Lie」と、チック・コリア(Chick Corea)の有名曲が並んでおりますので、もう「チック・コリア作品集(Stan Getz plays Chick Corea)」と言えるかもしれませんね。
5曲目「Lush Life」は、デューク・エリントン(Duke Ellington)楽団の懐刀、ビリー・ストレイホーン(Billy Strayhorn)の作品。
4分程と短いですが、スタン・ゲッツ(Stan Getz)らしい抒情感溢れる演奏を聴く事が出来ます。
ややアンニュイ気味な6曲目「Day Waves」も、チック・コリア(Chick Corea)の作品で、リズム・パターンは「Five Hundred Miles High」に近い感じで演奏されてます。
なお、CDにはボーナス・トラックとして何と7曲目に、あの名曲「Crystal Silence」が入っており、ほぼ、スタン・ゲッツ(Stan Getz)とチック・コリア(Chick Corea)によるデュオ形式で演奏されております。
あと、8曲目に「Captain Marvel [alternate version]」、9曲目に「Five Hundred Miles High [alternate version]」が収録されております。
Stan Getz – Captain Marvel +3 (1972)
Columbia PC-32706 / Legacy CK-86086
side 1 (A)
01. La Fiesta (Chick Corea) 8:26
02. Five Hundred Miles High (Chick Corea) 8:12
03. Captain Marvel (Chick Corea) 5:09
side 2 (B)
04. Times Lie (Chick Corea) 9:48
05. Lush Life (B. Strayhorn) 4:16
06. Day Waves (Chick Corea, Neville Porter) 9:43
CD Bonus Tracks
07. Crystal Silence (Chick Corea, Neville Porter) 7:47
08. Captain Marvel [alternate version] (Chick Corea) 5:18
09. Five Hundred Miles High [alternate version] (Chick Corea) 9:29
Stan Getz (ts) Chick Corea (p, el-p) Stanley Clarke (b)
Tony Williams (ds) Airto Moreira (per)
March 3, 1972 at A&R Studios in NYC.
スタン・ゲッツ(Stan Getz)関連のアルバム紹介、あんまりしてなかったですね・・・後で、もっと増やそう(笑)。