加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

Bill Evans - Moon Beams (Riverside) 1962

1961年06月25日、ビル・エヴァンスBill Evans)トリオが「The Village Vanguard」で行った、今や伝説的なライブ。

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

この時のライブでは、ピアノのビル・エヴァンスBill Evans)と、ベースのスコット・ラファロScott LaFaro)による、対等な関係で繰り広げられる丁々発止のやりとり(世にいうインタープレイ)が、世のジャズ・ファンの心を鷲掴みにした訳ですが・・・。

 

その伝説のライブ録音が行われた06月25日から約10日後、またニューポート・ジャズ・フェスティバルでスタン・ゲッツStan Getz)と共演した直後の1961年07月06日に、ベースのスコット・ラファロScott LaFaro)が、交通事故で急死してしまいます。

 

子沢山だったらしいスコット・ラファロScott LaFaro)から、ギャラの値上げを再三要求され、煩わしく思っていたであろうビル・エヴァンスBill Evans)でありますが、最良のベーシストを突然失ったショックは大きかったらしく、1961年の後半はマーク・マーフィー(Mark Murphy)というヴォーカリストのセッションなど、サイドマンとして幾つかのセッションにしか公式録音が残されておりません。

 

Rah [12 inch Analog]

Rah [12 inch Analog]

Amazon

 

そんな失意のどん底にあったであろうビル・エヴァンスBill Evans)が、トリオとしての活動を再開するきっかけは、フルート奏者であるハービー・マン(Herbie Mann)をリーダーとし、1961年12月08日に録音された「Herbie Mann & The Bill Evans Trio - Nirvana (Atlantic SD-1426)」であったと思われます。

 

 

「Herbie Mann & The Bill Evans Trio - Nirvana (Atlantic SD-1426)」では、バックをビル・エヴァンスBill Evans)のトリオが務めておりますが、その時のベーシストが前衛ジャズのミュージシャンと共演歴の多いチャック・イスラエル(Chuck Israels)です。

 

そんなチャック・イスラエル(Chuck Israels)を新生ビル・エヴァンスBill Evans)トリオのベーシストに迎え入れ、1962年の05月17日、05月29日、06月05日の三回に渡り録音が実施されました。

 

その時に録音された曲は「Moon Beams (Riverside RLP-9428)」、「How My Heart Sings! (Riverside RS-9473)」という2枚のアルバムに分散収録され発売されております。

 

そういえばスコット・ラファロScott LaFaro)も、オーネット・コールマンOrnette Coleman)との共演歴を持ちつつ、スタン・ゲッツStan Getz)のバンドで演奏していたりしましたので、オーソドックスな演奏は勿論、前衛的な演奏も出来るチャック・イスラエル(Chuck Israels)を後任に選んだ事は、なるほどなあ・・・と思ったりします。

 

スコット・ラファロScott LaFaro)ほどトンガってはいないものの、チャック・イスラエル(Chuck Israels)のベースは、ビル・エヴァンスBill Evans)にしっかり寄り添い、やや沈痛気味でナーヴァスなエヴァンスをよく支えていると思えます。

 


今回は「Moon Beams (Riverside RLP-9428)」をざっとご紹介していきますね。

 

耽美的とも言えるイントロから始まる1曲目の「Re: Person I Knew」は、ビル・エヴァンスBill Evans)の自作曲。

 


www.youtube.com

 

ビル・エヴァンスBill Evans)のバックで、スコット・ラファロScott LaFaro)の様に、刺激的なベース・バッキングを繰り出すチャック・イスラエル(Chuck Israels)の適応力の凄さを実感出来る1曲であります。

 

 

5曲目、タッド・ダメロンが書いた名バラッド「If You Could See Me Now」も、美しいというより耽美的な方向に傾いてるバラッドですね。

 


www.youtube.com

 

 

こんな感じで新生ビル・エヴァンスBill Evans)トリオが残した最初のアルバム「Moon Beams (Riverside RLP-9428)」は、耽美的なバラッドが強く印象に残るアルバムです。

 

 

Bill Evans - Moon Beams (Riverside) 1962

 

 

Bill Evans Trio - Moon Beams (1962)
Riverside RLP-9428 / OJCCD-434-2 / Victor Entertainment VICJ-60307 [1999.06.02]

side 1 (A)
01. Re: Person I Knew (Bill Evans)  5:47
02. Polka Dots and Moonbeams (Burke-Van heusen)  5:03
03. I Fall In Love Too Easily (Styne-Cahn)  2:44
04. Stairway To The Stars (Parish-Malneck-Signorelli)  4:54

side 2 (B)
05. If You Could See Me Now (T.Dameron-Sigman)  4:32
06. It Might As Well Be Spring (Rodgers-Hammerstein)  6:08
07. In Love In Vain (Kern-Robin)  5:02
08. Very Early (Bill Evans)  5:06


#05  May 17,1962 at Sound Markets, Inc., NYC.
Bill Evans (p) Chuck Israels (b) Paul Motian (ds) 

#01,08  May 29, 1962 at Sound Markets, Inc., NYC. 
Bill Evans (p) Chuck Israels (b) Paul Motian (ds) 

#02-04,06,07  June 5,1962 at Sound Markets, Inc., NYC.
Bill Evans (p) Chuck Israels (b) Paul Motian (ds) 

 

ムーンビームス(SHM-CD)

ムーンビームス(SHM-CD)

Amazon

 

 

チャック・イスラエル(Chuck Israels)のプロ・ベースストとしての最初の録音は
1985年11月13日に録音された「John Coltrane - Coltrane Time (United Artists UAJS-15001)」であったそうで。

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

1960年から1961年にかけては、和声の音楽理論「リディアン・クロマティック・コンセプト(Lydian Chromatic Concept)」の提唱者、ジョージ・ラッセル(George Russell)をリーダーとするアルバムに参加していた模様。

 

 

ビル・エヴァンスBill Evans)関連のアルバムへのリンクを貼っておきますね。

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

 

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

kaji-jazz.hatenablog.com