加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「John Coltrane - Coltrane Time (United Artists) 1963」想定外にハード・バップしてたアルバム

John Coltrane - Coltrane Time (United Artists UAJS-15001)」は元々、フリージャズ界の巨人・セシル・テイラーCecil Taylor)のリーダー・アルバム「Hard Driving Jazz (United Artists Records UAL-4014)」として1959年頃に発売された後、1963年頃にジャケットと曲順を変え、ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)名義の「Coltrane Time」で、しれっと再発されたもの。

 

「John Coltrane - Coltrane Time (United Artists) 1963」想定外にハード・バップしてたアルバム

以前から「ほんぽーと(新潟中央図書館)」に収納されていて、気にはなっていたのですが、手に取る事を躊躇していたCDの1枚でした。

 

それを今年2022年の4月、きまぐれで長野市までプチ旅行した際、夕食とる為訪問したバックドロップの唐澤さんにレコードでかけていただきまして。

 

「John Coltrane - Coltrane Time (United Artists) 1963」想定外にハード・バップしてたアルバム

「あー、もっとフリー寄りの演奏かと思いきや、ちょっとフリー入った位のハードバップ寄りな演奏だったんだ。セシル・テイラーもモンクっぽいし。」

 

という事で、新潟に戻ってから、慌てて「ほんぽーと」で、この「John Coltrane - Coltrane Time (United Artists UAJS-15001)」を借りていたという訳でございます。

 

「John Coltrane - Coltrane Time (United Artists) 1963」想定外にハード・バップしてたアルバム

バックドロップの唐澤さん、楽しいひと時をありがとうございました。

 

さて、1958年頃はハードバップが隆盛を極めた時期であり、モード・ジャズやフリー・ジャズ、はたまたファンキー・ジャズなどの新たな演奏スタイルでの演奏が、ちらほら登場する時期でもあります。

 

このアルバム「Coltrane Time (United Artists UAJS-15001)は、前述の通り硬質かつ前衛的な演奏で有名になるセシル・テイラーCecil Taylor)のリーダー・アルバムとして録音されたもの。

 

初期のセシル・テイラーCecil Taylor)のピアノスタイルって、ジャズ界の巨人の一人であるセロニアス・モンクThelonious Monk)みたいだったんですね。

ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)は丁度、セロニアス・モンクと共演を重ね、独自の演奏スタイルに磨きをかけていた時期にあたります。

なので、「セシル・テイラーを第二のセロニアス・モンクとして売り出そう」という意図で、ジョン・コルトレーンをメンバーに選んだんだろう・・・と推測されます。

 

そこにハード・バップ・トランペットのケニー・ドーハムKenny Dorham)、ベースのチャック・イスラエルズ(Chuck Israels)、ドラムスのルイス・ヘイズ(Louis Hayes)という、ハード・バップ寄りのミュージシャンを加えた事で、「ちょっと毛色の違う、モンク風味のハード・バップ」的な演奏が繰り広げられる事となります。

 

 


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ケニー・ドーハムKenny Dorham)作曲の「Shifting Down」は、哀愁漂うハード・バップといった風情の曲。ブルースかな。

冒頭のセシル・テイラーの不協和音気味の音を使いつつもファンキー風味なイントロに恐れおののいてしまいますが、ソロで吹きまくるジョン・コルトレーンが登場した瞬間に、ハード・バップ・ジャズの世界に引き戻されます(笑)。

セシル・テイラーの短いソロのあと、作曲者のケニー・ドーハムが登場し、快調なソロを聴かせてくれます。

 

この曲、何処かで聴いた事あるなあ・・・と思ったら「Kenny Dorham - Quiet Kenny (New Jazz NJLP-8225)」収録の「Blue Spring Shuffle」を別タイトルで演奏したものですね。

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

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確か、1960年に公開されたフランス映画「彼奴を殺せ(Un Temoin dans la Ville)」のサントラでも演奏されていたような・・・。

 

 

 

アップテンポで演奏されるお馴染みのジャズ・スタンダード「Just Friends」では、セシル・テイラーもフツーのソロを弾いてるとこが、面白かったりします。

続くケニー・ドーハムジョン・コルトレーンも快調なソロを聴かせてくれます。

 

ミディアムテンポで演奏される「Like Someone In Love」は、ケニー・ドーハムジョン・コルトレーンセシル・テイラーの順でソロが演奏されます。

 


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最後に登場するベースのチャック・イスラエルズ(Chuck Israels)の堅実なソロも、良いですね。

 

チャック・イスラエルズ(Chuck Israels)作曲の「Double Clutching」は、テーマ部でケニー・ドーハムと、ジョン・コルトレーンがもつれ合うようにテーマを演奏した後、各人の安定したソロが続きます。

 


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こうして覚悟を決めて(笑)聴いてみると、「Cecil Taylor - Hard Driving Jazz (United Artists Records UAL-4014)」を改題した「John Coltrane - Coltrane Time (United Artists UAJS-15001)」の方が、アルバムの内容に合ってる事が実感出来ます。

 

デビュー直後のセシル・テイラーCecil Taylor)が、数多の名盤に名を連ねていた時期のジョン・コルトレーンJohn Coltrane)とケニー・ドーハムKenny Dorham)のフロント2人に、美味しいとこ持っていかれるのは仕方ないよなあ・・・と思ったりします。

 

「John Coltrane - Coltrane Time (United Artists) 1963」想定外にハード・バップしてたアルバム

※手持ちの写真がイマイチなので「Discogs」からレコード画像お借りしました。

 

John Coltrane - Coltrane Time (1963)
United Artists UAJS-15001 / 東芝EMI TOCJ-6891 [2007.03.21] Jazz決定盤1500

Solid State Records SS-18025 (1968) / United Artists Records UAS-5638 (1972)

side 1 (A)
01. Shifting Down (Kenny Dorham)  10:48
02. Just Friends (Klenner, Lewis)  6:20

side 2 (B)
03. Like Someone In Love (Van Heusen-Burke)  8:17
04. Double Clutching (Chuck Israels)  8:41


Kenny Dorham (tp) John Coltrane (ts) Cecil Taylor (p) Chuck Israels (b) 
Louis Hayes (ds) 

October 13, 1958 in NYC.

 

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Original Uissued: Cecil Taylor – Hard Driving Jazz (UAL-4014) / Stereo Drive (UAS-5014) 

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