フレディ・ハバード（Freddie Hubbard）が参加したアルバムを何枚も聴いている人にはご納得いただけるかと思われますが。
フレディ・ハバード（Freddie Hubbard）のリーダー・アルバムでは、音楽監督が居なとフレディのソロは別にして、全体の印象が散漫になる傾向があったりします。
逆に作編曲を得手とするミュージシャンのサイドマンとして参加したアルバム、例えば1960年代初頭に参加したアルバムでは「Eric Dolphy - Outward Bound (New Jazz NJLP-8236)」であったり、「Oliver Nelson - The Blues And The Abstract Truth (Impulse! AS-5)」、「Art Blakey & The Jazz Messengers - Mosaic (Blue Note BST-84090)」、「Quincy Jones - The Quintessence (Impulse! AS-11)」などで、フレディ・ハバード（Freddie Hubbard）が、最良のソロを聴かせてくれております。
まあ、私自身もトランペットを吹くので、トランペット奏者関連のアルバムを意識して聴いているのですが。
我の強いトランペッター、例えばリー・モーガン（Lee Morgan）やチェット・ベイカー（Chet Baker）なども、音楽監督が居たり、ビックバンド（オーケストラ）をバックに演奏した方が、自由奔放なソロを聴かせてくれる傾向があったりしますので、そういう意味で、フレディ・ハバード（Freddie Hubbard）もサイドメンであったり、音楽監督付きのアルバムの方が、自由奔放なソロを聴かせてくれるだろうと推測される訳でございます。
さて、今回ご紹介するアルバム「Freddie Hubbard - The Body & The Soul (Impulse! AS-38)」は、フレディ自身のリーダー・アルバムながら、音楽監督に当時「Art Blakey & The Jazz Messengers」の同僚であった、ウェイン・ショーター（Wayne Shorter）を迎えております。
ウェイン・ショーター（Wayne Shorter）を音楽監督に迎え「４管編成＋ピアノ・トリオ」、「オーケストラ」、「オーケストラ＋ストリングス」という３種類の異なる編成で、フレディ・ハバード（Freddie Hubbard）は何時になく、のびのびとしたソロを聴かせてくれております。
さて、３種類の異なる編成毎に、演奏をさらっとご紹介していきますね・・・。
まず、フレディ・ハバード（Freddie Hubbard）、ウェイン・ショーター（Wayne Shorter）、カーティス・フラー（Curtis Fuller）、エリック・ドルフィー（Eric Dolphy）という、かなり珍しい４管に、シダー・ウォルトン（Cedar Walton）、レジー・ワークマン（Reggie Workman）、ルイス・ヘイズ（Louis Hayes）という、ほぼジャズ・メッセンジャーズというメンバーで、1963年05月02日に録音されたのは３曲。
1963年05月02日のセッションで演奏されたのは、スタンダード・ナンバーである１曲目「Body And Soul」、４曲目「Dedicated To You」、フレディ・ハバード（Freddie Hubbard）自身の作品である５曲目「Clarence's Place」です。
１曲目「Body And Soul」は、しっとりとした雰囲気のバラッドであり、重厚でありつつロマンチックな雰囲気を漂わせる編曲は如何にも、ウェイン・ショーター（Wayne Shorter）らしいなあ・・・と思ったりします。
続いて、ウェイン・ショーター（Wayne Shorter）を編曲（兼音楽監督）に据え、ドラムスをフィリー・ジョー・ジョーンズ（Philly Joe Jones）に入れ替え、豪華なオーケストラを従えて、1963年03月11日に録音されたのは３曲。
1963年03月11日のセッションで演奏されたのは、ボサノヴァの名曲である２曲目「Carnival (Manha De Carnaval)」、フレディ・ハバード（Freddie Hubbard）自身の作品である６曲目「Aries」と９曲目「Thermo」です。
２曲目「Carnival (Manha De Carnaval)」は、低音重視の編成がもたらす重厚なオーケストラの響きが、これまた素晴らしいですね。
フレディ・ハバード（Freddie Hubbard）の輝かしいソロを浮き立たせる、低音アンサンブルも流石・・・と言うべきかと。
最後にウェイン・ショーター（Wayne Shorter）を編曲（兼音楽監督）に据えたオーケストラに、１０人のヴァイオリンを加え、1963年03月08日に録音されたのは３曲。
1963年03月08日のセッションで演奏されたのは、スタンダード・ナンバーである７曲目「Skylark」、デューク・エリントン（Duke Ellington）楽団関連のの３曲目「Chocolate Shake」と、８曲目「I Got It Bad And That Ain't Good」
７曲目「Skylark」は、やや重厚なオーケストラに、きらびやかなストリングスを重ね合わせた演奏ですが。
ウェイン・ショーター（Wayne Shorter）が編曲したサウンドは、1970年代の「CTI Records」で聴かれるようなストリングスものと同等な、何とも斬新な響きをしている様に聴こえます。
インパルス（Impulse! Records）の大編成ものに関しては、クインシー・ジョーンズ（Quincy Jones）のビックバンドもの以外に関しては、今迄それほど興味が湧かず、入手はしたもののＣＤ棚に放置していたのですが。
今回、クインシー・ジョーンズ（Quincy Jones）のビックバンドものから系統だてて聴いてみると、中々聴き応えあるアルバムなんだなあと、再認識してしまいした。
フレディ・ハバード（Freddie Hubbard）も、これまで感じていた以上に、良いソロ吹いてますしね。
Freddie Hubbard - The Body & The Soul
Impulse! AS-38 / Universal Music UCCU-5278 [2005.02.23]
side 1 (A)
01. Body And Soul (Heyman, Eyton, Green, Sour) 4:38
02. Carnival (Manha De Carnaval) (Luiz Bonfa) 5:20
03. Chocolate Shake (D. Ellington, P. F. Webster) 3:57
04. Dedicated To You (H. Zaret, S. Cahn, S. Chaplin) 3:23
side 2 (B)
05. Clarence's Place (Freddie Hubbard) 3:29
06. Aries (Freddie Hubbard) 3:06
07. Skylark (H. Carmichael, J. Mercer) 4:33
08. I Got It Bad And That Ain't Good (D. Ellington, P. F. Webster) 3:41
09. Thermo (Freddie Hubbard) 4:17
#01,04,05 May 2, 1963 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
Freddie Hubbard (tp) Curtis Fuller (tb) Eric Dolphy (as,fl) Wayne Shorter (ts)
Cedar Walton (p) Reggie Workman (b) Louis Hayes (ds)
#02,06,09 March 11, 1963 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
Freddie Hubbard (tp) Al DeRisi, Ernie Royal, Clark Terry (tp)
Curtis Fuller, Melba Liston (tb) Bob Northern (french horn)
Robert Powell (tuba) Eric Dolphy (as) Seldon Powell (ts)
Charles Davis, Jerome Richardson (bs)
Cedar Walton (p) Reggie Workman (b) Philly Joe Jones (ds) Wayne Shorter (arr)
#03,07,08 March 8, 1963 at Capitol Studios, NYC.
Freddie Hubbard (tp) Ed Armour, Richard Williams (tp)
Curtis Fuller, Melba Liston (tb) Bob Northern, Julius Watkins (french horn)
Eric Dolphy (as) Jerome Richardson (bs)
Cedar Walton (p) Reggie Workman (b) Philly Joe Jones (ds) Wayne Shorter (arr)
Harry Cykman, Arnold Eidus, Julius Held, Harry Katzman, Harry Lookofsky,
Charles McCracken, Gene Orloff, Paul Poliakin, Sol Shapiro, Morris Stonzek (violin)
最後にフレディ・ハバード（Freddie Hubbard）関連のご紹介済アルバムへのリンクを貼っておきますが、まあ、結構、紹介してますね。
