加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Ornette Coleman - Free Jazz (Atlantic) 1960」ダブルカルテットが放つ奔放な演奏

以前は「フリージャズ=訳分かんない」という先入観念で、フリー・ジャズの先駆者的立場にいたマルチ・リード奏者であるオーネット・コールマンOrnette Coleman)のアルバムなんかは気軽に聴けなかったんですが・・・。

 

聴いて見ると、案外ふつーに聴けたのが1960年12月21日に録音された「Free Jazz (Atlantic SD-1364)」という、発売当時は「問題作」扱いされていたアルバムであったりします。

 

まあ、「前衛ジャズ界の大物大集合」といった感じのアルバムでもありますね。

 

「Ornette Coleman - Free Jazz (Atlantic) 1960」ダブルカルテットが放つ奔放な演奏

 

ジャケットの窓から見える絵画は抽象表現主義の代表的な画家、ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)の「ホワイト・ライト(White Light) (1954)」という作品だそうで、「ニューヨーク近代美術館(MoMA)」に収蔵されている模様。

 

「Ornette Coleman - Free Jazz (Atlantic) 1960」ダブルカルテットが放つ奔放な演奏

ジャケットの画像は「discogs」からお借りしました。

 


このアルバムで聴かれる「フリー」な演奏とは、ジャズを演奏する基礎要素(お約束)である「コード進行」や「テーマの小節数」、「リズムパターン」などは全て、虚空に放り投げた感じの演奏ですかね・・・。

 

「ジャズ無法地帯」的な「音の洪水」の中で、各人が「尖がった音の塊」を楔のように投げつけていくといった感じかも。

 

また、クラッシックの素養があるベースのスコット・ラファロScott LaFaro)などが、荒れ狂う音の洪水をギリギリの処で「音楽の枠内」に踏みとどめているような感じで、まあ、「クラッシック(現代音楽)」から「フリージャズ」に入った方は、理解し易いみたいです。

 


さてこのアルバムは、「Free Jazz - A Collective Improvisation By The Ornette Coleman Double Quartet」とジャケットに記載されている通り、左右のチャンネルに別々のカルテット(ダブルカルテット)を配し、約37分という長尺の即興演奏を繰り広げます。

 

メンバーの配置は下記に記す感じみたいです。

 [left channel] 
Ornette Coleman (as) Don Cherry (pocket-tp) Scott LaFaro (b) Billy Higgins (ds)

 [right channel] 
Eric Dolphy (bass-cl) Freddie Hubbard (tp) Charlie Haden (b) Ed Blackwell (ds)

 


この「フリー」な録音であらかじめ決められていたのは、「ソロの順番」と「演奏時間」だった模様で、レコード時代には「Part 1」と「Part 2」に分割され、「AB両面で1曲」だった様ですが、長時間収録が可能なCD時代になり、1曲につながった演奏を聴く事が出来るようになりました。

 

ただ、1曲に繋がるということは37分丸々聴き続ける羽目に陥るという事であり、これはこれで「集中力を持続出来ない」という問題が発生します(笑)。

 

良い音で聴けるLPレコードの収録時間が「約20分」という話もありますが、人が「集中して聴ける持続時間」という点でも、「約20分」という時間が合致していたりします。

 

さて、前置きはこれ位にして、アルバム「Free Jazz (Atlantic SD-1364) 」の話に戻ります。

 


www.youtube.com

 

参考音源はアルバム1枚、丸々聴けるので、再生しつつ、私のつたない解説をお読み下さいませ・・・。

 

 

オーネット・コールマンOrnette Coleman)作曲というクレジットが記された「Free Jazz」という曲ですが、派手なテーマらしきものが演奏された後、いきなりドロフィーのソロが始まります。

 

以降、各人のソロが終る頃合いで合奏(テーマ)らしきものが挟まれますが、各人のソロの間、他の奏者がナニしてるかというと、適度に合いの手を入れてる感じでございます。

 


バスクラリネットを演奏するエリック・ドルフィーEric Dolphy)が約5分ほど演奏し、2番目にトランペットのフレディ・ハバードFreddie Hubbard)が約5分ほど演奏。3番目にアルトアックスのオーネット・コールマンOrnette Coleman)が10分弱ほど演奏続したところで、アナログ・レコードではA面(Part 1)終りとなります。

 

ここまでで、経過時間約20分。

 

アナログ・レコードのB面(Part 2)に相当する処から、ポケットトランペットのドン・チェリーDon Cherry)の演奏が約5分演奏し、フロント陣のソロ・リレーが終了。

 

続いて、リズム隊のソロ廻しに移ります。

 

まず、ベースのチャーリー・ヘイデンCharlie Haden)のソロが約4分で、つづくスコット・ラファロScott LaFaro)のベースソロが約4分。

 

最後にドラムのエド・ブラックウェル(Ed Blackwell)が約1分、続く「ビリー・ヒギンズ(Billy Higgins)が約1分のドラムソロを演奏しております。

 


なお、CD時代に追加された「The First Take」という曲は「Free Jazz (alternate take)」で、リハーサル的に、約17分というコンパクトな時間で「Free Jazz」を演奏しております。

 

 

Ornette Coleman - Free Jazz (1960)
Atlantic SD-1364 / Warner Music Japan WPCR-75353 [2008.02.20]


01. Free Jazz (Ornette Coleman) 37:03
     Free Jazz, Part 1 (side 1)
     Free Jazz, Part 2 (side 2)

CD bonus track
02. The First Take [Free Jazz (alternate take)] (Ornette Coleman) 17:00

 


A Collective Improvisation By The Ornette Coleman Double Quartet

Ornette Coleman (as) Don Cherry (pocket-tp) Scott LaFaro (b) Billy Higgins (ds) [left channel] 

Eric Dolphy (bass-cl) Freddie Hubbard (tp) Charlie Haden (b) Ed Blackwell (ds) [right channel] 

December 21, 1960 at A&R Studios in NYC.

 

Free Jazz

Free Jazz

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以前書いた、オーネット・コールマンOrnette Coleman)のアルバム紹介のリンクも貼っておきますね。

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

 

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