「Freddie Hubbard – Red Clay (CTI Records) 1970」クロスオーバー・ジャズ時代の大人気盤
新潟のアマチュア・トランペット界隈でも絶大なる人気を誇っていた(気がする)フレディ・ハバード(Freddie Hubbard)。
そんなフレディ・ハバードが、1970年にルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)スタジオで録音したのが「クロスオーバー・ジャズ」という言葉がぴったりのリーダーアルバム「Red Clay (CTI Records CTI-6001)」。
ブルーノート(Blue Note Records)でお馴染みのサックス奏者、ジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson)をフロントの相方に迎え、バックを固めるのがエレクトリック・ピアノ(キーボード)のハービー・ハンコック(Herbie Hancock)と、ベースのロン・カーター(Ron Carter)。
そしてドラムスには、レニー・ホワイト(Lenny White)が参加しております。
このアルバム「Red Clay (CTI Records CTI-6001)」収録された4曲全てを、フレディ・ハバード(Freddie Hubbard)が作曲しております。
個人的な感想としては、ブルーノート(Blue Note Records)、アトランテック(Altantic Redords)を経て、CTI(CTI Records)でようやく、強烈な個性を持つ「サイドメンとしては有能なトランぺッター」という存在から、この辺りのアルバムで「リーダーとして作品をコントロール出来る処まで成長した」という風に思えたりします。
フレディ・ハバードが残した初リーダー・アルバムから延々聴いてみて。
サイドメンとして参加したアルバムに比べると、リーダーアルバムは少し見劣りするなあ・・・というのが、地方在住アマチュア・トランペット吹きとしての正直な感想でしたので・・・。
さて、アルバム「Red Clay (CTI Records CTI-6001)」の話に戻ります。
1曲目「Red Clay」は、ソウル風味をまぶしたファンキー・ナンバー。
エレクトリック・ピアノの響きが、1970年という時代を象徴している気がします。
市販の楽譜が日本でも出回っているためか、コンボだけでなくビックバンド編成でも良く演奏されております。
2曲目「Delphia」は、ミディアム・テンポの、これまたソウル風味のファンキー・ナンバー。
LPレコード時代にはB面1曲目、CDでは3曲目に相当する「Suite Sioux」は、演奏途中で目まぐるしくテンポが変化する、1970年代のハードバップ・ナンバーといった感じの曲。
フレディ・ハバードも、ソロ2番手で登場するジョー・ヘンダーソンも、ゴキゲン(死語か)な高速フレーズを所々で聴かせてくれます。
アルバム最後を飾る4曲目「The Intrepid Fox」は、ドラムスのレニー・ホワイト(Lenny White)とベースのロン・カーター(Ron Carter)が、テーマ部から張り切ってるようにも感じる(笑)、ややアップテンポ気味の1曲。
フレディ・ハバード(Freddie Hubbard)も負けじと、ブルーノート(Blue Note Recods)時代でよく耳にしたお得意のソロ・フレーズを繰り出し、白熱したソロを聴かせてくれます。
まあ、ジャズ・フェスティバルなどで一番の存在感を示すにも関わらず、サイドメンとして参加したアルバムの方が名盤度が高いフレディ・ハバード(Freddie Hubbard)というトランぺッター、改めて考察してみると、とっても不思議な存在であります。
Freddie Hubbard – Red Clay
CTI Records CTI-6001 / King Records KICJ-2171 [2006.11.08]
CTI Timeless Collection
side 1 (A)
01. Red Clay (Freddie Hubbard) 12:05
02. Delphia (Freddie Hubbard) 7:25
side 2 (B)
03. Suite Sioux (Freddie Hubbard) 8:40
04. The Intrepid Fox (Freddie Hubbard) 10:40
Freddie Hubbard (tp) Joe Henderson (ts,fl) Herbie Hancock (el-p)
Ron Carter (b) Lenny White (ds)
January 27, 28 and 29, 1970 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
ついでなんで、蛇足事項を。
「CTI Records」は1967年、プロデューサーのクリード・テイラー(Creed Taylor)によって創設されたジャズ・レコードレーベルで、略称「CTI」は所説あるものの「Creed Taylor Issue」とか「Creed Taylor Incorporated」という意味合いなんだそうです。
日本では長年、日本での原盤権を買い取っているらしい「キング・レコード」から発売されております。
本国アメリカでは、「ソニー・ミュージックエンタテインメント」が原盤権・マスターテープを保有しているという「ねじれ」関係が影響しているのか、米盤CDに収録されるボーナス・トラックが、日本盤には収録されないというジャズファンにはもどかしい状態が今も続いております。