ケニー・ドリュー(Kenny Drew)が典型的なハードバップ・クインテット編成で録音したアルバム「Undercurrent (Blue Note BST-84059)」

このアルバムの目玉は誰が何と言おうと、「うーんハードバップって良いなあ」という語彙の乏しい感想しか浮かばない、超急速テンポで演奏される1曲目「Undercurrent」です。
フレディ・ハバード(Freddie Hubbard)とハンク・モブレー(Hank Mobley)という、珍しい組み合わせのフロント2人のソロも言うことなし。
冒頭、ベースのサム・ジョーンズ(Sam Jones)、ドラムスのルイス・ヘイズ(Louis Hayes)が刻む超アップ・テンポなリズムに乗り、ケニー・ドリュー(Kenny Drew)が、不穏で印象的なバッキングを聴かせてくれます。
急速テンポにもかかわらず飄々とマイルドなソロを綴っていくハンク・モブレー、楽器をフルに鳴らし切り饒舌すぎるフレーズを次々と繰り出すフレディ・ハバード、「Sonny Clark Trio(Blue Note 1579)」収録の急速調ナンバー「Be-Bop」を彷彿とさせるソロを展開するケニー・ドリューも凄いです。
アート・ブレイキーの大人気曲「モーニン(Moanin')」に、コード進行が似ている2曲目「Funk-Cosity」は、シャッフル気味なリズムにのり、日本人の琴線に触れるマイナー寄りのテーマが良いですね。
最初にソロを取るフレディ・ハバードの勢いのあるソロが素晴らしいです。
「モーニン(Moanin')」に似てるなと考え出すと、ハンク・モブレーの演奏がベニー・ゴルソン(Benny Golson)に、ピアノはボビー・ティモンズ(Bobby Timmons)が弾いている様に聴こえて来るから不思議。
というか、ケニー・ドリューは狙って「それっぽく」演奏しているのだと思われます。
そういえば、マイルスの「So What」も、「モーニン(Moanin')」に刺激されて作ったとの噂が・・・。
アルバム3曲目は「アルフレッド・ライオンの私室(Lion's Den)」。
アルバム解説を読むと、「Lion's Den」はブルーノートのオフィスの事だそうで、軽快かつ躍動感溢れる演奏から録音当時のブルーノート・オフィスの活気が伝わって来るようです。
4曲目「The Pot's On」は、アナログレコードA面に相当する3曲の雰囲気とはがらりと変わり、ハードバップ風味に味付けされ、少し構成に工夫を凝らした明るくスイングする曲で、フレディ・ハバードの明るくキラキラした演奏が一番目立ちます。
フレディ・ハバードに負けじと、ファンキーにブロック・コードを混ぜたソロを展開するケニー・ドリューもいいですね。
マイナー・キーのブルース進行で作られた5曲目「Groovin' The Blues」では、ハンク・モブレーの程よくマイルドな音色で奏でるソロが素敵です。
ラスト、その名もずばり6曲目の「Ballade」は、美しいバラッド。
明るく軽快なハード・バップから、ファンキーでソウルフルな演奏に移行する過渡期的なものを、節々に感じさせる演奏でもあります。
ケニー・ドリューのピアノによる耽美的なカデンツァから始まり、ハンク・モブレーの控えめなハーモニーをバックにフレディ・ハバードがテーマ主旋律を奏でていきます。
ソロ・パートに移行しても、朗々としたメロディーのヴァリエーションが奏でられる感じであり、耽美的な演奏はそのままエンディングに突入していきます。
Kenny Drew - Undercurrent (RVG)
Blue Note BST-84059 / 東芝EMI TOCJ-9049 [1998.11.26]
side 1
01. Undercurrent (Kenny Drew) 7:18
02. Funk-Cosity (Kenny Drew) 8:27
03. Lion's Den (Kenny Drew) 4:53
side 2
04. The Pot's On (Kenny Drew) 6:06
05. Groovin' The Blues (Kenny Drew) 6:19
06. Ballade (Kenny Drew) 5:31
Freddie Hubbard (tp) Hank Mobley (ts) Kenny Drew (p) Sam Jones (b) Louis Hayes (ds)
December 11, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
この後、ケニー・ドリュー(Kenny Drew)は、バド・パウエル(Bud Powell)やデューク・ジョーダン(Duke Jordan)らと同様、ヨーロッパに活路を見出すべく渡欧しまいます。
ケニー・ドリュー(Kenny Drew)には出来ればもう一枚、こんなハード・バップ風味のアルバムを造ってほしかったですね。
ケニー・ドリュー(Kenny Drew)関連の過去記事を貼っておきます。





