ケニー・ドリュー(Kenny Drew)のホーン入りアルバム「This Is New (Riverside RLP12-236)」は、ハードバップ期の演奏スタイルで素敵な演奏を繰り広げるトランペッター、ドナルド・バード(Donald Byrd)を堪能するためのアルバムです、私の場合。
1~3曲目にテナーサックスのハンク・モブレー(Hank Mobley)が加わりますが、ドナルド・バード(Donald Byrd)の影に隠れ、印象薄い気がします。
ちなみに「This Is New (Riverside RLP12-236)」は最初、OJC盤のアナログレコードで持っていたんですが、「CDで聴きたいので買い直そう」と思い、一度処分。
それからしばし手ごろなお値段のCDに巡り合う事が出来ず、長らく聴けなかったのですが、つい先日、ようやくお手頃価格で入手する事が出来ました。
さて、1957年03月28日に録音された1~3曲目は、ドナルド・バード(Donald Byrd)とハンク・モブレー(Hank Mobley)をフロントに配した、ケニー・ドリュー(Kenny Drew)クインテットによる演奏です。
1曲目「This Is New」は、テーマ部にラテン風味交えた哀愁漂う如何にもハード・バップ時代の香り漂う曲。これ、ガーシュウィンの曲なんですね。
ソロの最初に登場するドナルド・バード(Donald Byrd)の感情やや抑え気味のトランペット・ソロ、続くハンク・モブレー(Hank Mobley)はマイルドながらしっかりと自己主張するテナーサックス・ソロを聴かせてくれます。
3番手に登場するケニー・ドリュー(Kenny Drew)のツボを押さえた手堅いピアノ・ソロ、ウィルバー・ウェア(Wilbur Ware)の堅実なベース・ソロに続き、G.T.ホーガン(G.T. Hogan)とフロント二人の4バース・ソロに突入。
4バース・ソロではドナルド・バード、ハンク・モブレーとも最初のソロとは異なる熱いブローを聴かせてくれます。
ちょっと壮大な感じで始まる2曲目「Carol」は、ケニー・ドリュー(Kenny Drew)の書いたバラッド。
ケニー・ドリューのセンチメンタルというかロマンテックな部分が垣間見える演奏です。
ソロ最後に登場するドナルド・バードは、ダブルテンポのフレーズを交えた華麗なるソロを聴かせてくれます。
ベースのイントロから始まる3曲目「It's You Or No One」は、急速調で演奏される曲。
アタック軽めでスムーズなソロを聴かせるハンク・モブレー、バド・パウエル(Bud Powell)お得意のバップ・フレーズを連発するケニー・ドリュー、3番目に登場するドナルド・バードは、クリフォード・ブラウン直系の明るく切れのあるソロ・フレーズを聴かせてくれます。
1957年04月13日に録音された4~7曲目は、ケニー・ドリュー(Kenny Drew)カルテットというより、ドナルド・バード(Donald Byrd)のワンホーン・カルテットと呼んだ方がしっくりくる演奏です。
ピアノのルバードから始まる4曲目「You're My Thrill」は、バラッド風味。
バラッドの演奏で真価を発揮する、ドナルド・バード(Donald Byrd)の独断場とも言えるトラックであります。
歯切れのよいテンポで演奏される5曲目「Little T」は、ドナルド・バード(Donald Byrd)のオリジナル。
自作曲だけあってドナルド・バードは、テーマ部から、はちきれんばかりの音色で切れのあるフレーズを聴かせてくれます。ドナルド・バードに関しては、このアルバム一番の出来かもしれません。
ゆったりとしたテンポで演奏される6曲目「Paul's Pal」は、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)のオリジナル。
ケニー・ドリューとドナルド・バードの相性の良さが伺える1曲であり、ドナルド・バードの切れ味よろしいソロが素晴らしいです。
ややアップテンポ気味に演奏される7曲目「Why Do I Love You?」は、元々歌モノなのかな?
ジャズシンガーのように小粋にテーマ部を奏でるドナルド・バードが素敵です。
どんなタイプの曲でも難なく吹きこなしてしまう、ドナルド・バードの凄さを実感出来る1曲であります。
ついでの情報ではありますが。
「Donald Byrd, Hank Mobley, Kenny Drew - Hard Bop (Jazzland JLP-6)」と改題され発売されたアルバムも、「This Is New (Riverside RLP12-236)」と同じ内容のようです。
まあ、このジャケットの方が、アルバムの内容をダイレクトに伝えていると思いますけど、このジャケットでCD再発してくれないかしら。
Kenny Drew - This Is New
Riverside RLP12-236 / Universal Music UCCO-9343 [2008.05.21]
Jazz The Best 超限定¥1,100 - 193
side 1 (A)
01. This Is New (I. Gershwin, Weill) 6:52
02. Carol (Kenny Drew) 4:27
03. It's You Or No One (Styne, Cahn) 7:59
side 2 (B)
04. You're My Thrill (Gorney, Clare) 5:16
05. Little T (Donald Byrd) 5:59
06. Paul's Pal (Sonny Rollins) 6:35
07. Why Do I Love You? (Hammerstein-Kern) 5:12
#01-03 March 28, 1957 at Reeves Sound Studios, NYC.
Donald Byrd (tp) Hank Mobley (ts) Kenny Drew (p) Wilbur Ware (b)
G.T. Hogan (ds)
#04-07 April 3, 1957 at Reeves Sound Studios, NYC.
Donald Byrd (tp) Kenny Drew (p) Wilbur Ware (b) G.T. Hogan (ds)
最後に「This Is New (Riverside RLP12-236)」が録音された前後のドナルド・バード(Donald Byrd)、ハンク・モブレー(Hank Mobley)、ケニー・ドリュー(Kenny Drew)が参加したアルバムを大雑把に紹介しておきます。
February 11, 1957 at Manhattan Towers, NYC.
●A Date With Jimmy Smith Vol. 1 (Blue Note BLP-1547)
●A Date With Jimmy Smith Vol. 2 (Blue Note BLP-1548)
March 1, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
●George Wallington - The New York Scene (New Jazz NJLP-8207)
March 28, 1957 at Reeves Sound Studios, NYC.
April 3, 1957 at Reeves Sound Studios, NYC.
●Kenny Drew - This Is New (Riverside RLP12-236)
April 21, 1957 at Reeves Sound Studios, NYC.
●Hank Mobley - Hank (Blue Note BLP-1560)
May 19, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
●Paul Chambers Quintet (Blue Note BLP-1564)
July 30, 1957 in NYC.
●Gigi Gryce, Donald Byrd - New Formulas From The Jazz Lab (RCA RCA-6015)
August 9, 1957 in NYC.
●Gigi Gryce, Donald Byrd - Jazz Lab (Jubilee JLP-1059)
September 1, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
●Sonny Clark - Sonny's Crib (Blue Note BLP-1576)
September 15, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
●John Coltrane - Blue Train (Blue Note BLP-1577)