「Lou Donaldson - Lou Takes Off (Blue Note) 1957」若手注目株が繰り広げるハード・バップ・セッション
アルト・サックス奏者、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)をリーダーに据えたブルーノート(Blue Note Records)オール・スター・ジャム・セッション風のアルバムが、今回ご紹介する1957年12月15日に、いつものニュージャージーのハッケンサックにあったルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオ(Rudy Van Gelder Studio)の自宅兼スタジオで録音された「Lou Donaldson - Lou Takes Off (Blue Note BST-81591)」です。
演奏メンバーはルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)の他、フロントはトランペットのドナルド・バード(Donald Byrd)、トロンボーンの俊英カーティス・フラー(Curtis Fuller)の二人を加えた三管編成。
リズム隊はピアノのソニー・クラーク(Sonny Clark)、ベースのジョージ・ジョイナー(George Joyner)、ドラムスのアート・テイラー(Art Taylor)という、ブルーノート(Blue Note Records)のハウス・バンドと言ってもよいメンバーを揃えております。
しかし、ブルーノート(Blue Note Records)の1500番台後半から4000番台前半には、この手のリーダーの名義だけ代えた「オール・スター・セッション」が多数、録音されておりますが、これ、当時のジャズ界隈の流行りだったんでしょうかねえ。
まあ、頭角を現し出したメンバーをリーダーに据え、有能な若手を大量投入する形で行われる「オール・スター・ジャム・セッション」は、まだ知名度が低いものの有能な若手を売り出す事に注力していたブルーノート(Blue Note Records)とっては、ある意味、理想的な編成であったのかもしれませんけど・・・。
また、演奏曲目を眺めてみると、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)の自作曲が2曲、チャーリー・パーカー (Charlie Parker) の作品が1曲、ディジー・ガレスピー (Dizzy Gillespie)の作品が1曲という、ハード・バップ全盛期にあえてビバップ寄りの曲を演奏するという、演奏スタイルの変遷と演奏メンバーの世代交代を印象付ける選曲の様に思われます。
超アップテンポで演奏される1曲目「Sputnik」は、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)の自作曲であり、また、「Lou Donaldson - Sputnik, Part 1 & 2 (Blue Note 45-1713)」としてシングル・カットされている模様。
ルー・ドナルドソンはチャーリー・パーカー (Charlie Parker) 派の面目躍如といった感じでアルト・サックス・ソロを聴かせてくれます。
続いてトロンボーンのカーティス・フラー(Curtis Fuller)、トランペットのドナルド・バード(Donald Byrd)、ベースのジョージ・ジョイナー(George Joyner)、ピアノのソニー・クラーク(Sonny Clark)と流暢なソロが次々と登場。
ドラムスのアート・テイラー(Art Taylor)とドナルド・バード、カーティス・フラー、ルー・ドナルドソンの順でソロ交換を経た後、後テーマに雪崩れ込みます。
如何にもビバップ時代の曲といった風情の2曲目「Dewey Square」は、チャーリー・パーカー (Charlie Parker) の作品。
トロンボーンのカーティス・フラー、アルト・サックスのルー・ドナルドソン、トランペットのドナルド・バード、ピアノのソニー・クラークの順で、これぞハード・バップといった風情の華麗なるソロが続きます。
3曲目「Strollin' In」は、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)自作のブルース曲で、ジョージ・ジョイナーのランニング・ベースに続いて、ファンキーなテーマが始まります。
トランペットのドナルド・バード、トロンボーンのカーティス・フラー、アルト・サックスのルー・ドナルドソン、ベースのジョージ・ジョイナー、ピアノのソニー・クラークの順でファンキーでソウルフルなソロが続いていきます。
超アップテンポで演奏される4曲目「Groovin' High」は、ディジー・ガレスピー (Dizzy Gillespie)の作品。
アルト・サックスのルー・ドナルドソン、トランペットのドナルド・バード、トロンボーンのカーティス・フラー、ピアノのソニー・クラークの順で溌剌としたソロを聴かせてくれます。
最後にドナルド・バードが、はちきれんばかりの音色でカデンツァ吹き演奏は幕を閉じていきます。
凝った仕掛けもなく、ただメンバーのソロが次々と登場するだけの演奏ではありますが、当時勢いに乗っていたであろう生きの良い若手メンバーを集めている為か、飽きずに最後まで聴き通す事が出来ます。
演奏メンバーの中では、ブルーノート(Blue Note Records)4000番台前半でようやくソロ・アルバムが登場するトランペットのドナルド・バード(Donald Byrd)の勢いが、特に素晴らしいかと思われます。
Lou Donaldson - Lou Takes Off (RVG)
Blue Note BST-81591 / 東芝EMI TOCJ-9126 [1999/08/25]
side 1 (A)
01. Sputnik (Lou Donaldson) 10:05
02. Dewey Square (Charlie Parker) 7:17
side 2 (B)
03. Strollin' In (Lou Donaldson) 14:33
04. Groovin' High (Dizzy Gillespie) 6:23
Donald Byrd (tp) Curtis Fuller (tb) Lou Donaldson (as) Sonny Clark (p) George Joyner (b)
Art Taylor (ds)
December 15, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
最後に、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)のその他の作品を紹介した記事のリンクを、参考までに貼っておきます。