6月30日の「夏越の大祓」が終わり、新潟も早々と梅雨が明け、暑さ厳しい7月に突入しました。
さて今回は、1957年初頭に録音された「Wailing With Lou (Blue Note BLP-1545) 」です。
チャーリー・パーカー(Charlie Parker)直系のアルトサックス奏者、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)が、フロントにハードバップ・トランペット奏者、ドナルド・バード(Donald Byrd)を迎えた、比較的な地味な印象のアルバムでございます。
まあ、ハード・バップを基本しているのですが、ソウルやファンクの要素が所々に見え隠れしてますので、ハード・バップの枠に収まらない「ひたすら明るく陽気で五目味なアルバム」である、と言えますね。
明るくファンキーなピアノを弾くハーマン・フォスター(Herman Foster)に加え、ベースのペック・モリソン(Peck Morrison)、派手過ぎず堅実なリズムを刻むドラマーのアート・テイラー(Art Taylor)というリズム・セクションが、フロントの二人を盛り立てます。
前述の通り「Wailing With Lou (Blue Note BLP-1545) 」は、巷のマニアな方々の評価として、大雑把に「ハード・バップ」として分類されているであろうアルバムですが・・・。
1曲目、急速調で演奏される「Caravan」では、ハードバップ以前の演奏スタイルである、荒々しいビバップ的な要素が顔を出しております。
1957年は、ジャズが他のジャンルの音楽を取り込みつつ、様々な方向に分岐しだす「胎動」の時期であったように思われます。
このような「先祖返り」的演奏が、ブルーノート(Blue Note Records)で行われていた事を思うに、ミュージシャンの皆さんも試行錯誤してたんだなあ・・・と。
バラッドの「Old Folks」では、ルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)がソウル風味のアルトサックスを聴かせたかと思えば、続くピアノのハーマン・フォスター(Herman Foster)が、ファンキーなブロックコードでハッピーに盛り上げます。
ルー・ドナルドソンのオリジナル「That Good Old Feeling」は、明るくハッピーな雰囲気漂うミディアムテンポの曲です。
続く急速調の「Move It」も、ルー・ドナルドソンのオリジナル。
多分、「Lover Come Back To Me」とかのコード進行を下敷きに作られた曲の様に思われます(違ってたらスマン)。
バラッド調の「There Is No Greater Love」は、ドナルド・バードの端正なトランペットから始まる1曲。
テーマ後半部はルー・ドナルドソンの明るくソウル風味のアルトサックスが鳴り響き、ピアノのハーマン・フォスターがソロ一番手で短めに切り上げたあと、ルー・ドナルドソン、ドナルド・バードと短いながら印象に残るソロを聴かせてくれます。
アルバム最後を飾る「L.D. Blues」も、ルー・ドナルドソンのオリジナル。
ミディアム・テンポのファンキーなブルースです。
テーマ~ソロと続く、ハーマン・フォスターのやんちゃな暴れっぷりが爽快ですね(笑)。
東芝EMI「最後の復刻シリーズ」のレコードで聴いた時は、何とも「散漫な感じがするアルバムだなあ」・・・と思ったものですが、RVGリマスター盤CDで聴き直すと、結構、面白いアルバムである事が分かって良かったです。
Lou Donaldson - Wailing With Lou (RVG)
Blue Note BLP-1545 / 東芝EMI TOCJ-9088 [1999.03.25] 24 Bit By RVG
side 1 (A)
01. Caravan (Ellington, Mills, Tizol) 5:58
02. Old Folks (Lee Hill, Robison) 6:24
03. That Good Old Feeling (Lou Donaldson) 6:53
side 2 (B)
04. Move It (Lou Donaldson) 5:58
05. There Is No Greater Love (Jones, Symes) 6:55
06. L.D. Blues (Lou Donaldson) 5:19
Donald Byrd (tp) Lou Donaldson (as) Herman Foster (p)
Peck Morrison (b) Art Taylor (ds)
January 27, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
ついでなんで、サイドメンバーのアルバムも紹介しておきます。