加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Ted Curson - Plenty Of Horn (Old Town)」エリック・ドルフィーが参加した幻の名盤

「Plenty Of Horn (Old Town LP P-2003)」はトランペット奏者、テッド・カーソン(Ted Curson)の初リーダーアルバムであり、エリック・ドルフィーEric dolphy)が参加しているためか、「幻の名盤」呼ばれる1枚。

 

「Ted Curson - Plenty Of Horn (Old Town)」エリック・ドルフィーが参加した幻の名盤

リーダーのテッド・カーソン(Ted Curson)は、セシル・テイラーCecil Taylor)と共演した後、アクの強いベーシスト、チャールス・ミンガス(Charles Mingus)率いる「Charles Mingus Jazz Workshop」でも活躍してたそうです。

 

 

アルバム通してテッド・カーソン(Ted Curson)の音程やリズムが不安定なのですが、エリック・ドルフィーEric dolphy)やピアニストのケニー・ドリューKenny Drew)などの素晴らしいバックメンバーが、それを帳消しする活躍を見せてくれます(笑)。

 

 

ただ、エリック・ドルフィーEric dolphy)の参加は2曲だけ。

 

スローバラッドの「The Things We Did Last Summer」と「Bali-H'ai」で、フルートによるオブリガードだけの参加となります。


しかし、エリック・ドルフィーが参加する曲で、テッド・カーソンの音程の乱れがピタっと止まり、フレーズ・音色とも、同じくトランぺット奏者であるブッカー・リトルBooker Little)そっくりになるという不思議(笑)。

 

その他、特筆すべき事項といえば。

 

ロイ・ヘインズ(Roy Haynes)、ダニー・リッチモンド(Danny Richmond)、ピート・ラ・ロカ(Pete La Roca)という3名の名ドラマーを、贅沢にも使い分けている事ですかね。

 


さて、1曲目「Caravan」では、冒頭から中近東アラビア辺りの光景が目に浮かんできます。

 


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途中、音程が怪しくなったり、リズムが乱れたりしますが、変幻自在なロイ・ヘインズ(Roy Haynes)のドラムスによるサポートのお陰で、最初の勢いのまま聴き通せます。

 


2曲目「Nosruc」は、ミディアムテンポの3拍子ワルツ。

 

ソロの2番手で登場するビル・バロン(Bill Barron)のジョン・コルトレーンJohn Coltrane)風で硬質なテナーサックス・ソロもいいですね。


4曲目の「Dem's Blues」は、ファンキーなブルース。

 


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ドナルド・バードDonald Byrd)風味のソロフレーズが聴ける、5曲目の「Ahma (See Ya) 」は、爽快なアップテンポ・ナンバー。

この曲のドラムスは、ピート・ラ・ロカ(Pete La Roca)です。

 


最後の忙(せわ)しないフレーズが印象的な6曲目「Flatted Fifth」、エキゾチックな8曲目「Antibes」。

 


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目まぐるしくテンポと雰囲気が変わる9曲目「Mr. Teddy」にて、アルバムを締めくくられます。

この曲のドラムスは、ダニー・リッチモンド(Danny Richmond)なんですね。

 

 

Ted Curson - Plenty Of Horn (1961)
Old Town LP P-2003

side 1 (A)
01. Caravan (Ellington, Mills, Tizol) 2:59
02. Nosruc (Ted Curson) 6:23
03. The Things We Did Last Summer (Cahn, Styne) 4:29
04. Dem's Blues (Ted Curson) 3:45
05. Ahma (See Ya) (Ted Curson) 4:24

side 2 (B)
06. Flatted Fifth (Ted Curson) 3:37
07. Bali-H'ai (Hammerstein II, Rodgers) 4:00
08. Antibes (Ted Curson) 5:07
09. Mr. Teddy (Ted Curson) 5:15


Ted Curson (tp) Bill Barron (ts) Eric dolphy (fl #3,7) Kenny Drew (p) Jimmy Garrison (b)
Roy Haynes (ds #1,3,6,7) Danny Richmond (ds #2,4,9) Pete La Roca (ds #5,8)
April 1961 in NYC. 

 

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「Plenty Of Horn (Old Town LP P-2003)」を学生当時にレコードで聴いた時は、1曲目の「Caravan」を除き、全体的に散漫な印象しか持てませんでしたが、じっくり聴き直すと、良い処が少しずつ垣間見えるアルバムだったんですね。

 

まあ、ジャズを散々聴いている「玄人」以外には、良さがすぐには伝わらないアルバムかもしれません。

 

 

テッド・カーソン(Ted Curson)のリーダーアルバムだと、1965年の「ドルフィーに捧げる涙 (Tears for Dolphy) (Fontana)」 が有名なようですね。