加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Herbie Nichols Trio (Blue Note) 1955,1956」孤高のピアニスト、ハービー・ニコルズ

ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)というピアニストは、ブルーノート(Blue note Records)5000番台にリーダー録音を残したエルモ・ホープ(Elmo Hope)同様、「知る人ぞ知る」的な存在のまま、現在に至る孤高の存在なんだそうです。

 

ハービー・ニコルズのピアノは、デューク・エリントンDuke Ellington)、セロニアス・モンクThelonious Monk)に連なる、強力でパーカッシブな奏法が特徴であり、後にエリントンと共演するドラムスのマックス・ローチMax Roach)が、妙にハマった演奏を聴かせてくれるのは、面白い処でありますね。

 

「Herbie Nichols Trio (Blue Note) 1955,1956」孤高のピアニスト、ハービー・ニコルズ

さて、今回紹介する「Herbie Nichols Trio (Blue Note BLP-1519)」は、1955年05月に続けて録音された「The Prophetic Herbie Nichols Vol. 1 (Blue Note BLP-5068)」、「The Prophetic Herbie Nichols Vol. 2 (Blue Note BLP-5069)」に続くブルーノート(Blue Note Records)3枚目のアルバム。

1955年08月01日、1955年08月07日、8ヶ月あけて1956年04月19日という、3回分のセッションから厳選拾遺された10曲が収録されております。

 

前述の通り、ドラムスはアート・ブレイキー(Art Blakey)からマックス・ローチMax Roach)に交代しておりますが、個人的にはマックス・ローチの方がハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)にフィットしている気がします。

 

 

そういえば、5000番台のアルバムについては以前、ブログに書いてましたね(忘れてた)。

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

残る大量の未発表曲は日本企画の「Herbie Nichols Trio Vol. 2」や、ボックスセットで聴く事が出来るので興味のある方は、ネットや中古CD屋さんでお探し下さいませ。

 

ハービー・ニコルス・トリオ Vol.2

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さて、「Herbie Nichols Trio (Blue Note BLP-1519)」の話に戻ります。

 

1955年08月01日にヴァン・ゲルダー・スタジオで録音されたセッションには、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)、マックス・ローチMax Roach)の他、ベースのアル・マッキボン(Al McKibbon)が参加しております。


1曲目「The Gig」は、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)の自作曲。ハービー・ニコルズの強力でパーカッシブな演奏を、マックス・ローチMax Roach)が煽る感じが素晴らしいです。

 


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ここでのハービー・ニコルズのソロ・フレーズは、デューク・エリントンDuke Ellington)っぽい感じがしますね。

 


2曲目「House Party Starting」は、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)の自作曲。

セロニアス・モンクThelonious Monk)風味のテーマからドラム・ロールで煽るマックス・ローチが凄まじい(笑)。
デューク・エリントン風味のソロ・フレーズを多用しつつ、どんどんヒートアップしていく感じが素晴らしいですね。

 


3曲目「Chit-Chatting」は、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)の自作曲。

超アップテンポの演奏ですが、容赦なく煽るドラムスとパーカッシブな演奏の絶妙な
からみ具合が良いです。

 


4曲目「The Lady Sings The Blues」は、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)とビリー・リディ(Billy Holiday)の共作で、抒情感あるミディアム・テンポでの演奏です。

 


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この位のテンポだと、セロニアス・モンクThelonious Monk)っぽい感じが出てきますね。


9曲目「Hangover Triangle」は、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)の自作曲。

妙にキレのあるマックス・ローチのドラムスをバックに、ハービー・ニコルズの豪快な演奏が展開されます。

 

 

1955年08月07日にヴァン・ゲルダー・スタジオで録音されたセッションには、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)、マックス・ローチMax Roach)の他、ベースのアル・マッキボン(Al McKibbon)が参加。


5曲目「Terpsichore」は、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)の自作曲。マックス・ローチMax Roach)の素晴らしいドラムスに煽られつつ、ハービー・ニコルズのデューク・エリントン風味な演奏が繰り広げられます。

 


前回のセッションから8ヶ月後、1956年04月19日にヴァン・ゲルダー・スタジオで録音されたセッションには、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)、マックス・ローチMax Roach)の他、ベースはアル・マッキボンからテディ・コティック(Teddy Kotick)に交代しております。


6曲目「Spinning Song」は、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)の自作曲。
遅めのテンポながら、容赦なく煽るマックス・ローチが凄いですね(笑)。


7曲目「Query」は、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)の自作曲。
アップテンポでうきうきする様なテーマ部から、マックス・ローチが豪快に盛り上げていきます。


8曲目「Wildflower」は、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)の自作曲。

 


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摩訶不思議なテーマから、デューク・エリントン風味の速弾きを交えつつ、ハービー・ニコルズが独特なソロを展開していきます。


10曲目「Mine」は、ジョージ・ガーシウィン(George Gershwin)の作品。

ジョージ・ガーシウィンらしい明るいテーマではあるものの、ハービー・ニコルズが弾く独特なフレーズで、独自の世界観が展開されます。

 

 

「Herbie Nichols Trio (Blue Note BLP-1519)」を今回、真剣に聴いてみましたが、マックス・ローチMax Roach)のドラムスの凄まじさと、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)が案外、あっけらからんとデューク・エリントンDuke Ellington)風フレーズを多用している事が以外に感じましたね。

 

で、時々、セロニアス・モンクThelonious Monk)風味の演奏が顔を出すあたりが、ブルーノート(Blue Note Records)のオーナー、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)が気に入り、集中的に録音を実施した理由なんでしょう。

 

孤高のピアニスト、ハービー・ニコルズ(Herbie Nichols)、中々侮れない存在であります。

 

Herbie Nichols Trio (RVG)
Blue Note BLP-1519 / 東芝EMI TOCJ-9046 [1998.11.26]

side 1 (A)
01. The Gig (Herbie Nichols)  4:25
02. House Party Starting (Herbie Nichols)  5:39
03. Chit-Chatting (Herbie Nichols)  4:04
04. The Lady Sings The Blues (Herbie Nichols-Billy Holiday)  4:24
05. Terpsichore (Herbie Nichols)  4:01

side 2 (B)
06. Spinning Song (Herbie Nichols)  4:57
07. Query (Herbie Nichols)  3:29
08. Wildflower (Herbie Nichols)  4:07
09. Hangover Triangle (Herbie Nichols)  4:01
10. Mine (George Gershwin)  4:04


#01-04,09  August 1, 1955 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Herbie Nichols (p) Al McKibbon (b) Max Roach (ds)

 

#05 August 7, 1955 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ. 
Herbie Nichols (p) Al McKibbon (b) Max Roach (ds)

 

#06-08,10  April 19, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Herbie Nichols (p) Teddy Kotick (b) Max Roach (ds)

 

ハービー・ニコルス・トリオ

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