「Donald Byrd - Byrd In Paris Vol. 2 (Brunswick) 1958」オリンピア劇場でのライブ第2弾
名トランペット奏者、ドナルド・バード(Donald Byrd)が1958年11月22日、フランスはパリにあるオリンピア劇場(L'Olympia)で行ったライブ録音「Byrd In Paris Vol. 1 (Brunswick 87 903)」に続くの第2弾が「Byrd In Paris Vol. 2 - Parisian Thoroughfare (Brunswick 87 904)」です。
「Byrd In Paris Vol. 1 (Brunswick 87 903)」が比較的長尺な5曲が収録されているのに対し、「Byrd In Paris Vol. 2 - Parisian Thoroughfare (Brunswick 87 904)」は、テーマ的に演奏された「Salt Peanuts」2回分含めた短めな曲を混ぜつつ、計8曲ほどが収録されております。
「ハード・バップ」を駆使した演奏の円熟期にあったトランペット奏者のドナルド・バード(Donald Byrd)をリーダーとし、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)スタイルの演奏を得意とするテナー・サックス&フルート奏者ボビー・ジャスパー(Bobby Jaspar)の二人がフロント。
ピアノはウォルター・デイビスJr.(Walter Davis Jr.)、ベースはダグ・ワトキンス(Doug Watkins)、ドラムスはアート・テイラー(Art Taylor)という、堅実なメンバーを揃えております。
万雷の拍手の後、1曲目に演奏される「Salt Peanuts」は2分程なので、テーマ代わりでしょう。
なお、途中に出て来るボビー・ジャスパー(Bobby Jaspar)の超高速ソロは凄いの一言。
2曲目「Parisian Thoroughfare」は、バド・パウエル(Bud Powell)の作品で、9分程の演奏。
この曲も「ブラウン - ローチ・クインテット」での演奏が有名ですね・・・という事で、演奏フォーマットは「ブラウン - ローチ・クインテット」が残した演奏に準拠しております。
てな訳で、ボビー・ジャスパー(Bobby Jaspar)は、ハロルド・ランド(Harold Land)風味溢れるソロを展開・・・。
続く、ドナルド・バード(Donald Byrd)は勿論、清々しいまでにブラウニー(クリフォード・ブラウン)風味の演奏を聴かせてくれます。
ウォルター・デイビスJr.(Walter Davis Jr.)が、リッチー・パウエル(Richie Powell)寄りのピアノ・ソロを聴かせた後、怒涛の後テーマ部に突入していきますが、エンディングのお遊びがこれまた、たのしゅうございます。
3曲目「Stardust」は、ホーギー・カーマイケル(Hoagy Carmichael)が書いた有名なスタンダードで、3分程の演奏。
ドナルド・バード(Donald Byrd)の朗々としたトランペットが、会場中に鳴り響いております。
4曲目「52nd Street Theme」は、セロニアス・モンク(Thelonious Monk)の作品で7分弱の演奏。
ミディアム・テンポで各人の聴き応えあるソロが演奏されていきますが、随所に登場する「仕掛け」も楽しいですね。
5曲目「At This Time」は、ドナルド・バード(Donald Byrd)の作品で10分程の演奏。あ、この曲も「Off To The Races」とか「The Long Two/Four」の異名同曲だ(笑)。
急速調で演奏される部分と、リズム隊がマーチ風のリズムを刻む部分が交互に登場する事で、各メンバーのソロに緩急がつく、面白い演奏であります。
6曲目「Formidable」は、ウォルター・デイビスJr.(Walter Davis Jr.)が書いた哀愁漂う曲であり、ここでは9分強の演奏が繰り広げられます。
なお、「Formidable」という曲は、1959年05月02日にスタジオ録音された「Jackie McLean - New Soil (Blue Note BLP-4013)」の未発表曲であり後年、未発表拾遺集「Jackie McLean - Vertigo (Blue Note LT-1085)」に収録され日の目をみました。
7曲目「Two-Bass Hit」は、ディジー・ガレスピー(Dizzy Gillespie)とジョン・ルイス(John Lewis)の共作で3分弱の演奏。
ピアノ・トリオのみで、特にドラムスのアート・テイラー(Art Taylor)が目立つ演奏となっております。
最後8曲目に演奏される「Salt Peanuts」も2分程なので、テーマ代わりでしょう。
ここでは、ボビー・ジャスパー(Bobby Jaspar)とアート・テイラー(Art Taylor)の
ソロ演奏が光っております。
Donald Byrd - Byrd In Paris Vol. 2 - Parisian Thoroughfare (1958)
Brunswick 87 904 / Universal 422 833 395-2 [2000]
Gitanes Jazz Productions Jazz In Paris 05
side 1 (A)
01. Salt Peanuts (Dizzy Gillespie, Kenny Clarke) 2:13
02. Parisian Thoroughfare (Bud Powell) 9:05
03. Stardust (Hoagy Carmichael, Mitchell Parish) 3:19
04. 52nd Street Theme (Thelonious Monk) 6:42
side 2 (B)
05. At This Time (Donald Byrd) 10:03
06. Formidable (Walter Davis Jr.) 9:28
07. Two-Bass Hit (Dizzy Gillespie, John Lewis) 2:56
08. Salt Peanuts (Dizzy Gillespie, Kenny Clarke) 2:15
Donald Byrd (tp) Bobby Jaspar (ts,fl) Walter Davis Jr. (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (ds)
October 22, 1958 at L'Olympia, Paris, France.
マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の自伝にも言及されておりますが、パリの街や聴衆が、アメリカ在住のジャズ・ミュージシャンを人種差別と切り離し、「芸術家」として温かく迎えてくれる事で、ミュージシャン達もアメリカ本国以上に、張り切った演奏を聴かせてくれてたんでしょうねえ。
フランスでのライブ演奏に名演が多い理由が、何となく分かる気がします。
「Byrd In Paris Vol. 1 (Brunswick 87 903)」のアルバム紹介は、下記リンクからどうぞ。