「Freddie Redd - Shades of Redd (Blue Note) 1960」悲劇俳優の名演奏
1960年08月13日に録音されたピアニスト、フレディ・レッド(Freddie Redd)をリーダーとする「Shades of Redd (Blue Note BST-84045)」は、ブルーノート(Blue Note Records)での前作「The Connection (Blue Note BST-84027)」に続くアルバムです。
前作に引き続き、アルトサックスのジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)が参加。
さらにブルーノートが当時売り出を図るテナーサックスのティナ・ブルックス(Tina Brooks)を加える事で、ブルージーでダークな雰囲気をさらに高めております。
1曲目の「The Thespian(悲劇俳優)」は、他曲の印象が薄くなるほどのブルーノートらしいスバ抜けた出来。私はこの必殺の1曲だけで満足してしまいます(笑)。
なおこの曲、フレディ・レッド(Freddie Redd)の顔立ちが「The Thespian(悲劇俳優)」みたいであったことから付けられた様です。
「The Connection」の延長線上の如き、ドラマのオープニングを思わせるスローで印象的なイントロ部分を経て、(心の中で)タイトルバックが表示すると同時にアップテンポで猛然とスイング始めるテーマ部までで、十分満足してしまう程に劇的な展開。
ポール・チェンバース(Paul Chambers)のイントロ部分のベース弓引き、続くぐいぐい引っ張るウォーキング・ベースが心地良いですね。ティナ・ブルックス(Tina Brooks)の泣きのテナー、ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)の哀愁溢れるアルト。そして最後に登場するフレディ・レッド(Freddie Redd)の哀愁と歓喜が入り混じった独特のソロ。
数々の名曲を残すソニー・クラーク(Sonny Clark)やデューク・ジョーダン(Duke Jordan)達と同じ系列に属するように思われます。つまり作曲が得意で、アドリブ・ソロ・フレーズでさえも美しいメロディを奏でるピアニストなのでしょう、フレディ・レッドは。
この1曲だけ聴くと彼は、ホレス・シルヴァー(Horace Silver)に匹敵する作曲能力を持っていたのでは?と思われる程です。
2曲目、スローテンポの「Blues-Blues-Blues」は、ややダウン・トゥ・アースなブルースです。
フロント2人の見事な嵌まり具合がお見事ですしフレディ・レッドもソロの途中、ブロック・コードなどで軽く応戦しております。
3曲目、幻想的な「Shadows」は、黄昏時のムード満点なバラッド。このタイプの曲には、ティナ・ブルックスの幻想的なソロがピッタリと嵌まります。
続くフレディ・レッドのソロもなかなか・・・・・。
4曲目、やや明るめな曲調の「Melanie」。
なお「Melanie」の別テイクは、本テイクより落ち着きのない演奏に思えます。
5曲目、超アップテンポの「Swift」は、ジャッキー・マクリーンの疾走感溢れるソロが良いですね
6曲目、タイトル通りのバラッド「Just A Ballad For My Baby 」は、ロマンテックなナンバー。フレディ・レッドの押さえ気味のピアノ・ソロが聴き所です。
7曲目、アルバムの最後を飾るのは、スパニッシュ風味の「Ole」。
デューク・ジョーダン(Duke Jordan)の「危険な関係のブルース(別名 Si-Joya)」みたいなテーマを持つ哀愁漂う曲です。フロント2人は、余裕たっぷりにブルージーなソロを展開。
「Ole」の別テイクは、テーマ部がややギクシャクした感じに思われます。
Freddie Redd - Shades of Redd +2 (RVG)
Blue Note BST-84045 / Blue Note 50999 5 14375 2 7 [2008] RVG Edition
side 1 (A)
01. The Thespian (Freddie Redd) 6:58
02. Blues-Blues-Blues (Freddie Redd) 5:57
03. Shadows (Freddie Redd) 7:20
side 2 (B)
04. Melanie (Freddie Redd) 5:03
05. Swift (Freddie Redd) 3:59
06. Just A Ballad For My Baby (Freddie Redd) 4:11
07. Ole (Freddie Redd) 6:22
Bonus Tracks
08. Melanie (alternate take) (Freddie Redd) 5:26
09. Ole (alternate take) (Freddie Redd) 7:38
Jackie McLean (as) Tina Brooks (ts) Freddie Redd (p)
Paul Chambers (b) Louis Hayes (ds)
August 13, 1960 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
The Connection (Blue Note BST-84027)