イギリス連邦加盟国ジャマイカ(Jamaica)のキングストン(Kingston)出身で、ヨーロッパで活動した後、アメリカに移住したディジー・リース(Dizzy Reece)。
そんなディジー・リース(Dizzy Reece)がブルーノート(Blue Note Records)に残した三部作の最後を飾るのは、1960年05月12日録音のワン・ホーン・アルバム「Soundin' Off (Blue Note BLP-4033)」です。
ピアノのウォルター・ビショップ Jr.(Walter Bishop Jr.)、ベースのダグ・ワトキンス(Doug Watkins)、ドラムスのアート・テイラー(Art Taylor)という堅実なリズム隊をバックに、ディジー・リース(Dizzy Reece)は魅力満載で、特徴ある演奏を聴かせてくれます。
また、このアルバムからは主にジュークボックス向けであろうシングル盤「Dizzy Reece - A Ghost Of A Chance / Blue Streak (Blue Note 45-1777)」が発売されております。
1曲目「A Ghost Of A Chance」は、ディジー・リース(Dizzy Reece)お得意の、綺麗で伸びやかなロングトーンを上手く生かした1曲。
2曲目「Once In A While」は、軽快にスイングする1曲。
ウォルター・ビショップ Jr.(Walter Bishop Jr.)の美しいイントロに導かれ、ディジー・リース(Dizzy Reece)も豪快かつ伸びやかなトランペットを聴かせてくれます。
3曲目「Eb Pob」は、早世したトランペット奏者ファッツ・ナバロ(Fats Navarro)
と、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)の共作。
ディジー・リース(Dizzy Reece)の特徴の一つである、強烈なアタックと装飾的に使われる高速スイング・フレーズが、ソロの随所に登場します。
4曲目「Yesterdays」は、バラッド風の演奏ですが、テーマ部からお得意の強めなアタックが炸裂しております(笑)。
5曲目「Our Love Is Here To Stay」は、軽快にスイングする1曲ですが、ディジー・リース(Dizzy Reece)は、強めなアタックでファンキーに盛り上げて
いきます。
こういう演奏スタイルは、ナット・アダレイ(Nat Adderley)も得意ですね。
6曲目「Blue Streak」は、アップテンポで演奏されるディジー・リース(Dizzy Reece)
自作のブルース。
強烈なアタック、伸びやかなハイトーン、装飾的な高速スイング・フレーズと、ディジー・リース(Dizzy Reece)の特徴を詰め込んだソロが炸裂(笑)しております。
シングルトーン中心ながら、時々ブロック・コードで盛り上げるウォルター・ビショップ Jr.(Walter Bishop Jr.)のピアノも聴き処の一つです。
Dizzy Reece - Soundin' Off (RVG)
Blue Note BLP-4033 / 東芝EMI TOCJ-9513 [2003.07.24] 24 Bit By RVG
side 1 (A)
01. A Ghost Of A Chance (Crosby, Washington, Young) 5:04
02. Once In A While (Green, Edwards) 7:54
03. Eb Pob (Navarro, Parker) 7:27
side 2 (B)
04. Yesterdays (Kern, Harbach) 7:44
05. Our Love Is Here To Stay (Gershwin) 7:08
06. Blue Streak (Dizzy Reece) 6:21
Dizzy Reece (tp) Walter Bishop Jr. (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (ds)
May 12, 1960 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
トランペットのワンホーン・アルバムというと、天才トランペット少年リー・モーガン(Lee Morgan)が残した大名盤「Lee Morgan - Candy (Blue Note BLP-1590)」を真っ先に思い浮かべますが、小粋なスタンダード中心の曲構成とか、似通った面を意識して聴き比べてみるのも面白いかもしれません。
ブルーノート(Blue Note Records)における、ディジー・リース(Dizzy Reece)の特徴的な演奏が聴ける他のアルバムに関しては、以前の記事を参照願います・・・。
ディジー・リース(Dizzy Reece)は個性的なトランペッターではあったものの、リーダー作が3枚で打ち止めになった理由としては、当時人気が出てた演奏スタイルが、ファンキーからモードに移り変わる時期であり、ディジー・リース(Dizzy Reece)のスタイルは少し古臭い印象を持たれ、アルバムの売り上げに結びつかなかったんではないかと思ったりします。
例えば、ハードバップの延長線上にあるスタイルではなく、もっとファンキー寄りのスタイルのバンドを組めば、キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderly)やドナルド・バード(Donald Byrd)の様に人気が出たと思われますが・・・・。
なお、ディジー・リース(Dizzy Reece)自身の発言では、4枚目として「ライブ・アルバム」が企画されていたそうですが、いつの間にか立ち消えになったみたいです。
この時期のブルーノート(Blue Note Records)で活躍したトランペッターを思い起こすに、リー・モーガン(Lee Morgan)が体を壊して引退状態に追い込まれたものの、ドナルド・バード(Donald Byrd)やフレディ・ハバード(Freddie Hubbard)がコンスタントに売れ筋の良盤を発表していた事から、そちらに経営資源を向ける決断をしたのでしょう。