「Lee Morgan - Candy (Blue Note) 1957」鯔背(いなせ)なトランペットのワンホーン・アルバム
リー・モーガン(Lee Morgan)の「Candy (Blue Note BST-81590)」は、天才トランペット少年、リー・モーガン最初の絶頂期に録音されたワン・ホーン・アルバムです。
これまでのリー・モーガンのブルーノート(Blue Note Records)におけるリーダーアルバムは、コンボ編成なのにあえてベニー・ゴルソン(Benny Golson)などの作編曲者を入れたりと、アンサンブル重視で「自由奔放に吹きまくる」事を意図的に抑制していたのですが・・・。
このアルバムではその制約を解除し、スタンダード・ナンバーを自由奔放に吹きまくる
リー・モーガン(Lee Morgan)を楽しむ事が出来ます。
バックにはこれまた絶好調、ブルーノート(Blue Note Records)のハウス・ピアニスト的存在であったソニー・クラーク(Sonny Clark)がピアノの席に座ってます。
で、ドラムスがアート・テイラー(Art Taylor)で、ベースは珍しくダグ・ワトキンス(Doug Watkins)なんですね。
以前書いたアルバムを読み返すと、ドラムスを間違えてフィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones)、ベースをポール・チェンバース(Paul Chambers)とか書いてましたね。今、見返して気がつきました、失礼(苦笑)。
オープニングの1曲目「Candy」は、威勢よくさっぱりした感じ、つまり「鯔背(いなせ)」という形容詞がピッタリな演奏です。
アート・テイラー(Art Taylor)のハイハットを踏む「きゅっ、きゅっ」という音が時々、耳障りに感じたりしますが、まあ、それもこの演奏の醍醐味の一つという事で。
なお「Candy」のみ、オリジナルの「モノ・バージョン」と後発の「ステレオ・バージョン」では、リー・モーガンのソロ(の編集)だけ若干、異なってたりします。
で、ステレオバージョンは最初、「Lee Morgan - All The Way (Sunset SUS-5263)」というタイトルで発売された模様。
2曲目の「Since I Fell for You」は、女性を口説くような甘いトーンで攻めるリー・モーガンのジゴロ感満載の曲。
こんな吹き方されたら、女性もメロメロ(死語)でしょうねえ。
3曲目の「C.T.A.」では、モーガンらしいキュートなフレーズが随所に炸裂。
4バースを途中に挟み、ソニー・クラークのピアノが気持ち良く疾走します。
4曲目はバラッドで演奏される「All the Way」。
ソニー・クラークの可憐なピアノイントロから始まり、ダグ・ワトキンス(Doug Watkins)のフレーズをグーンと引っ張るベースが心地良い演奏です。
軽快なテンポで演奏される5曲目「Who Do You Love, I Hope」は、ちょっとファンキー風味。
テーマ部でアート・テイラー(Art Taylor)が叩くリズム(リム・ショット)にも注目。
こんな風にドラム叩かれたら、どんな演奏者も燃えてしまうでしょうね。
6曲目、オリジナル・アルバムラストを飾るのがミドルテンポで演奏される「Personality」。
リー・モーガンは、いきなりハーフバルブを使い、キュートなフレーズを決めてきます。このくらいのテンポだと、余裕しゃくしゃくですね。
CD追加曲である7曲目「All at Once You Love Her」は、急速調のナンバー。
良い出来なんですが、オリジナルLPでは収録時間の都合でカットされたのだと思います。
Lee Morgan - Candy + 1 (RVG)
Blue Note BST-81590 / 東芝EMI TOCJ-7091 [2008.03.26]
side 1 (A)
01. Candy (David, Kramer, Whitney) 7:07
02. Since I Fell for You (Johnson) 5:39
03. C.T.A. (Heath) 5:07
side 2 (B)
04. All the Way (S.Cahn, Van Heusen) 7:27
05. Who Do You Love, I Hope (Berlin) 5:02
06. Personality (Burke, Van Heusen) 6:16
CD Bonus Track
07. All at Once You Love Her (Hammerstein, Rodgers) 5:27
Lee Morgan (tp) Sonny Clark (p) Doug Watkins (b) Art Taylor (ds)
#01,03-05 February 2, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
#02,06,07 November 18, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
この時期のリー・モーガン(Lee Morgan)とソニー・クラーク(Sonny Clark)が、どれだけ冴えていたかは当時録音(参加)したアルバムをご覧いただいた方が理解しやすいかと。
1957.09.13 「Sonny Clark Trio (BLP1579)」
1957.09.15 「John Coltrane (with Lee Morgan) - Blue Train (BLP1577)」
1957.09.29 「Lee Morgan - The Cooker (BLP1578)」
1957.11.18 ☆「Candy -first session-」
1958.01.05 「Sonny Clark - Cool Struttin' (BLP1588)」
1958.02.02 ☆「Candy -second session-」
どのアルバムもアルバム・セールス更新中。凄いですね。