「Curtis Fuller - Bone & Bari (Blue Note) 1957」珍しい低音2管編成のアルバム
「Bone & Bari (Blue Note BLP-1572) 」は、カーティス・フラー(Curtis Fuller)のブルーノート第2弾。
カーティス・フラー(Curtis Fuller)のトロンボーンに、テイト・ヒューストン(Tate Houston)のバリトン・サックスが相方を務めるという、珍しい低音2管編成のアルバムです。
バックのピアノ・トリオは、日本で大人気のソニー・クラーク(Sonny Clark)に、ポール・チェンバース(Paul Chambers)とアート・テイラー(Art Taylor)という鉄壁の布陣。
まあ、玄人好みの作品なんでジャズ喫茶あたりで鳴り出すと「おっ!」となること間違いない1枚かと。
1曲目の重厚な「Algonquin」は、カーティス・フラー作曲のマイナー・ブルース。
地響きのようなテイト・ヒューストン(Tate Houston)のバリトン・サックスが心地よい1曲です。
2曲目「Nita's Waltz」は、小粋な感じな3拍子の曲。
カーティス・フラーが子供の頃に聴いたドイツ民謡を、地下鉄に乗っている時に思い出し、まとめた曲らしいです。
ちなみに一緒に地下鉄に乗っていたのは、ドイツから移住してきたブルーノート(Blue Note Records)のオーナー、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)。
バド・パウエル(Bud Powell)との録音(BLP-1571の時ですね)の後、一人で帰るのでは心もとないバド・パウエルを自宅へ送り届けた帰りだったらしいです。
確か「Bud! (BLP-1571)」も、バド・パウエルの精神状態を危惧したアルフレッド・ライオンが、録音が中断された場合の「保険的意味合い」で、地下鉄で偶然見かけたカーティス・フラーを録音に参加させたんだと記憶してますが、それほどバドの状態が不安定だったんでしょうね。
さて話をアルバム「Bone & Bari (Blue Note BLP-1572) 」に戻します。
タイトルにもなった3曲目の「Bone & Bari」は、特にソニー・クラークのシングル・トーンによるソロが聴きもの。
途中、「Lee Morgan - Candy(BLP-1590)」でのピアノ・ソロを思い出させるフレーズが登場します。
各人の小粋なソロが続き、最後にポール・チェンバースのベース・ソロと、アート・テイラーのドラム・ソロで締めくくります。
ソニー・クラークの小洒落たイントロから始まる4曲目「Heart And Soul」は、カーティス・フラーのワンホーンによる演奏。
ホーギー・カーマイケルの手によるスタンダードを、カーティス・フラーが伸び伸びと吹ききっております。
続く5曲目「Again」は、テイト・ヒューストン(Tate Houston)のバリトン・ワンホーンという珍しい1曲であり、カーティス・フラーがテイト・ヒューストンに演奏してもらいたかった曲だそうです。
バリトン・サックスが重低音で美しいスロー・バラッドを奏でる、なんとも素敵な演奏であります。
6曲目、アルバムラストを締めくくるのは超アップテンポの「Pickup」は、ファンキーなリフ(テーマ)のブルース。
ソロ最初に登場するテイト・ヒューストン、猛牛が突進するが如くフレーズを重ねて行きます。続くカーティス・フラー、トロンボーンとは思えない程、軽やかにソロを展開します・・・凄いなあ。
ソニー・クラークもいつになく熱いソロで応戦、そのままセカンド・リフに突入し、あっさりと演奏は終了していきます。
Curtis Fuller - Bone & Bari (RVG)
Blue Note BLP-1572 / 東芝EMI TOCJ-9561 [2003.12.26] 24 Bit By RVG
side 1 (A)
01. Algonquin (Curtis Fuller) 5:04
02. Nita's Waltz (Fuller) 6:57
03. Bone & Bari (Fuller) 6:19
side 2 (B)
04. Heart And Soul (Loesser, Carmichael) 4:51
05. Again (Corcoran, Newman) 7:20
06. Pickup (Curtis Fuller) 5:47
Curtis Fuller (tb #1-4,6) Tate Houston (bs #1-3,5,6)
Sonny Clark (p) Paul Chambers (b) Art Taylor (ds)
August 4, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
「Bone & Bari (Blue Note BLP-1572) 」は、日本では度々再発されているのにも関わらず、欧米では再発の気配すらありませんね。
ちなみにわたくし、ペッパー・アダムス(Pepper Adams)を筆頭にして、バリトン・サックスによる演奏は結構好き。
ジェリー・マリガン(Gery Mulligan)もバリトン奏者でしたね。