「Curtis Fuller Vol. 3 (Blue Note BLP-1583)」は、ハード・バップ・トロンボーンの人気者、カーティス・フラー(Curtis Fuller)がリーダーの2管編成による好アルバム。
叙情的な演奏を得意とするアート・ファーマー(Art Farmer)を相方に従え、ピアノにはホレス・シルヴァー(Horace Silver)の後任としてブルーノートのハウス・ピアニストを務めるソニー・クラーク(Sonny Clark)が参加しております。
演奏全体に漂う雰囲気が、当時のホレス・シルヴァー・クインテット風だったりするのが面白い所ですね。
「It's Too Late Now」を除く5曲が、カーティス・フラーの自作曲であり、ブルーノートらしい好ハードバップ・アルバムなんでは、と思います。
メンバーをよーく見ると、1957年11月10日録音「Cliff Jordan - Cliff Craft (BLP-1582)」
から、リーダーだけ入れ替わったアルバムだったりします(笑)。
1曲目「Little Messenger」は、タイトル通りに「ジャズ・メッセンジャーズ風」な1曲。
ただ、ホレス・シルヴァー・クインテット風味も混ざっているので「初期メッセンジャーズ」のイメージなんでしょうね。
ソロ最初に登場するソニー・クラークは、唸り声をあげながらシングルトーンによる長めのソロを披露し、アート・ファーマーに引き継ぎます。
ソロ最後に登場するのはカーティス・フラー。途中、「ジェリコの戦い」や「朝日の如くさわやかに」のフレーズを引用して、余裕たっぷりにソロを締めくくります。
2曲目「Quantrale」は、アフロ-キューバン調の哀愁漂う1曲。
まあ、映画の幕間にBGMで流れていそうな曲ですね。
3曲目「Jeanie」は、シャッフル・ビートのゆったりした曲。
テーマ部でテーマを吹くカーティス・フラーにさり気なく絡むアート・ファーマーが小粋です。
4曲目「Carvon」は、カーティス・フラーがビクター・ヤングが音楽を担当した西部劇映画から着想を得て作った曲なんだそうで。
叙情的に繰り広げられる長めのイントロは、トロンボーンとベースの弓弾きによるデュオで、その後、リズム隊がやや早めのビートを刻み出します。
リラックス雰囲気の中、アート・ファーマーの美しいソロが際立って聴こえます。
続くソニー・クラークのソロは、なんとなく「Sonny Clark - Cool Struttin' (BLP-1588)」を思わせる展開ですね。
「Walkin'」を思わせるゆったりとした曲調の5曲目「Two Quarters Of A Mile」は、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)に捧げた曲だそうです。
カーティス・フラーのソロの後、アート・ファーマーからソニー・クラークと、叙情的な演奏を得意とするメンバーの華麗なソロが続きます。
ラスト6曲目の「It's Too Late Now」は名コンビ、ラーナー(作詞)&レーン(作曲)による1曲で、最初のフロント2管によるアンサンブルが素敵な曲です。
この位のテンポだと、トロンボーンののほほんとした音色がいっそう冴えて聴こえます。
Curtis Fuller - Curtis Fuller Vol. 3 (RVG)
Blue Note BLP-1583 / 東芝EMI TOCJ-9070 [1999.01.27] 24 Bit By RVG
side 1 (A)
01. Little Messenger (Curtis Fuller) 6:22
02. Quantrale (Curtis Fuller) 6:13
03. Jeanie (Curtis Fuller) 6:49
side 2 (B)
04. Carvon (Curtis Fuller) 6:59
05. Two Quarters Of A Mile (Curtis Fuller) 6:33
06. It's Too Late Now (Lerner, Lane) 6:54
Art Farmer (tp) Curtis Fuller (tb) Sonny Clark (p)
George Tucker (b) Louis Hayes (ds)
December 1, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.