加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Horace Silver - Silver 'N Percussion (BN-LA853-H) 1977」パーカッションと共演し、エグいコーラスをダビング

ホレス・シルヴァーHorace Silver)の「Silver 'N シリーズ」第4弾は「Silver 'N Percussion (BN-LA853-H)」。

 

クインテットのフロントには、トランペットのトム・ハレル(Tom Harrell)とテナー・サックスのラリー・シュナイダー(Larry Schneider)。

リズム隊のベースにはロン・カーターRon Carter)、ドラムスにアル・フォスター(Al Foster)という、マイルス・デイヴィスMiles Davis)関連のミュージシャンが参加しているのも興味深いですね。

 

このアルバムは2つの組曲「African Ascension」と「The Great American Indian Uprising」で構成されており、レコード時代にはAB各面に振り分けされてた感じですね。

 

「Horace Silver - Silver 'N Percussion (BN-LA853-H) 1977」パーカッションとエグいコーラス陣との共演

パーカッションとは同時録音の上、エグい(笑)コーラスをオーバーダビングして仕上げられております。

 

以前ご紹介したアート・ブレイキー(Art Blakey)の「Orgy In Rhythm (Blue Note BLP-1554/1555)」や、後日紹介予定の「Holiday For Skins (Blue Note BLP-4004/4005)」とのネタ被りを避けたかったためか、アフリカを題材にしてもタイトルに「神」や「魂」などを付けてますね。

 

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パーカッション中心というより、宗教的な香り漂うコーラス(チャント)を強調するなど、アート・ブレイキーの諸作と意図的な差別化が施されているように思われます。

 

普通のジャズ鑑賞の途中でこのアルバムを聴くと、男性の低い声のコーラス(チャント)が入るところでのけぞってしまう(笑)のですが、曲自体は「Senor Blues」調のエキゾテック路線をさらにディープにしたものという印象を受けます。

 

まずは1つ目の組曲「African Ascension」から、コーラス(チャント)の皆様方がユニゾンで「オエー♪」と「アエー♪」でテーマメロディをなぞる1曲目「The Gods Of Yoruba (African Ascension Part 1) ヨルバの神」で、このアルバムのディープさを味わってみて下さい。

 


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2つ目の組曲「The Great American Indian Uprising」からは、テーマメロディを「オーヨーナー♪」のコーラス(チャント)でなぞる「The Aztec Sun God (The Great American Indian Uprising Part 2) アズテックの太陽神」あたりは、如何でしょう?

 


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如何にもホレス・シルヴァーらしい、エグくファンキーなサウンドにのり、トム・ハレルのイキの良いソロが飛び出し、続くホレスの手癖満載のソロが楽しゅうございます。

 

蛇足ですが「Silver 'N Percussion (BN-LA853-H)」は、どうも、ジャズ系DJご用達のアルバムだったらしく。

 

1996年には、ジャズ系DJが選定に関わったレアグルーブ関連CD再発の1枚として発売されておりましたね。

 

・・・なのですが、それを何気に豊栄図書館あたりから借りてきて聴いた処、1曲目からいつも聴いてるジャズとは程遠い、エグいコーラス(チャントか)が聴こえてきて、ビビった記憶が蘇ります(笑)。

 

Horace Silver - Silver 'N Percussion (1977)
Blue Note BN-LA853-H / Universal Music UCCU-8139 [2021.10.20]
/ 東芝EMI TOCJ-1626 [1996.11.27]


side 1 (A) - African Ascension

01. The Gods Of Yoruba (African Ascension Part 1) ヨルバの神  6:09
02. The Sun God Of The Masai (African Ascension Part 2) マサイの太陽神  4:06
03. The Spirit Of Zulu (African Ascension Part 3) ズールーの魂  10:11

 

side 2 (B) - The Great American Indian Uprising

04. The Idols Of The Incas (The Great American Indian Uprising Part 1) インカの邪神  5:04
05. The Aztec Sun God (The Great American Indian Uprising Part 2) アズテックの太陽神  7:03
06. The Mohican And The Great Spirit (The Great American Indian Uprising Part 3) モヒカン&グレート・スピリット  6:15

All Composition by Horace Silver


Tom Harrell (tp,flh) Larry Schneider (ts) Horace Silver (p,arr) Ron Carter (b) 
Al Foster (ds) Ladji Camara, M. Babatunde Olatunji (per) 
November 12, 17, 25 & 30, 1977 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

overdubbed :
Bob Barnes, Bobby Clay, Fred Gripper, Fred Hardy, Peter Oliver Norman, Lee C. Thomas (vo) 
Chapman Roberts (vo, director)
November 25 & 30, 1977 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

 

 

「Silver 'N シリーズ」

 

●第1弾は1975年、金管楽器中心のホーンセクションをオーバーダビングした「Silver 'N Brass (BN-LA406-G)」。

 

●第2弾は1975年末にクインテット編成の録音を行い、1976年初頭に木管楽器中心のホーンセクションをオーバーダビングした「Silver 'N Wood (BN-LA581-G)」。

 

●第3弾は1976年後半、コーラス・アンサンブルをオーバーダビングした「Silver 'N Voices (BN-LA708-G)」。

 

●第4弾は本作「Silver 'N Percussion (BN-LA853-H)」。

 

●第5弾は1978年から1979年にかけ、クインテット編成にヴォーカルを加えたり、ストリングスをオーバーダビングしたブルーノート最終作「Silver 'N Strings (LWB-1033)」。