マイルス・ディヴィス(Miles Davis)が最先端の音楽スタイルを提示すると、海外のジャズミュージシャンが模倣しだす・・・というのは全世界共通の出来事のようで。
日野皓正さんの1969年09月に録音されたアルバム「Hi-Nology (takt)」のサウンドは、エレクトリック・サウンドに舵を切ったマイルスのアルバムの影響下にあると思われます。
具体的には、前年1968年に録音・発売された「Miles In The Sky (Columbia CS-9628)」と「Filles De Kilimanjaro (Columbia CS-9750)」あたりを参考にしているかと・・・。
日野さんのエレクトリック・マイルスへの憧憬と挑戦を具現化したのが、このアルバム「Hi-Nology (takt)」ではないかと思ったりします。
「Miles In The Sky」で演奏されている様な、シンプルなエイト・ビートを刻むドラム。
表題曲「Hi-Nology」をお聴きになると分かる通り、アルバム「Alone, Alone and Alone (takt Jazz Jazz-13)」に比べ、熱気を抑えつつ、オリエンタル風味の洗練され抒情的な曲が続きます。
ボーナス・トラックのド派手な「Snake Hip」と「白昼の襲撃 -テーマ-」は、東宝映画「白昼の襲撃」サウンドトラックからシングルカットされたものだとか。
「白昼の襲撃」は、監督・西村潔、出演・黒沢年男、緑魔子、岸田森ほかの出演で、音楽担当が日野皓正さんだったそうです。
日野皓正 – Hi-Nology +2 (1969)
Terumasa Hino Quintet – Hi-Nology +2 (1969)
takt Jazz/Columbia XMS-10020-CT / COCB-31011 [2000.07.20]
side 1
01. Like Miles (Terumasa Hino) 9:54
02. Electric Zoo (T. Muraoka)12:25
side 2
03. Hi-Nology (Terumasa Hino) 14:29
04. Dupe (Terumasa Hino) 6:55
Bonus Tracks
05. Snake Hip (Terumasa Hino) 3:27
06. 白昼の襲撃 -テーマ- (In Broad Daylight Raid) (Terumasa Hino) 5:09
日野皓正 (tp) 村岡建 (ts) 鈴木宏昌 (el-p) 稲葉国光 (el-b) 日野元彦 (ds)
#10-04 July 31, 1969 at Yamaha Hall, Ginza, Tokyo.
#05,06 September 1969
テナーの村岡建さんは、ウェイン・ショーター(Wayne Shorter)。
ドラムの日野元彦さんは、トニー・ウィリアムス(Tony Williams)。
エレクトリック・ピアノの鈴木宏昌さんは、ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)。
そういう「役割分担」的な視点で眺めると、ああ、なるほどと思い当たる部分が出てきたりします。
蛇足ですが、当時のマイルスのバンドで、ロン・カーター(Ron Carter)はエレクトリック・ベースを嫌々弾いていたそうで。
その後、バンドを脱会した理由が「エレクトリック・ベースを弾きたくない」だったとか。