加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Mt.Fuji Jazz Festival with Blue Note '86」について

1980年代に一度新規録音を中断していた「ブルーノート(Blue Note Records)」が新規録音を再開した記念に、ニューヨークのタウン・ホールで後に「One Night with Blue Note」として発売されたコンサートを行います。

 

そのライブにブルーノート(Blue Note Records)の創始者、アルフレッド・ライオン(Alfrd Lion)が姿を現した事をきっかけに、日本の東芝EMIブルーノートの再発に力を入れていた行方均さん、ジャズ・ジャーナリストの小川隆夫さん、スイングジャーナル中山康樹さんらを中心として、独自企画が動き出す事となります。

 

その結果として、日本でブルーノート(Blue Note Records)で録音を残した大物アーティストらが集結し、野外ジャズ・フェスティバルが企画されます。

 

これは「One Night with Blue Note」のアウトドア拡大版として企画されたものであり、東芝EMIの行方均氏らの強い希望でスペシャル・ゲストとして、かつてのオーナー「アルフレッド・ライオン(Alfrd Lion)」の来日が実現してしまいました。

 

「Mt.Fuji Jazz Festival with Blue Note '86」について

 

「マウント・フジ・ジャズ・フェスティバル(Mt.Fuji Jazz Festival with Blue Note)」と名付けられたジャズ・フェスティバルは、アルフレッド・ライオンが見守る中、昼は山梨県の山中湖畔特設ステージ、夜はアーティスト達の宿泊先である「ホテルマウント富士」を舞台にして、3日間に渡り熱い演奏が繰り広げられました。

 

当時の資料によると、1986年の開催内容は次の通りです(ジャム・セッションの詳細は不明)。プログラムを眺めると、「トリビュート企画」が多いですね。


 Mt.Fuji Jazz Festival with Blue Note '86 on Lake Yamanaka at the foot of Mt.Fuji August 29-31,1986 

 

●August 29,1986 (Fri) 1st Jazz Day

1st set: OTB & The Little Giants
2nd set: LD + Kankawa : Super Soul Jam
3rd set: Milt Jackson Quartet "Tribute to Thelonious Monk"
4th set: Andrew Hill Solo/Trio/Sextet
5th set: Herbie Hanckock Trio featuring James Newton, Bobby Hutcherson "Tribute to Eric Dolphy"

 

●August 29,1986 (Fri) 1st Jazz Night

Jam Session


●August 30,1986 (Sat) 2nd Jazz Day

1st set: Benny & Yosuke / Benny Wallace Group
2nd set: Jackile McLean Quintet / Cedar Walton Trio "Tribute to Sonny Clark"
3rd set: Stanley "The Man" Turrentine
4th set: Carmen McRae
5th set: Art Blakey's Now & Then Jazz Messengers

 

●August 30,1986 (Sat) 2nd Jazz Night

Jam Session


●August 31,1986 (Sun) 3rd Jazz Day

1st set: OTB featuring Harry Pickens Trio "Tribute to Bud Powell"
2nd set: Freddie - Woody - 2 trumpets ”偉大なトランペッターたちに捧ぐ”
3rd set: Michel Petrucciani Solo : Pianism
4th set: Herbie Hancock - The Sextet
5th set: Grand Finale : Tribute to Alfred Lion



なお、アルフレッド・ライオン(Alfrd Lion)の来日中は、主治医としてジャズ・ジャーナリストでもある小川隆夫さんが終日、付き添っていたそうです。


演奏の一部は、TVでは「日本テレビ系列」、ラジオは「NHK-FM」を通してオンエアされています。

その後、収録された映像は東芝EMIより、2本のビデオとLD(レーザー・ディスク)に纏められ、販売されましたが、現在は廃盤となっており、DVD等での再発もない様ですね。

 

なお、フェスティバル開催を記念して、東芝EMIは「ブルーノート名盤のCD化(Blue Note Super CD 50 series)」を開始します。