2023年現在も、御年90歳となるクインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)は、精力的な音楽活動を続けている様です。
ヴィヴラフォンの名手、ライオネル・ハンプトン(Lionel Hampton)が楽団を率いて1953年に行ったヨーロッパ巡業の際、トランペット奏者として同行し、ハンプトン親分の監視の目をかいくぐって行った、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)を中心としたモダンなジャズ・セッションに作編曲を担当した辺りから注目を集めたクインシー。
クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)の華麗なるキャリアの初期は、カウント・ベイシー(Count Basie)楽団や、自身が結成した楽団への作編曲などで実力を発揮。
数多の映画音楽を担当する事でジャズ界に名を轟かせ、後年はマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)のプロデュースを担当する事で、ポピュラー音楽界にも多大なる影響を与えた人物です。
さて、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)の編曲傾向としては、ハッタリの効いたド派手なアンサンブル、曲のメロディを上手くを生かし、ソロ・スペースを十分にとったコンボ編成の延長戦上にあるような間の使い方にあるように思われます。
クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)はトランぺット奏者として活動を開始した事も関係するのか、編曲の際、トランペット・セクションに容赦ないハイノートを要求する事が多く、演奏するアマチュア・トランペット奏者の屍の山を作り上げる事で恐れられていたりもします(冗談よ)。
さて、1956年09月の14日、19日、19日の三回に渡り収録された今回のアルバム「Quincy Jones - That's How I Feel About Jazz (ABC-Paramount ABC-149)」においても、1960年代辺りから聴く事が出来るド派手なアンサンブル等は薄いものの、クインシーの凝った編曲の面白さは十分堪能出来るアルバムだと思います。
日本題が「私の考えるジャズ」とかいう、学術的というか堅苦しい雰囲気なんですが、演奏自体は、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)らしいモダンなサウンドが全編に渡り展開されております。
何気にベースのチャールス・ミンガス(Charles Mingus)や、アーニー・ロイヤル(Ernie Royal)、ジョー・ワイルダー(oe Wilder)、アービー・グリーン(Urbie Green)、ジェロム・リチャードソン(Jerome Richardson)、ビリー・テイラー(Billy Taylor)など、渋めの実力派が参加しているのも嬉しいですね。
11分弱にも及ぶ1曲目「Walkin'」では、ポール・チェンバース(Paul Chambers)の長めのベース・ソロに続き、軽快なアンサンブルをバックにアート・ファーマー(Art Farmer)のトランペット、ラッキー・トンプソン(Lucky Thompson)のテナー・サックス、複数のトロンボーン、フィル・ウッズ(Phil Woods)のアルトサックス、ハンク・ジョーンズ(Hank Jones)のピアノと淡々としながらも、ポイントを押さえた演奏が続きます。
2曲目「A Sleeping Bee」は、ハービー・マン(Herbie Mann)のフルートが冒頭のテーマを奏で続いてブラス・アンサンブルが登場する柔らかな雰囲気の曲。
フィル・ウッズ(Phil Woods)のアルト、アート・ファーマー(Art Farmer)のミュート・トランペットが心地よいソロを聴かせてくれてます。最後に登場するチャールス・ミンガス(Charles Mingus)のベース・ソロとフルート、そしてブラス・アンサンブルとの絡みが面白いですね。
ウォーキング・ベースとハンド・クラップから始まる3曲目「Sermonette」では、アート・ファーマー(Art Farmer)のミュート・トランペットがテーマを奏で、そのままソロに突入します。
ラッキー・トンプソン(Lucky Thompson)のテナー・サックス、ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)のヴィヴラフォン、ジーン・クイル(Gene Quill)のアルト・サックスと洗練されたソロが続きます。
いきなり重厚なアンサンブルから始まる4曲目「Stockholm Sweetnin'」では、アート・ファーマー(Art Farmer)のミュート・トランペット、フィル・ウッズ(Phil Woods)のアルトサックス、ハンク・ジョーンズ(Hank Jones)のピアノとソロの後、各セクションの華麗なるソリが続く豪華な雰囲気となっております。
5曲目「Evening In Paris」は、ハービー・マン(Herbie Mann)のフルートに続き、ズート・シムズ(Zoot Sims)のテナー・サックス、アート・ファーマー(Art Farmer)のミュート・トランペット、ジーン・クイル(Gene Quill)のアルト・サックス、ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)のヴィヴラフォンと穏やかなソロが続きます。
ハンク・ジョーンズ(Hank Jones)の端正なピアノ・イントロから始まる6曲目「Boo's Bloos」は、フィル・ウッズ(Phil Woods)のアルト、ハービー・マン(Herbie Mann)のフルート、アート・ファーマー(Art Farmer)のミュート・トランペット、ラッキー・トンプソン(Lucky Thompson)のテナー・サックス、(多分)ジミー・クリーブランド(Jimmy Cleveland)のトロンボーン、と心地よく、落ち着いた感じのソロが続いていきます。
Quincy Jones - That's How I Feel About Jazz
ABC-Paramount ABC-149 /
side 1 (A)
01. Walkin' (Richard Carpenter) 10:39
02. A Sleeping Bee (H. Arlen-T. Capote) 4:38
03. Sermonette (Julian Adderley) 5:54
side 2 (B)
04. Stockholm Sweetnin' (Quincy Jones) 5:38
05. Evening In Paris (Quincy Jones) 4:05
06. Boo's Bloos (Quincy Jones) 5:10
#01,04 September 29, 1956 at Beltone Studios, NYC.
Art Farmer, Ernie Royal, Bernie Glow, Joe Wilder (tp)
Jimmy Cleveland, Urbie Green, Frank Rehak (tb) Phil Woods (as)
Jerome Richardson (as,ts,fl) Lucky Thompson, Bunny Bardach (ts) Jack Nimitz (bs)
Hank Jones (p) Paul Chambers (b) Charlie Persip (ds) Quincy Jones (arr,cond)
#02,06 September 19, 1956 at Beltone Studios, NYC.
Art Farmer (tp) Jimmy Cleveland (tb) Phil Woods (as) Herbie Mann (fl,ts)
Lucky Thompson (ts) Jack Nimitz (bs) Billy Taylor (p) Charles Mingus (b)
Charlie Persip (ds) Quincy Jones (arr,cond)
#03,05 September 14, 1956 at Beltone Studios, NYC.
Art Farmer (tp) Jimmy Cleveland (tb) Gene Quill (as) Herbie Mann (fl,ts)
Zoot Sims (ts #5) Lucky Thompson (ts #3) Jack Nimitz (bs)
Milt Jackson (vib) Hank Jones (p) Charles Mingus (b) Charlie Persip (ds)
Father John Crawley (handclaps #3) Quincy Jones (arr,cond)