今回の「Lee Morgan Sextet (Blue Note BLP-1541) 」あるいは「Lee Morgan Vol. 2」と呼ばれ親しまれるアルバムは、1956年11月のデビュー・アルバムから約1ヶ月後の1956年12月に録音された天才少年リー・モーガン(Lee Morgan)のブルーノートにおける2枚目のリーダー作です。
なお詳細は最後に付記しますが、1枚目と2枚目の間にはサイドメンとして「Hank Mobley With Donald Byrd And Lee Morgan (Blue Note BLP-1540)」に参加。
また驚くべき事に、1枚目の翌日からサヴォイ(Savoy Records)での録音が行われており、その辺りからも当時のリー・モーガン(Lee Morgan)が、レコード会社の争奪戦が繰り広げられるほど、注目の的であった事がうかがい知れます。
参加メンバーを眺めると、デビュー・アルバムに引き続きブルーノート(Blue Note Records)のハウス・ピアニストであったホレス・シルヴァー(Horace Silver)以外は、メンバーを一新しております。
アルト・サックスのケニー・ロジャース(Kenny Rodgers)、テナー・サックスのハンク・モブレー(Hank Mobley)、ベースにポール・チェンバース(Paul Chambers)、ドラムスは珍しくチャーリー・パーシップ(Charlie Persip)を起用。
「Lee Morgan Sextet (Vol. 2) (Blue Note BLP-1541) 」は、とーっても地味な作品なので今まであまり意識して聴いたことがなかったアルバムではありますが、ふと思い出して聴いてみると、なかなか充実した内容だったりします。
蛇足ですがこのブログは疫病騒動で「自宅引き籠り」が推奨される中、棚に突っ込んだままのCDのデータ整理兼ね、音源を「flacファイル」あるいは「mp3ファイル」でパソコンに取り込むついでに始めた、という側面もあるのですが・・・。
パソコンあるいはポータブルプレイヤーで「何時でも何処でも」聴けるようにし、今まで棚から引っ張り出す事が少なかったCD音源まで気軽に紹介出来る体制が整えられたお陰で、毎日ブログを更新出来たりする訳でございます。
まあ、まだパソコンに取り込んでいないCDが目の前に山のように積み重なってますし、その上、図書館から一度も聴いた事のないCDや、音質改善されたCDを、せっせと借りて来てますけどね・・・(元ネタが尽きる事は当分ないという話)。
さて、前作「Indeed! (Blue Note BLP-1538)」に引き続き、作・編曲家のベニー・ゴルソン(Benny Golson)と、オーウェン・E・マーシャル(Owen E. Marshall)が、おそらく新規書き下ろしであろう自作曲を3曲づつ、提供しております。
きっちり書き込まれていたであろうバック・アンサンブルをバックに、各メンバーが素敵なソロを繰り広げるといった風情です。
1曲目、ベニー・ゴルソン(Benny Golson)の代表曲である「Whisper Not」。
リー・モーガンは、テーマ部とアンサンブルをオープンで吹き、ソロはミュートを装着してキュートなフレーズを連発。
その他、ミス・リード気味ではありますがアルト・サックスのケニー・ロジャース(Kenny Rodgers)のソロが印象に残ります。
2曲目、タイトル通りラテン風味の「Latin Hangover」では、先発のハンク・モブレー(Hank Mobley)が流暢なソロを披露した後、リー・モーガン登場。
ベニー・ゴルソンらしいアンサンブルに乗り、リー・モーガンが一気に吹き倒しますが、この曲でもケニー・ロジャースの辛口気味のソロが目立ちますね。
最後にセカンド・リフが登場するあたりは、作曲時にホレス・シルヴァーを意識していたのかもしれません。
3曲目、軽快なアップテンポ・ナンバーである「His Sister」は、オーウェン・マーシャル(Owen Marshall)のペンによる作品です。
私の主観ではありますが、トランペッターが好みそうな曲調であるためか、リー・モーガンも快調なソロを聴かせてくれます。
4曲目、「Slightly Hep」は、いきなりベニー・ゴルソンの代表曲「Five Spot After Dark」に使われたフレーズが飛び出してくるので、思わず笑みがこみ上げます。
最後に登場するリー・モーガンですがソロの後半、高揚してきたのか段々、大胆なフレーズが飛び出します。
5曲目、バラッドの「Where Am I」はリー・モーガンだけがテーマ・メロディを吹き、他のメンバーはアンサンブルに終始します。
バラッドなのに、挑発的なフレーズがポンポン飛び出すあたりに、リー・モーガンの若くてまだまだヤンチャな面を、垣間見ることが出来ます。
6曲目、このアルバムの最後を飾る「D's Fink」は、ホレス・シルヴァーが書きそうなファンキーなラテン・ナンバ-ですが、オーウェン・マーシャル(Owen Marshall)のペンによる作品。
ここでのリー・モーガンは、時々音をひしゃげさせながら大胆な音使いのソロを展開します。
しかしまあ10代(当時18才?)の少年が、こんな大胆なソロを吹くことが出来るなんて・・ホント、恐れ入ります。
Lee Morgan - Lee Morgan Sextet (Vol. 2) (RVG)
Blue Note BLP-1541 / 東芝EMI TOCJ-9108 [1999.03.25] 24 Bit By RVG
side 1 (A)
01. Whisper Not (Benny Golson) 7:21
02. Latin Hangover (Benny Golson) 6:45
03. His Sister (Owen Marshall) 6:33
side 2 (B)
04. Slightly Hep (Benny Golson) 6:28
05. Where Am I (Benny Golson) 5:50
06. D's Fink (Owen Marshall) 7:42
Lee Morgan (tp) Kenny Rodgers (as) Hank Mobley (ts) Horace Silver (p)
Paul Chambers (b) Charlie Persip (ds)
December 2, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
ちなみに1956年の録音データを眺めると。
リー・モーガン(Lee Morgan)の1956年11月に行われたデビューアルバムから1956年12月までの録音はサヴォイ(Savoy Records)での録音含めた全てが、ハッケンサックのルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオで行われているのは、興味深い発見でしたね。
●November 4, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Lee Morgan - Indeed (Blue Note BLP-1538)
●November 5, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Lee Morgan - Introducing Lee Morgan (Savoy MG-12091)
●November 7, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Lee Morgan - Introducing Lee Morgan (Savoy MG-12091)
Hank Mobley - Jazz Message #2 (Savoy MG-12092)
●November 25, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Hank Mobley - Hank Mobley With Donald Byrd And Lee Morgan (Blue Note BLP-1540)
●December 2, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Lee Morgan - Lee Morgan (Vol. 2) (Blue Note BLP-1541)