加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Hank Mobley & Lee Morgan - Peckin' Time (Blue Note) 1958」名コンビの双頭アルバム

ハンク・モブレーHank Mobley)とリー・モーガンLee Morgan)の「M & M」コンビが双頭リーダーとして表記されるアルバムが「Peckin' Time (Blue Note BLP-1574)」です。

 

「Hank Mobley & Lee Morgan - Peckin' Time (Blue Note) 1958」名コンビの双頭アルバム


フロントの2人をサポートするリズム隊は、ピアノに明るくファンキーなウイントン・ケリー(Wynton Kelly)、ベースに鉄壁のリズムキープ役であるポール・チェンバースPaul Chambers)、ドラムスに地味ながら安定したビートを叩き出すチャーリー・パーシップ(Charlie Persip)という、ブルーノート(Blue Note Records)的にも安心・安定なメンバーが揃っております。

 


愛すべきテナー・サックス奏者、ハンク・モブレーHank Mobley)と、当時、注目の若手としてバリバリ吹きまくるトランペットのリー・モーガンLee Morgan)のコンビネーションだと、リー・モーガンがバリバリ吹いて、ハンク・モブレーが脇で大人しくサポートに徹するという感じをイメージしがちですが・・・。

 

アルバム「Peckin' Time (Blue Note BLP-1574)」では、ハンク・モブレーが比較的バリバリ吹いていて、逆にリー・モーガンが控え目にハンク・モブレーに寄り添って演奏している感じがします。

 

その辺りの絶妙な緩急の付け方を心得て演奏出来るのが、名コンビ「M & M (Mobley & Morgan)」の魅力なんでしょうね。

 

 

軽快なアップテンポで演奏される1曲目「High And Flighty」は、ハンク・モブレーHank Mobley)の作品。CDによって6曲目に「High And Flighty (alternate take)」が追加収録されており、本テイクは「take 3」、別テイクは「take 2」が採用されております。

 


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何となく攻め気味なソロを展開するハンク・モブレーですが、ソロを聴いていると、続くリー・モーガンっぽいフレーズを使っていて、思わず笑みがこぼれてます。

 

リー・モーガン、ウイントン・ケリーと華麗なソロが続き、最後にチャーリー・パーシップとフロント2人による刺激的なソロ交換が行われます。

 

 

ミディアム・テンポで演奏される2曲目「Speak Low」は、このアルバム唯一のスタンダード。CDによって7曲目に「Speak Low (alternate take)」が追加収録されており、本テイクは「take 11」、別テイクは「take 12」が採用されております。

 

リー・モーガンと、ハンク・モブレーがテーマを仲良く半分づつ演奏した後、ハンク・モブレーのいつになく饒舌なソロが展開。

 

ウイントン・ケリーの軽快でツボを心得たソロでワンクッション置いて、リー・モーガンの華美でファンキーなソロが炸裂(笑)します。

 

 

アルバム・タイトルにも採用された3曲目「Peckin' Time」は、ハンク・モブレーHank Mobley)の作品。

 

「突き合う」という意味らしい「Peck」がタイトルに入っている通り、強めのタンギングでテーマ・メロディが演奏されます。

 


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ウイントン・ケリーのファンキーでキュートなソロ、ハンク・モブレーの力強いソロ、リー・モーガンの鯔背でキュートなソロ、ポール・チェンバースのゆったりとしたソロと演奏が続き、ハンク・モブレーリー・モーガンのソロ交換を経て後テーマに雪崩れ込んでいきます。

 


曲の構成が少しソニー・ロリンズSonny Rollins)の「Oleo」を思い出させるアップテンポ気味な4曲目「Stretchin' Out」は、ハンク・モブレーHank Mobley)の作品。

 

CDによって8曲目に「Stretchin' Out (alternate take)」が追加収録されており、本テイクは「take 5」、別テイクは「take 4」が採用されております。

 

華麗に吹きまくるリー・モーガン、高音域を上手く使ったソロで攻めるウイントン・ケリー、簡単なモチーフを使ったアンサンブルを居て登場するハンク・モブレーも、何時になく攻め気味なソロを聴かせてくれます。

 

まあ、しかし、リー・モーガンハンク・モブレー共に好調な演奏を聴かせてくれますね。

 

 

ミディアムテンポでファンキーなピアノ・イントロから始まる5曲目「Git-Go Blues」は、ハンク・モブレーHank Mobley)が書いたファンキーなブルース。ハンク・モブレーのマイルドなテナー・サックスの音色が、ファンキーな曲調に絶妙に合っている気がします。

 


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意表をつく大胆なファンキー・フレーズで攻めるリー・モーガン、速弾きを交えながらファンキーに盛り上げるウイントン・ケリー、4番手に登場するポール・チェンバースもいつになくファンキーなベース・ソロを聴かせてくれます。

 

後テーマ前に再び登場するハンク・モブレー、豪快なソロで演奏を盛り上げていきます。

 

Hank Mobley & Lee Morgan - Peckin' Time +3 (RVG)
Blue Note BLP-1574 / Blue Note 50999 2 15367 2 4 [2008] RVG Edition

side 1 (A)
01. High And Flighty (Hank Mobley)  6:05
02. Speak Low (Weill, Nash)  7:08
03. Peckin' Time (Hank Mobley)  6:49

side 2 (B)
04. Stretchin' Out (Hank Mobley)  9:00
05. Git-Go Blues (Hank Mobley)  12:22

 

CD Bonus Tracks
06. High And Flighty (alternate take) (Hank Mobley)  6:30
07. Speak Low (alternate take) (Weill, Nash)  7:09
08. Stretchin' Out (alternate take) (Hank Mobley)  6:46


Lee Morgan (tp) Hank Mobley (ts) Wynton Kelly (p) Paul Chambers (b) Charlie Persip (ds) 
February 9, 1958 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

 

ペッキン・タイム

ペッキン・タイム

  • Blue Note Records
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今回、参考までに演奏曲目の紹介で録音テイクを記載した曲もありますが、ブルーノート(Blue Note Records)のテイクの割り振り方は独特なので注意が必要で、具体的な例を挙げると、セッション毎に録音順で曲の区別なく「take 1」、「take 2」と割り振られている模様。

 

例えばとある曲が「take 11」と表記されていたとします。

 

ブルーノートの場合は、その曲の11テイク目では訳ではなく該当曲の「take 1」だったりという事が多々起こります。

 

なので、ブルーノート(Blue Note Records)のアルバム等で、別テイクを表記する場合は「alternate take 1」とか「alternate master」などと表記され、余計な混乱を避ける配慮がされていたりします。

 

ついでにセッションによっては、録音されたテープを切り貼りして「完成テイク」を仕上げる事もあった様で、カットされた部分が破棄されたのか、現存しない曲があったりしますね。

 


あと、個人的な話ですが、この「Peckin' Time (Blue Note BLP-1574)」を最初にCDで聴いた時、イマイチ良さが分からなかったんです・・・。

 

で、近年、RVGリマスターCDを聴いて、ようやく良さが分かった次第。

 

ブルーノート(Blue Note Records)のモノラル・マスターしか存在しないアルバム群は、ルディ・ヴァン・ゲルダーのリマスター手法の様に、大胆に低音というか音圧を強調した感じに仕上げないと、CDでは演奏の迫力が伝わりにくいのかもしれません。

 


Hank Mobley & Lee Morgan - Peckin' Time (Blue Note BLP-1574)

 東芝EMI CJ28-5081 (+3) [1988.10.26] Blue Note CD Treasury 2800
 東芝EMI TOCJ-1574 [1996.08.28] The BN Works 1500 Series
 東芝EMI TOCJ-9086 [1999.03.25] 24 Bit By RVG
 EMI Music Japan TOCJ-8632 [2009.12.09] Blue Note Best & More 1100
 Universal Music UCCQ-9176 [2015.07.01] Blue Note The Finest 1100

 Blue Note CDP 7 81574 2 (+3) [1988]
 Blue Note 50999 2 15367 2 4 (+3) [2008] RVG Edition

 

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