加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Johnny Griffin - A Blowing Session (Blue Note) 1957」饒舌すぎるブローイング・セッション

1928年04月24日、イリノイ州シカゴで生まれたジョニー・グリフィンJohnny Griffin)。最初はアルトサックスを吹いていたみたいですが1940年代、17歳でライオネル・ハンプトンLionel Hampton)楽団にて演奏を始めた頃には、すでにテナー・サックスに持ち替えていたようです。

 

大編成のバンドでプロとしての経験を積んだ後、当時のアメリカには兵役義務があったのか、2年間ほど軍隊に入っていた様です。

 

除隊後には地元シカゴに戻り活動していた様ですが、「背は低いが、シカゴで一番の早吹きテナーマンが居る」という噂を聴きつけたアート・ブレイキー(Art Blakey)の誘いで、ニューヨークに再進出した感じですかね。

 

「Johnny Griffin - A Blowing Session (Blue Note) 1957」饒舌すぎるブローイング・セッション

1957年には、アート・ブレイキー率いるジャズ・メッセンジャーズに入団した様です。

 

 

 

その時期に録音されたのが、今回のブルーノート(Blue Note Records)第2弾「A Blowing Session (Blue Note BLP-1559)」です。

 

アルバム・タイトルが示す通り、3人のテナーサックス奏者と、売り出し中の若手トランペッターを加えた「4管フロント」による、技の競い合いをお楽しみいただけますし、「ブローイング・セッション」というお祭り騒ぎには相応しく、リズム隊の要、アート・ブレイキーがドラムでフロント陣の演奏を盛り立ててるという理想的な編成となっております。

 

4管フロントを彩るメンバーはジョニー・グリフィンJohnny Griffin)の他、テナーサックスのジョン・コルトレーンJohn Coltrane)とハンク・モブレーHank Mobley)、そこにトランペット界期待の新人リー・モーガンLee Morgan)が加わります。

 

演奏を盛り上げるリズムセクションには、ファンキーなウイントン・ケリー(Wynton Kelly)のピアノ、安定したリズムを支えるポール・チェンバースPaul Chambers)のベース、フロントを煽るのはお手の物のアート・ブレイキー(Art Blakey)という、豪華絢爛なメンバーが揃っておりますね。


饒舌に吹きまくるジョニー・グリフィンJohnny Griffin)だけがテーマを吹いておりますが、これは他のフロントと合奏すると、早吹きのジョニー・グリフィンと合わせるのが困難である、という判断からだと思われます。

成長途中のジョン・コルトレーンJohn Coltrane)、若さいっぱいに吹き切るリー・モーガンLee Morgan)、世評とは裏腹に大健闘のハンク・モブレーHank Mobley)と、フロント4名の個性豊かなソロを聴いているだけで、幸せな気分になります。

 

 

さて、「A Blowing Session (Blue Note BLP-1559)」の1曲目は、アップテンポで演奏されるジャズファンにはお馴染みのスタンダード・ナンバー、「The Way You Look Tonight」です。

 


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イントロからアート・ブレイキーがドラムで盛り上げ、テーマのメロディをジョニー・グリフィンだけが饒舌気味に吹ききり、そのまま熱狂的なアドリブソロに突入。

ソロ2番手のリー・モーガンLee Morgan)、3番手のハンク・モブレーHank Mobley)、4番手のジョン・コルトレーンJohn Coltrane)とアート・ブレイキーの絶妙な煽りに乗り、軽快なソロを聴かせてくれます。

アート・ブレイキー(Art Blakey)とのソロ交換は、ジョニー・グリフィンだと思います。

 

2曲目は、ミディアム・テンポで演奏されるジョニー・グリフィンの自作曲「Ball Bearing」。

 

ソロ1番手のジョン・コルトレーンの饒舌なソロ、ソロ2番手のリー・モーガンは貫禄あるソロを聴かせてくれた後、3番手のジョニー・グリフィンが登場しますが、「どんな早い曲でも、前ノリで演奏してしまうんだ」という、確かアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)が語る話を、この曲を聴いて思い出しました。

 

ソロ4番手に登場するハンク・モブレーも、他のメンバーに感化されたのか、饒舌気味なソロを展開。その後、ウイントン・ケリー、アート・ブレイキーとソロ・リレーが続きテーマに戻る感じです。

 


12インチレコードで発売された時はB面1曲目、CDの3曲目は、スタンダード・ナンバーの「All The Things You Are」です。

 


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ウイントン・ケリーが弾くイントロに導かれ、ジョニー・グリフィンだけがテーマを吹き、そのまま饒舌気味なソロに突入。2番手のジョン・コルトレーンも戸惑った感じで初めつつ、すぐスイッチが入り饒舌なソロを展開します。

 

3番手のリー・モーガン、4番手のハンク・モブレーは比較的マイペースな感じですね。ハンク・モブレーのソロ最後付近でアート・ブレイキーがリム・ショットを連発しますが、「モブレー、よくやった」な的な拍手に聴こえてきます(笑)。

 

その後、ウイントン・ケリー、ポール・チェンバースのソロが続き、アート・ブレイキージョニー・グリフィンのソロ交換、後テーマへと続きます。

 


オリジナルアルバム最後となる4曲目は、軽快なジョニー・グリフィンの自作曲「Smoke Stack」。CDによっては、ボーナス・トラック「Smoke Stack (alternative take)」が収録されております。

 


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ウイントン・ケリーの長めのイントロに続き、短いアンサンブルを経て、ジョニー・グリフィンのソロが始まります。

2番手のリー・モーガン、まさに絶好調ですね。アート・ブレイキーのツボを心得たプッシュに乗り、ソロがどんどんヒートアップしていきます。

3番手は、ハンク・モブレー。世評では「場違い」なんていう方も居るようですが、音色が他の2人に比べまろやかなだけで、互角のソロを展開しております。

4番手に登場するジョン・コルトレーン、ソロに若干の迷いが見えます(笑)。

 

ソロはウイントン・ケリー、ポール・チェンバースに引き継がれ、3曲目同様にアート・ブレイキージョニー・グリフィンのソロ交換、後テーマへと続きます。

 

 

Johnny Griffin - A Blowing Session +1 (RVG)
Blue Note BLP-1559 / Blue Note 7243 4 99009 2 9 [1999] 24 Bit By RVG


side 1 (A)
01. The Way You Look Tonight (D. Fields, J. Kern)  9:41
02. Ball Bearing (Johnny Griffin)  8:11

side 2 (B)
03. All The Things You Are (J. Kern, O. Hammerstein II) 10:15
04. Smoke Stack (Johnny Griffin)  10:14

Bonus Track
05. Smoke Stack (alternative take) (Johnny Griffin)  11:00


Lee Morgan (tp) John Coltrane (ts) Johnny Griffin (ts) Hank Mobley (ts) 
Wynton Kelly (p) Paul Chambers (b) Art Blakey (ds) 

April 6, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

 

 

ア・ブローイング・セッション+1

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今回、「A Blowing Session (Blue Note BLP-1559)」を聴き直してみると、世評とは裏腹に、ハンク・モブレーHank Mobley)が結構健闘している事が分かりますし、ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)がソロの途中で思案する場面が多々あったりするのが面白いですね。

 

 

リー・モーガンLee Morgan)がアート・ブレイキー(Art Blakey)の的確な煽りに乗っかってソロをヒートアップさせていく様は、後年のジャズ・メッセンジャーズにおける数々の名演を予感させてくれます。

 

 

最後に、本アルバムのリーダー、ジョニー・グリフィンJohnny Griffin)が、如何に饒舌で、前のめりに演奏しているのかが、他のメンバー、特にハンク・モブレーの演奏と比較することで如実に分かるよう、このアルバムが作られている様に思えてきました。

 

 

しかしながらアルバム1枚丸々ジョニー・グリフィンの饒舌なソロが続くと、集中力が持たないですね(笑)。