加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Miles Davis - Live At The Barrel (Prestige) 1952」自叙伝読みつつ聴く1枚

このアルバム「Live At The Barrel (Prestige PRLP-7858)」は、マイルス・デイヴィスMiles Davis)の自叙伝読みつつ聴くと、面白みが倍増すると思います。

 

「Miles Davis - Live At The Barrel (Prestige) 1952」自叙伝読みつつ聴く1枚

CDの日本語表記では、「マイルス・イン・セントルイス」となっており、ややこしいので統一して欲しかったですなあ。

 

さて、ニューヨークでクスリ漬けの日々を送っていたマイルスが、これじゃイカンと思い立ち、父親の助けを借りて中毒地獄から抜け出そうと足掻く日々の一コマを捉えた、セントルイスでのライブ。

 

ブートレグ音源をプレスティジ(Prestige Records)が買い取り、公式に発売したもののようですが、マイルスの演奏の出来はかなり良く、音質面に目をつぶれば、お勧め出来る演奏が収録されております。

 

セントルイスで活動するテナーサックス奏者、ジミー・フォレスト(Jimmy Forrest)のバンドにマイルスが客演した形ですが、ピアノ・トリオにコンガが加わるバックバンドの腕前も上々で、マイルスも気持ちよくブローしております。

 


さて、クスリ地獄にハマりもがくマイルス・デイヴィスMiles Davis)は、一人では逃れられない状況を改善しようと、父親にニューヨークまで迎えに来てもらう事から今回の物語は始まります。

 

ライブハウスで演奏するボロボロの姿を見た父親は、その日のうちに一緒に故郷に連れて帰る事を決断します。

 

故郷に帰ったものの、父親が持つ家でのんびり過ごしているうちに、中毒症状が出始めたマイルス、父親からお金を借りて麻薬(ヘロイン)を再びやりだす様になります。

そんな中、同じくクスリ中毒であったジミー・フォレスト(Jimmy Forrest)と知り合い、彼のライブ演奏に参加するようになります。


その様子を捉えたのが、この「Live At The Barrel (Prestige PRLP-7858)」という事になります。

 

最初の4曲は「Live At The Barrel (Prestige PR-7858)」として発売されたものの様です。

 


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「Ray's Idea」、「A Night In Tunisia」、「Wee Dot」、「What's New」というマイルスにはお馴染みの曲を、地元ミュージシャンをバックに気持ちよくブローしております。

 

 

後半の5曲は「Lady Bird (Jazz Showcase LP-5004)」として発売されたもののようです。

 


www.youtube.com

 

「Perdido」、「All The Things You Are」、「Our Delight」、「Lady Bird」、「Oh, Lady Be Good (Ow!) 」とこれまたお馴染みの曲であり、マイルスは安定した演奏を繰り広げます。

 

Miles Davis and Jimmy Forrest - Live At The Barrel (Miles In St. Louis)
Prestige PRLP-7858 / Victor Entertainment VICJ-2015 [1996.03.06] 20bit K2 HQ

 

●Live At The Barrel (Prestige PR-7858)
01. Ray's Idea (Brown - Fuller) 8:36
02. A Night In Tunisia (Gillespie - Paparelli) 8:23
03. Wee Dot (J.J. Johnson) 10:51
04. What's New (Burke - Haggart) 7:28

●Lady Bird (Jazz Showcase LP-5004)
05. Perdido (Wahoo) (Tizol - Lengsfelder - Drake) 9:23
06. All The Things You Are (Kern - Hammerstein) 10:04
07. Our Delight (Tadd Dameron) 6:42
08. Lady Bird (Tadd Dameron) 6:42
09. Oh, Lady Be Good (Ow!) (Geroge Gershwin - Ira Gershwin) 4:17


Miles Davis (tp) Jimmy Forrest (ts) Charles Fox (p) John Mixon (b) Oscar Oldham (ds)

unknown (conga)

spring 1952 at The Barrel, St. Louis, MO.

 

 


さて、クスリ欲しさに父親に暴言を吐いたマイルスは、セントルイスの保安官でもあった父親の手配で、イリノイ州ベルビルの監獄に1週間ぶち込まれたそうで。

牢獄にぶち込まれたものの、前科に残らないよう手配してたあたりは流石というべきか。


その後、ケンタッキー州レキシントンにある麻薬常習者のための連邦刑務所まで行ったそうですが、志願して入所する必要がある事で原因で、結局入所せずに、ニューヨークに戻ってしまったとの事です。


監獄でコールド・ターキーと呼ばれる、強制的にクスリが抜けた状態を体験したマイルス。

 

クスリの魔力に囚われたままではあるものの、自力でそこから脱出する可能性がある事を、故郷に帰る事で自覚した様です・・・その後の劇的な物語は、機会があれば・・・。

 

 

クスリでボロボロになったマイルス・デイヴィスMiles Davis)を見捨てず、スタジオ録音し続けた、ブルーノート(Blue Note Records)のオーナー、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)。

 

 

そんな壮絶なドキュメントの一端は、ブルーノートの1500番台に残されたアルバムで聴くことが出来ます。