加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Roland Kirk – The Inflated Tear(溢れ出る涙)(Atlantic) 1967」ジャズの歴史を包括する快演

「盲目の怪人」という呼称がぴったりなローランド・カークRoland Kirk)の代表作が、この「The Inflated Tear(溢れ出る涙)(Atlantic)」。

 

「Roland Kirk – The Inflated Tear(溢れ出る涙)(Atlantic) 1967」ジャズの歴史を包括する快演

ジャケット写真でもお分かりの通り、複数の楽器を同時に吹奏したり、循環呼吸を用いて延々と吹き続けるなど、盲目という点を差し引いても、驚異的なステージパ・フォーマンスを繰り広げるミュージシャンであります。

 

ちなみにマンツェロ(manzello)は、上向きのベルの付いたソプラノ・サックスで、ストリッチ(stritch)は、直立型のアルト・サックスなんだそうです。


昔、図書館で借りたレコードをカセットテープに吹き込んで聴いていたものですが、このレビューを書くため、音の良いリマスターCDを、ほんぽーと(新潟中央図書館)から借りてきて聴いてます。蛇足ですが、録音当時の年齢は32歳。

 

小川隆夫著「ジャズマンがコッソリ愛するJAZZ隠れ名盤100(河出書房新社)」では、
ローランド・カークRoland Kirk)の演奏スタイルを「基本はブルージーでノスタルジックな響きを大切にしたプレイ」と表現しております。

 

 

また、このアルバムのタイトル曲「The Inflated Tear(溢れ出る涙)」については、「アクロバテックで奇想天外なプレイが目立つものの、タイトル曲はしっとりとした抒情性を表出した感動的な演奏」との記載があったりします。

 


「アクロバテックで奇想天外なプレイ」とはどんなものか、ライブ映像がありますので、参考までに。

 


www.youtube.com

 

ローランド・カークの演奏スタイルは幅広く、いわば最初期からフリージャズまで全てのスタイルを飲み込んだ「ごった煮」の如き印象を受けます。

 

「ジャズの歴史を包括する快演」とでも表現すればいいのかな?


その上、楽器を一人で同時吹奏し、循環呼吸を用いて延々と吹き続けるという、もはや誰も真似できない境地にまで達しておりますね。

ローランド・カークの特異性を理解しやすいアルバムが、この「The Inflated Tear(溢れ出る涙)」でないかと思ったりします。


抒情的な「The Black And Crazy Blues」に、循環呼吸を用いたコルトレーン風なソロが炸裂する「Many Blessings」。ファンキーかつ牧歌的なエリントン・ナンバー「The Creole Love Call」を演奏したかと思えば、新主流派的なテーマが印象的な「Fly By Night」があったり。アトランテック時代のジョン・コルトレーンを彷彿とさせる「Lovellevelliloqui」など・・・。

 

まあ、多彩すぎる万華鏡的な曲構成に、頭が混乱する人も居るかもしれません(笑)。

 

Roland Kirk – The Inflated Tear +1(溢れ出る涙)
Atlantic SD-1502 / Warner Music Japan WPCR-25114 [2006.11.22]

 

side 1 (A)
01. The Black And Crazy Blues (Roland Kirk)  6:08
02. A Laugh For Rory (Roland Kirk)  2:54
03. Many Blessings (Roland Kirk)  4:45
04. Fingers In The Wind (Roland Kirk)  4:17

side 2 (B)
05. The Inflated Tear (Roland Kirk)  4:58
06. The Creole Love Call (Duke Ellington)  3:53
07. A Handful Of Fives (Roland Kirk)  2:41
08. Fly By Night (Roland Kirk)  4:18
09. Lovellevelliloqui (Roland Kirk)  4:16

CD Bonus Track
10. I'm Glad There Is You (Roland Kirk)  2:13


Roland Kirk (ts,cl,fl,manzello,stritch,whistle,english horn,flexaphone) 
Ron Burton (p) Steve Novosel (b) Jimmy Hopps (ds) Dick Griffith (tb #8) 

#01,05,06 November 27, 1967 at Webster Hall, NYC.
#03,04,07-10 November 30, 1967 at Webster Hall, NYC.

 

参考例として掲載したライブ映像の長時間版もあるので貼っておきます。

「The Inflated Tear(溢れ出る涙)」に収録されたうちの、3曲ほど演奏しております。

 

ROLAND KIRK QUARTET v Praze 1967 (October 19. 1967)

Roland Kirk (multiple reeds) Ron Burton (p) Steve Novosel (b) Jimmy Hopps (ds) 

 


www.youtube.com

 

01 Ode To Billy Joe 
02 My Ship 

03 The Creole Love Call ☆
04 The Inflated Tear ☆
05 Lovellevelliloqui ☆
06 Making Love After Hours

 

 

RAHSAAN ROLAND KIRK..

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