加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Thelonious Monk - Thelonious In Action (Riverside) 1958」ファイブ・スポットでのライブ盤

1958年08月07日、リバーサイド(Riverside Records)は、孤高の天才、セロニアス・モンクThelonious Monk)率いるカルテットのライブ録音を行いました。

ライブ会場は、ニューヨークにある有名な「ファイブ・スポット(Five Spot Cafe)」。

 

今回のライブでは、リトル・ジャイアントの異名を持つ速弾きテナー・サックス奏者、ジョニー・グリフィンJohnny Griffin)を迎え、白熱した演奏を聴かせてくれます。

 

その他のメンバーは、ベースのアーメド・アブドゥル・マリク(Ahmed Abdul-Malik)、ドラムスにロイ・ヘインズ(Roy Haynes)という布陣。

 

当日録音された演奏は「Thelonious In Action (Riverside RLP12-262)」と、「Misterioso (Riverside RLP12-279)」という2つのアルバムに分散収録され発売。

また、後年発売されたCDには、2ヶ月前の1958年06月09日に録音されたライブ音源が、ボーナス・トラックとして収録されております。

 

さて今回は、最初に発売された「Thelonious In Action (Riverside RLP12-262)」のご紹介をしてみようと思います。

 

「Thelonious Monk - Thelonious In Action (Riverside) 1958」ファイブ・スポットでのライブ盤

※手持ちの画像がイマイチだったので「discogs」から画像お借りしました。

 

アナログレコード時代はA面、B面に分け収録されていた関係で、各面の終わりには短い「Epistrophy (Theme)」が挟み込まれております。

 

 

1曲目「Light Blue」と2曲目「Coming On The Hudson」は、本番前の肩慣らしといった風情のゆったりとしたテンポで演奏されます。

 

アップテンポで演奏される3曲目「Rhythm-A-Ning」は、ジョニー・グリフィン
速弾きテナーが本領発揮する曲。

 


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時折、唸り声を上げながら縦横無尽、豪快に吹きまくるグリフィンですが、その間、モンクはピアノを弾いてませんが、もしかすると、ピアノを離れて踊っていたのかもしれません(笑)。

ジョニー・グリフィンに引き続いてモンクは短めのソロで切り上げ、ベースのアーメド・アブドゥル・マリク、ドラムスのロイ・ヘインズにソロを引き継ぎます。

 


短いテーマを挟んで5曲目はお馴染みの「Blue Monk」。ブルース進行で作られたの曲ですね。

余裕たっぷりに吹き始め、次第に熱を帯びた演奏を繰り広げるジョニー・グリフィン
続くモンクも快調ですね。アーメド・アブドゥル・マリクのベース、ロイ・ヘインズのドラムスと、ソロが続きます。

 

6曲目「Evidence」は、アート・ブレイキー(Art Blakey)など他のミュージシャンもよく演奏する「モンク・スタンダード」の中でも、特に有名な1曲。テーマ部の「間」の取り方は、演奏する時にはかなり集中力を必要とする曲でもあります。

 


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ドラムスのロイ・ヘインズが叩き出す予測不能、変幻自在のリズムに煽られ、ジョニー・グリフィンが白熱したソロを展開します。続くモンクも貫禄たっぷりのソロで応戦。
その後、ベースのアーメド・アブドゥル・マリク、ドラムスのロイ・ヘインズとソロ・リレーが続きます。

しかし、最後に演奏されるテーマでの、ロイ・ヘインズのドラムスは鳥肌ものですね。

 

オリジナル・アルバムの最後は、短い「Epistrophy (Theme)」で締めくくられます。

 


8曲目以降のボーナストラックは前述の通り、2ヶ月前の1958年06月09日に録音されたライブ音源です。


8曲目「Unidentified Solo Piano」は、モンクのソロでゆったりと演奏されます。

 

9曲目「Blues Five Spot」は、その名の通り、ブルース進行で作られた曲。

 


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ジョニー・グリフィンはソロの最初から縦横無尽、豪快に吹きまくってますね。
続いてセロニアス・モンク、アーメド・アブドゥル・マリク、ロイ・ヘインズと、各々快調にソロ・リレーをつないでいきます。


10曲目「In Walked Bud / Epistrophy (Theme)」も、有名な「モンク・スタンダード」の中の1曲。


哀愁漂うテーマの後、ジョニー・グリフィンの豪快なソロ、続いてセロニアス・モンク、ベースのアーメド・アブドゥル・マリクとソロ・リレーが引き継がれます。

 

 

Thelonious Monk - Thelonious In Action +3
Riverside RLP12-262 / OJC-103 / Victor Entertainment VICJ-41722 [2006.08.23]

side 1 (A)
01. Light Blue (Thelonious Monk)  5:16
02. Coming On The Hudson (Thelonious Monk)  5:25
03. Rhythm-A-Ning (Thelonious Monk)  9:25
04. Epistrophy (Theme) (Thelonious Monk)  1:04

side 2 (B)
05. Blue Monk (Thelonious Monk)  8:32
06. Evidence (Thelonious Monk)  8:49
07. Epistrophy (Theme) (Thelonious Monk)  1:03

CD Bonus Tracks
08. Unidentified Solo Piano (unknown)  1:52
09. Blues Five Spot (Thelonious Monk)  9:55
10. In Walked Bud / Epistrophy (Theme) (Thelonious Monk)  10:57


#01-07 July 9, 1958 at Five Spot Cafe, NYC.
Johnny Griffin (ts) Thelonious Monk (p) Ahmed Abdul-Malik (b) Roy Haynes (ds) 

#08-10 August 7, 1958 at Five Spot Cafe, NYC.
Johnny Griffin (ts) Thelonious Monk (p) Ahmed Abdul-Malik (b) Roy Haynes (ds) 

 

 

さて今回、ファイブ・スポットでのライブ録音をじっくり聴いてみましたが、どの曲においてもジョニー・グリフィンJohnny Griffin)が縦横無尽、豪快に吹きまくり、セロニアス・モンクThelonious Monk)が続いてソロをとるという流れとなっております。

 

その後、ベース・ソロ、ドラム・ソロを挟んでテーマに戻る・・・という展開が様式美というか、何となく定型化されてる感じがしてきました。

 

ライブ会場で生演奏を聴いてる分には、アルコールなんか入って、かなり興奮するだろうと思いますが、素面のまま自宅のこじんまりしたオーディオ・システムで聴くには、少しそぐわない感じのアルバムでしたねー。

 


同日録音からもう1枚作られたアルバム「Misterioso (Riverside RLP12-279)」にあしらわれた印象的な絵画は、イタリアの形而上絵画の旗手、ジョルジョ・デ・キリコ(Giorgio de Chirico)の手によるものです。

 

ミステリオーソ+2

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アルバム「Misterioso (Riverside RLP12-279)」のご紹介は、後ほど・・・。