加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Thelonious Monk - Straight, No Chaser (Columbia) 1966」何故か「荒城の月」が聴けるアルバム

「孤高の天才」、名作曲家でピアニストのセロニアス・モンクThelonious Monk)が、滝廉太郎作曲「荒城の月」をジャズアレンジで演奏しているバージョンが、今回紹介するアルバム「Straight, No Chaser (Columbia CS-64886)」に収録されております。


テナー・サックスのチャーリー・ラウズ(Charlie Rouse)をフロントに据えた、安定感抜群というか何処を聴いてもモンク、いや文句の付けようがない「金太郎飴」的なカルテットによるアルバムです。

何曲かソロ演奏も混ざっておりますが、それが程よい箸休めというか、アクセント的役割を担っております。

 

「荒城の月」は、このアルバムでは「Japanese Folk Song [Kojo No Tsuki]」というタイトルで演奏されていますが、これ、1963年05月の日本初来日時に日本の何処かで、「荒城の月」を耳にする機会があったんでしょうね。

 

そういえば、リー・モーガンLee Morgan)は「月の砂漠」を、自作曲「Desert Moonlight」として、しれっと録音してたりしましたね。

この当時、リー・モーガンの奥さんだった人が確か、日系の方だったという事も関係しているかもしれません。

 

 

まあ、ただ、日本でアルバムを再発する場合は、作曲者名を正規の「佐々木すぐる」に修正されたようですけど。

流石に日本では、権利者から抗議が来るでしょうからねえ(笑)。

 

「Thelonious Monk - Straight, No Chaser (Columbia) 1966」何故か「荒城の月」が聴けるアルバム

今、「Straight, No Chaser (Columbia CS-64886)」をじっくり眺めてたのですが、何とも摩訶不思議な浮遊感溢れるジャケットだったんですね。

 

さて、1966年11月14日の録音からは、オリジナル・アルバムに1曲、ボーナストラックとして別テイク含む未発表の3曲を収録。

 

2曲目「I Didn't Know About You [take 4]」は、モンクの穏やかなソロ演奏から始まり、トリオに拡大した後に、チャーリー・ラウズが登場するという構成。

 


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ボーナストラックとして8曲目に別テイク「I Didn't Know About You [take 1]」が収録されております。


ソロで朴訥と短く演奏される7曲目「This Is My Story, This Is My Song」は、未発表の演奏で、ボーナストラックとして収録されております。

 

またカルテットで演奏される9曲目「Green Chimneys」は、未発表の演奏としてボーナストラックに収録されております。。

 


1966年11月15日の録音からは、1曲目配置された「Locomotive」のみ収録。

 


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モンクのピアノとチャーリー・ラウズのテナーサックスが、テーマ部をユニゾンで演奏しているのが微笑ましいですね。

 

年が明けた1967年01月10日における録音は、オリジナル・アルバムに4曲収録されております。

 

ブルース進行で作られた3曲目「Straight, No Chaser」は、ピアノとテナーサックスによるユニゾンの後、ちょっとテンション高めなソロ・リレーに続きます。


4曲目「Japanese Folk Song [Kojo No Tsuki]」は、滝廉太郎作曲「荒城の月」の哀愁漂うジャズ・バージョン。

 


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モンクの抒情的なソロから始まり、チャーリー・ラウズのスタッカートを多用したテナーサックスによるテーマ吹奏が面白いですね。


6曲目「We See」は、ブギウギ風のリズミック感じで、唸り声を上げながらピアノを弾くモンクが印象的な曲。この録音の時はゴキゲンだったんでしょうねえ。


5曲目「Between The Devil And The Deep Blue Sea」は、モンクのソロによる演奏です。

 

こんな感じでテンポに過度に束縛されず、気分次第に思うがまま弾き綴るソロが、モンクの演奏では一番聴きやすいと再認識させる1曲です。

 

Thelonious Monk - Straight, No Chaser +3 (1966)
Columbia CS-64886 / Sony Records SRCS-9200 [1997.03.01]


side 1 (A)
01. Locomotive (Thelonious Monk) 6:40
02. I Didn't Know About You [take 4] (Duke Ellington) 6:52
03. Straight, No Chaser (Thelonious Monk) 11:28

side 2 (B)
04. Japanese Folk Song [Kojo No Tsuki] (R. Taki) 16:41
05. Between The Devil And The Deep Blue Sea (H. Arlen, T. Koehler) 7:36
06. We See (Thelonious Monk) 11:35

CD Bonus Track
07. This Is My Story, This Is My Song (F.J. Crosby, J. F. Knapp) 1:42
08. I Didn't Know About You [take 1] (Duke Ellington) 6:48
09. Green Chimneys (Thelonious Monk) 6:34


#02 & 07,08,09(bonus track)  November 14, 1966 in NYC.
Charlie Rouse (ts #2,8,9) Thelonious Monk (p) Larry Gales (b #2,8,9) Ben Riley (ds #2,8,9) 

#01  November 15, 1966 in NYC.
Charlie Rouse (ts) Thelonious Monk (p) Larry Gales (b) Ben Riley (ds) 

#03,04-06  January 10, 1967 in NYC.
Charlie Rouse (ts #3,4,6) Thelonious Monk (p) Larry Gales (b #3,4,6) Ben Riley (ds #3,4,6) 

 

 

冒頭に言及した1963年05月に初来日時におけるサンケイホールでの演奏は、「Thelonious Monk - Monk In Tokyo (CBS/Sony SOPW-69/70)」に収録されております。

 

 

TBSテレビのライブ収録は、ビデオで発売された他、「Thelonious Monk 1963 In Japan (Baybridge UPS-2172)」というアルバムで発売されているようです。

 

1963 in Japan

1963 in Japan

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そういえば、セロニアス・モンクのライブ映像やドキュメンタリー・ビデオも発売されてますね。