癖の強い独特な奏法でジャズ・マニアを引き付けるテナーサックス奏者、J.R.モンテローズ(J.R. Monterose)。
数少ない白人系ハード・バッパーとして人気があるJ.R.モンテローズが、ブルーノート(Blue Note Records)に残した唯一のリーダー・アルバムが、今回ご紹介する「J.R. Monterose (Blue Note BLP-1536)」です。
そういえばブルーノート(Blue Note Records)1500番台の最初は5000番台の名残か、白人系奏者のリーダー録音が多い様に感じられますね。
なお「J.R. Monterose (Blue Note BLP-1536)」は、東芝EMIさんが「最後の復刻」と煽りまくったアナログ・レコードから始まり、高音質化と追加曲の度に同じアルバムなのに思わず買ってたほど大好きなアルバムだったりします。
J.R.モンテローズ(J.R. Monterose)の、のほほんとしたテナーは勿論ですが、サックスとトランペットを吹くものの、ここではトランペットに専念してるアイラ・サリヴァン(Ira Sullivan)の好演も聴き逃せない1枚となっております。
リズム隊もピアノに当時、ブルーノート(Blue Note Records)のハウス・ピアニストを務めていたホレス・シルヴァー(Horace Silver)、ベースにはウィルバー・ウェア(Wilbur Ware)、ドラムスは今回、1曲提供しているフィリー・ジョー・ジョーンズ("Philly" Joe Jones)と、音を聴かなくても名前を見ただけで安心出来るメンバーが揃っております。
J.R.モンテローズ(J.R. Monterose)の自作曲がメインではありますが、ドナルド・バード(Donald Byrd)の「The Third」や、ポール・チェンバース(Paul Chambers)の「Beauteous」など、ハードバップ・マニアのハートを鷲掴みにする選曲も素晴らしいです。
1曲目「Wee-Jay」は、J.R.モンテローズ(J.R. Monterose)の自作曲で、CD追加曲として7曲目に「Wee-Jay (alternate take)」が収録されております。
フィリー・ジョー・ジョーンズのドラム・ソロから始まり、J.R.モンテローズのアク強めのテナーサックス、アイラ・サリヴァンの一聴するとノホホンとしたトランペット、ホレス・シルヴァーのファンキーなピアノ、ベースにはウィルバー・ウェアとドラムスのフィリー・ジョー・ジョーンズによる珍しいソロ交換と素敵な演奏が続きます。
CDに追加された7曲目の別テイクは、冒頭のドラムソロが若干大人し目な以外、本テイクと遜色ない出来かと思われます。
2曲目「The Third」は、トランペッターであるドナルド・バード(Donald Byrd)からの提供されたハードバップまっしぐらな1曲。
ファンキーなホレス・シルヴァー、J.R.モンテローズ、ウィルバー・ウェアと哀愁感漂うソロが続きますが、その後登場するアイラ・サリヴァンのトランペット・ソロが素晴らしいです。
3曲目「Bobbie Pin」は、J.R.モンテローズ(J.R. Monterose)自作の少しメロディライン長めなビバップ風味が感じられる曲。
アイラ・サリヴァン、J.R.モンテローズ、ホレス・シルヴァーと各人の個性豊かなソロが続き、フィリー・ジョー・ジョーンズとJ.R.モンテローズによる刺激的なソロ交換へと繋がります。
超アップテンポで演奏される4曲目「Marc V」は、J.R.モンテローズ(J.R. Monterose)の自作曲であり、ソロ・ピックアップからJ.R.モンテローズが快調なソロを聴かせてくれます。
J.R.モンテローズのソロを吹く後ろで、アイラ・サリヴァンが合いの手を入れたりするなど、演奏を飽きさせない工夫も施されております。
5曲目「Ka-Link」は、珍しくフィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones) が書いた
少し長めのドラム・ソロから始まる、中々凝った構成の曲です。
J.R.モンテローズ、アイラ・サリヴァン、ホレス・シルヴァー、ウィルバー・ウェアと比較的たっぷりとソロが聴けるのは、曲の構成が長いせいでしょうねえ(笑)。
軽快なテンポで演奏される6曲目「Beauteous」はベーシスト、ポール・チェンバース(Paul Chambers)からの提供曲。
確かこの曲、20年位まえのCS放送のジャズ番組のバックでBGM代わりに流れていた記憶がありますが、この演奏を使用していたかは忘れてしまいました。
J.R.モンテローズの癖の強いテナーサックス、アイラ・サリヴァンのふくよかなトランペット、ホレス・シルヴァーのファンキーなピアノ、ウィルバー・ウェアの堅実なベースとアルバムの最後に相応しい演奏が続きます。
J.R. Monterose - J.R. Monterose +1 (RVG)
Blue Note BLP-1536 / 50999 2 15387 2 8 [2008] RVG Edition
side 1 (A)
01. Wee-Jay (J.R. Monterose) 6:56
02. The Third (Donald Byrd) 5:15
03. Bobbie Pin (J.R. Monterose) 8:03
side 2 (B)
04. Marc V (J.R. Monterose) 6:30
05. Ka-Link (Philly Joe Jones) 9:00
06. Beauteous (Paul Chambers) 5:23
CD Bonus Track
07. Wee-Jay (alternate take) (J.R. Monterose) 7:17
Ira Sullivan (tp) J.R. Monterose (ts) Horace Silver (p) Wilbur Ware (b)
"Philly" Joe Jones (ds)
October 21, 1956 at the Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.