加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Don Cherry – Symphony For Improvisers (Blue Note) 1966」前衛ジャズの宴

今回ご紹介するのは1966年09月19日に録音された、ドン・チェリーDon Cherry)をリーダーとする前衛ジャズ系のアルバム「即興演奏家のためのシンフォニー Symphony For Improvisers (Blue Note BST-84247)」です。

 

「Don Cherry – Symphony For Improvisers (Blue Note) 1966」前衛ジャズの宴

 

ロディアスな前衛ジャズである前作「Complete Communion (Blue Note BST-84226)」に参加したドン・チェリーDon Cherry)、ガトー・バルビエリGato Barbieri)、ヘンリー・グライムス(Henry Grimes)、エド(ワード)・ブラックウェル(Edward Blackwell)の4人に加え、ここではテナーサックスとピッコロを演奏するファラオ・サンダースPharoah Sanders)、ヴィヴラフォンとピアノを演奏するカール・バーガー(Karl Berger)、ベースのジェニー・クラーク(Jenny Clark)の3人が加わった7人編成での演奏が繰り広げられます。

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

 

 

さて、アルバム「Symphony For Improvisers (Blue Note BST-84247)」は前作同様、アナログ・レコードの片面づつにドン・チェリーDon Cherry)の書いた約20分の曲がそれぞれ刻まれており、各曲とも4つのパートに分かれているみたいです。

 

演奏者が4人から3人増えて7人になった事で、奏者同士のレスポンスが良くなり、より緊密な音空間が広がり、まるで「前衛ジャズの宴」を聴いているような感覚になります。

 

 

1曲目「Symphony For Improvisers」は、「1a Symphony For Improvisers / 1b Nu Creative Love / 1c What's Not Serious / 1d Infant Happiness」という4つのパートに分かれているそうです。

 


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タイトルが「即興演奏家のためのシンフォニー(交響曲)」というだけあり、最初に聴こえるテーマ部の民族音楽というか前衛色濃いメロディも壮大な感じがしますね。

 

まあ、4人から7人に編成を拡大したからといってアンサンブルが重厚になる訳でもなく、各人のソロに対して反応する面子が増えた・・・という感じで、中でも、ヴィヴラフォンを演奏するカール・バーガー(Karl Berger)が良いですね。

 

ソロ冒頭に出て来るのはピッコロですからファラオ・サンダースPharoah Sanders)。ドン・チェリーDon Cherry)の激情的な咆哮の後、ヴィヴラフォンの
カール・バーガー(Karl Berger)が登場したと思ったら、すぐガトー・バルビエリGato Barbieri)のテナー、ファラオ・サンダースPharoah Sanders)のピッコロと、万華鏡の如き入れ替わり目まぐるしくソロが紡がれていきます。

 

メンバーのソロ廻しが一段落したあと、エド・ブラックウェル(Edward Blackwell)のマーチング風味の整然としたドラム・ソロが登場しますが、その部分がインターバル的な役目を担っており、そのままドン・チェリーDon Cherry)のキュートなロング・ソロに移行していきます。

 

続いてカール・バーガー(Karl Berger)のヴィヴラフォン、ファラオ・サンダースPharoah Sanders)のピッコロ、エド・ブラックウェル(Edward Blackwell)のドラムスと、前半とは打って変わってメロディアスなソロを聴かせてくれます。

 

 

2曲目「Manhattan Cry」は、「2a Manhattan Cry / 2b Lunatic / 2c Sparkle Plenty / 2d Om Nu」という4つのパートに分かれているそうです。

 

ドン・チェリーDon Cherry)がテーマを吹く美しいバラッド風の演奏からスタート。この曲ではピアノを弾くカール・バーガー(Karl Berger)が、またもや良い味を醸し出しております。

 

ドン・チェリーDon Cherry)から始まる各メンバーが奏でるソロは、「マンハッタンの叫び(Manhattan Cry)」というタイトル通り、大都会の緊張感溢れる、ハードボイルドな雰囲気を随所に醸し出しております。

 

しかし演奏中盤に登場するファラオ・サンダースPharoah Sanders)のテナーサックスは、どういう奏法であの特異な音を絞り出しているんでしょうかねえ(笑)。

 

Don Cherry – Symphony For Improvisers (RVG)
Blue Note BST-84247 / Blue Note 7243 5 63823 2 9 [2005] RVG Edition

side 1 (A)
01. Symphony For Improvisers (Don Cherry)  19:40

 1a Symphony For Improvisers
 1b Nu Creative Love
 1c What's Not Serious
 1d Infant Happiness

side 2 (B)
02. Manhattan Cry (Don Cherry)  19:17

 2a Manhattan Cry
 2b Lunatic
 2c Sparkle Plenty
 2d Om Nu


Don Cherry (cor) Gato Barbieri (ts) Pharoah Sanders (ts, piccolo) 
Karl Berger (vib, p) Henry Grimes (b) Jenny Clark (b) Edward Blackwell (ds) 
September 19, 1966 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

 

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なお、ブルーノート(Blue Note Records)の三作目「Don Cherry - Where Is Brooklyn? (Blue Note BST-84311)」ではガトー・バルビエリGato Barbieri)が抜け、ファラオ・サンダースPharoah Sanders)が加わったピアノレス・カルテットでの演奏となり、片面1曲づつではなく分割され全5曲が演奏されております。

 

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まあ前衛ジャズなんで、ぶっちゃけて言ってしまうと演奏内容は前の2作と(それほど)差異はないのですがね(笑)。