1966年09月18日に開催された「The Monterey Jazz Festival」のライブ録音と、1966年01月08日に開催された「The Pacific Jazz Festival」でのライブ録音「Concerto For Trumpet」を追加収録したアルバムで、「インド音楽」に影響を受けた変拍子ジャズの傑作が「Don Ellis Orchestra – Live At Monterey! (Pacific Jazz ST-20112)」です。
リーダーでトランペット奏者のドン・エリス(Don Ellis)が結成したビックバンドは、ベーシスト3人、ドラマー2人、パーカッション1人という、普通では考えられないリズム隊の編成でありますが、これは「インド音楽」独特の複雑な変拍子をポリリズム(polyrhythm)で演奏する事を想定した編成でしょうねえ。
このバンドの為に集められたメンバーは、見慣れない名前の方々ばかりですが、多分、楽譜に強いスタジオ・ミュージシャン達なんだと思われます。
「インド音楽」に影響を受けた変拍子ジャズがどんなものかは、まずは演奏時間が10分弱の1曲目「33 222 1 222」という19拍子の曲を聴いていただければ、よろしいかと思われます。
各楽器のパート毎に「インド音楽」由来の複雑なリズム・パターンを刻ませ、全体を合わせる事で19拍子という変態的なリズム・パターンでもスイングさせてしまうドン・エリス・オーケストラの凄まじさ(笑)。
まあ、変拍子うんぬんで語るより、単に「インド音楽をスイング風味で演奏してみた」と書いた方が、このビックバンドが演奏する曲の本質をより良く理解出来るような気がします。
Don Ellis Orchestra – Live At Monterey!
Pacific Jazz ST-20112 / Pacific Jazz CDP 7243 4 94768 2 0 [1998]
01. Introduction by Jimmy Lyons 1:18
02. 33 222 1 222 (Don Ellis) 9:51
03. Passacaglia And Fugue (Don Ellis) 6:13
04. Crete Idea (Don Ellis) -previously unissued- 6:14
05. Concerto For Trumpet (Don Ellis) 11:48
06. 27/16 (Don Ellis) -previously unissued- 6:01
07. Beat Me Daddy, 7 To The Bar (Don Ellis) -previously unissued- 8:24
08. New Nine (Don Ellis) 11:18
#01-04,06-08 September 18, 1966 at The Monterey Jazz Festival, Monterey, CA.
#05 October 8, 1966 at The Pacific Jazz Festival, Costa Mesa, CA.
Don Ellis Orchestra
Don Ellis (tp,conductor)
Glenn Stuart, Ed Warren, Alan Weight (tp) Paul Lopez (tp #2-4,6-8)
Bob Harmon (tp #05)
Dave Wells, Ron Meyers (tb) Terry Woodson (bass-tb)
Tom Scott (as,saxello,fl) Ira Schulman (as,ts,cl)
Ron Starr (ts,cl) Ruben Leon (fl,ss,as) John Magruder (bs,cl,fl,bass-cl)
Dave Mackay (org,p) Chuck Domanico, Frank De La Rosa, Ray Neapolitan (b)
Alan Estes (ds) Steve Bohannon (ds,timbales) Chino Valdes (congas,bongos)
日本盤も出ておりますが、私も一旦手放して、つい最近買い直した、3曲ほど追加された輸入ブルーノート盤をお勧めしておきます。
ちなみに「33 222 1 222」という曲の拍の数え方をインド音楽風に表記すると、
3【Ta ki ta(タキタ)】、3【Ta ki ta(タキタ)】、
2【Ta ka(タカ)】、2【Ta ka(タカ)】、2【Ta ka(タカ)】、
1【Ta(タ)】、
2【Ta ka(タカ)】、2【Ta ka(タカ)】、2【Ta ka(タカ)】
となります。
西洋風に拍を数える時は、部分毎にまとめて「6 6 1 6」と数えると分かりやすいですね。
1965年にビートルズ(The Beatles)がアルバム「Rubber Soul」を発表しましたが。
その中の曲「Norwegian Wood (This Bird Has Flown)」には、「インド楽器」のシタールが導入されている事から当時の欧米で暮らすミュージシャンの間では、「インド音楽」がブームになっていたものと推測されます。
ちなみに「インド音楽」を西洋の音楽界に広めたのが、ジョン・コルトレーン(John Coltrane)も師事した、ラヴィ・シャンカール(Ravi Shankar)なんだそうで・・・。
蛇足ですが、ジャズ歌手のノラ・ジョーンズ(Norah Jones)は、ラヴィ・シャンカール(Ravi Shankar)がかなりお年をめされてから生まれた娘さんで、本名はギータリ・ノラ・ジョーンズ・シャンカール(Geethali Norah Jones Shankar)なんだそうです。