通好みの「いぶし銀」と表現される端正かつメロディアスな演奏で、日本のジャズファンから絶大な人気を誇るピアニスト、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)。
ニックネームの「デューク」は、デューク・エリントン(Duke Ellington)が普段の優雅な振る舞いから「公爵(Duke)」と名付けられたのとは真逆で、ミュージシャンの間に伝わる「若い頃は喧嘩に負けた事がない」いう噂から、スラングの「こぶし(Duke)」に由来して「デューク・ジョーダン(Duke Jordan)」と名付けられたそうです。
さて、今回ご紹介する「Flight To Norway (SteepleChase SCCD-31543)」は、2003年に突如発売された「良質な発掘盤」です。
1978年11月10日にノルウェイ(Norway)の「Kunstsentret」で録音された「お蔵出しライブ音源」であります。
私は確か東京に用事で出かけた時、お茶の水のディスクユニオンあたりで、ジャケットがあんまり好みではないのですが、「安価なんで、とりあえず買っておくか・・・」という感じで確保した1枚だったと思います。
で、帰ってから聴いてびっくり、中々良いライブではないですか(笑)。
録音情報等の詳細情報調べてみたら、「いぶし銀」なデューク・ジョーダン(Duke Jordan)が、1978年12月16日と17日にかけ、デンマークのコペンハーゲンにある「Tivolis Koncertsal」で録音された、珍しく高揚した物凄い演奏を聴かせてくれるあの隠れ名盤「Tivoli One (SteepleChase SCS-1189)」、「Tivoli Two (SteepleChase SCS-1193)」と同じ演奏メンバーで、しかも1ヶ月前のライブではないですか・・・。
名メロディ・メーカーとしての技が光る自作曲と、ジャズ・スタンダードとのバランスも良し。
ダニー・リッチモンド(Dannie Richmond)のドラムと、ウィルバー・リトル(Wilbur Little)のベースをバックに従え、「Tivoli One」、「Tivoli Two」に迫る、やや高揚気味の演奏を全編で聴かせてくれます。
演奏曲目は、何曲かかいつまんで・・・。
3曲目の「If I Did - Would You?」は、「Flight To Denmark (SteepleChase SCS-1011)」収録の耽美的なバージョンと違い、かなり軽快にスイングしております。
1976年録音の「Flight To Japan (SteepleChase SCS-1088)」に収録された4曲目「The Bullet (Shinkansen)」も、かなり疾走感溢れる演奏を聴かせてくれます。
これまた「Flight To Denmark (SteepleChase SCS-1011)」にも収録されている12曲「On Green Dolphin Street」。
思わずウキウキしそうなイントロを新たに聴かせてくれる処は、「イントロ作りの名手」の面目躍如といった感じでございます。
Duke Jordan - Flight To Norway
SteepleChase SCCD-31543 [2003]
01. Jealous Blues (Duke Jordan) 6:22
02. Undecided Lady (Duke Jordan) 6:49
03. If I Did - Would You? (Duke Jordan) 5:25
04. The Bullet (Shinkansen) (Duke Jordan) 4:09
05. I Should Care (Sammy Cahn / Axel Stordahl / Paul Weston) 7:33
06. I Remember April (Gene DePaul / Pat Johnston / Don Raye) 5:18
07. Ornithology (Benny Harris / Charlie Parker) 5:25
08. Dancer's Call (Duke Jordan) 7:44
09. Misty (Johnny Burke / Erroll Garner) 7:38
10. On Green Dolphin Street (Bronislaw Kaper / Ned Washington) 6:10
11. My Heart Skip A Beat (Duke Jordan) 4:33
12. A Night In Tunesia (Dizzy Gillespie / Frank Paparelli) 9:52
Duke Jordan (p) Wilbur Little (b) Dannie Richmond (ds)
November 10, 1978 at Kunstsentret, Hovikodden, Norway.
つい先日ご紹介した「Barney Wilen – Barney (RCA 430.053)」で聴けるような、高揚気味のデューク・ジョーダン(Duke Jordan)のピアノがお好きな方には、是非とも聴いていただきたい1枚です。
その他、デューク・ジョーダン(Duke Jordan)トリオのアルバムについての記載記事も貼っておきますね。