「Cliff Jordan & John Gilmore - Blowing In From Chicago (Blue Note) 1957」俊英達の双頭アルバム
アルバム「Blowing In From Chicago (Blue Note BLP-1549)」は、シカゴ出身の俊英テナーサックス奏者、クリフ・ジョーダン(Cliff Jordan)とジョン・ギルモア(John Gilmore)の双頭リーダー・アルバムであり、双方とも初リーダー・アルバムなんだそうです。
彼ら二人を盛り立てるリズム隊は、ピアノのホレス・シルヴァー(Horace Silver)、ベースのカーリー・ラッセル(Curly Russell)、ドラムスのアート・ブレイキー(Art Blakey)という事は、名ライブ盤「バードランドの夜 (Blue Note BLP-1521/1522)」のリズム・セクションが、そのままリズム隊に据えられている訳ですね。
1曲目「Status Quo」はシカゴ出身のテナー・マン、ジョン・ニーリー(John Neely)の作品であり、フロント二人の熱いブローに加え、アート・ブレイキーのドラム・ソロが演奏の熱気をさらに上昇させます。
「There Will Never Be Another You」のコード進行を元に作られた曲という事で、ソロに突入すると「バードランドの夜 (Blue Note BLP-1521/1522)」のオープニング曲「Split Kick (Horace Silver)」そのまんまの演奏となっていきます。
まあリズム隊が、その時のリズム隊ですから、どう考えてもアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)が無名の新人を売り出すにあたり、意図的に有名曲を連想させるこの曲を配置したんでしょうねえ(笑)。
このあたりは、アルフレッド・ライオンの商才が垣間見えます・・・私も釣られて買った一人だし(笑)。
2曲目「Bo-Till」は、クリフ・ジョーダン(Cliff Jordan)作のラテン風味のリラックスした1曲であり、アート・ブレイキーのドラム・ロールを交えながら、余裕のソロ・リレーが続きます。
3曲目「Blue Lights」は知性派アルト奏者、ジジ・グライス(Gigi Gryce)作曲の哀愁ムード満点の曲ですが、こういった日本人好みのブルージーな曲は、何度聴いてもいいですね。
ソロ演奏時に展開される、ホレス・シルヴァー~アート・ブレイキーのコンビネーションも抜群だと思います。
4曲目Billie's Bounce」は、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)作の有名曲。
アート・ブレイキーお得意のドラム・ソロに続き、急速調で若手らしい活きのいい演奏が繰り広げられます。
5曲目「Evil Eye」は、クリフ・ジョーダン(Cliff Jordan)作曲のマイナー・ブルース。
この手のブルースは、ブルーノート(Blue Note Records)お得意の技ですね(笑)。
6曲目、オリジナル・アルバムの最後に収録された「Everywhere」は、ホレス・シルヴァー(Horace Silver)作の小粋な1曲。
この曲だけ何故か、ホレス・シルヴァー・クインテット調(笑)となりますが、凄いですね、このホレス・シルヴァーの統率力と個性は。
CD再発時に追加された7曲目「Let It Stand」は、ストップ・タイムを効果的に使った明るめな曲。
ハード・バップ時代にぴったりな曲調な気がしますが、LP時代は収録時間の関係でカットされたのでしょう。あと、他の曲にくらべ、ちょっと音質が劣化(荒い)しているような気がします・・・。
Cliff Jordan & John Gilmore - Blowing In From Chicago +1 (RVG)
Blue Note BLP-1549 / Blue Note 7243 5 42306 2 2 [2003] RVG Edition
side 1 (A)
01. Status Quo (John Neely) 5:37
02. Bo-Till (Cliff Jordan) 5:57
03. Blue Lights (Gigi Gryce) 6:38
side 2 (B)
04. Billie's Bounce (Charlie Parker) 9:35
05. Evil Eye (Cliff Jordan) 5:15
06. Everywhere (Horace Silver) 5:45
Bonus Track
07. Let It Stand (unknown) 7:42
John Gilmore (ts) Clifford Jordan (ts) Horace Silver (p) Curly Russell (b) Art Blakey (ds)
March 3, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
クリフ・ジョーダン(Cliff Jordan)はその後、ブルーノート(Blue Note Records)の1500番台でリーダーアルバム数枚を残し、またサイドメンとしても何枚かのアルバムに参加しております。
ジョン・ギルモア(John Gilmore)は、後にアート・ブレイキー(Art Blakey)のジャズ・メッセンジャーズに参加したり、サン・ラ(Sun Ra)のアーケストラで重要な役割を果たす事になりますが、自身の名前を冠したリーダー・アルバムは、これ1枚だけの様です。