「Sonny Clark Quintet (Blue Note) 1957, 1958」大名盤の同日録音含むお蔵入りアルバム
諸事情あって本国アメリカでは1980年代以降に、ようやく知名度が上がってきたものの、日本では輸入盤でしか聴けなかった1960年代当初から人気が高く、未だ人気が衰えないピアニスト、ソニー・クラーク(Sonny Clark)。
今回紹介するのは、レコード番号までは用意されたものの、当時ジャケット制作まで至らずお蔵入りしていたアルバムである「Sonny Clark Quintet (Blue Note BLP-1592)」です。
このジャケットは、日本で最初にこのアルバムを発売した「東芝EMI」さんがデザインしたものだったと記憶しております(後述の通り、別ジャケット多数あり)。
アナログ・レコードのA面に相当する2曲が、1958年01月05日に録音された日本で大人気アルバム「Sonny Clark - Cool Struttin' (Blue Note BLP-1588)」セッションの未発表曲である事も、注目されるポイントだったりします。
さて、「Sonny Clark Quintet (Blue Note BLP-1592)」のアナログ・レコードA面に相当する2曲にはソニー・クラーク(Sonny Clark)の他、トランペットのアート・ファーマー(Art Farmer)、アルト・サックスのジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)、ベースのポール・チェンバース(Paul Chambers)、ドラムスのフィリー・ジョー・ジョーンズ("Philly" Joe Jones)というメンバーで演奏されております。
1曲目「Royal Flush」は、ソニー・クラーク(Sonny Clark)の自作曲。
今聴いている音源は残念ながらRVG盤ではないので音質イマイチですが、最初の1音が聴こえてきた段階で、ああー「Sonny Clark - Cool Struttin' (Blue Note BLP-1588)」の空気感そのままだよなあ・・・とか、当たり前の感想が思い浮かんだりします。
曲は、ハード・バップ時代によくありそうな感じの若干、ハッタリの効いたもので、ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)とアート・ファーマー(Art Farmer)は、ブルージーな感じを強調しつつも、ハード・バップ風味溢れるソロを聴かせてくれます。
ソニー・クラーク(Sonny Clark)のソロも、軽めなハード・バップ的演奏のように聴こえます。
ポール・チェンバース(Paul Chambers)、ドラムスのフィリー・ジョー・ジョーンズ("Philly" Joe Jones)とソロ・リレーが続く辺りは、もろハード・バップといった感じですかね・・・。
フィリー・ジョー・ジョーンズの派手なドラム・ソロから始まるアップテンポな2曲目「Lover」も、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)のクインテットが演奏しそうな感じの疾走感溢れる1曲。
軽めなソロ・フレーズを綴っていくジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)、珍しくクリフォード・ブラウン(Clifford Brown)ばりに吹きまくるアート・ファーマー(Art Farmer)、最後にフィリー・ジョー・ジョーンズ("Philly" Joe Jones)の豪快なドラム・ソロが登場し、テーマ部に戻りますが、そいうえば、あれ、ソニー・クラークはソロ弾いてないんですね、この曲(笑)。
「Sonny Clark Quintet (Blue Note BLP-1592)」のアナログ・レコードのB面に相当する3曲は、1957年12月08日に録音されたセッションから。
演奏メンバーはソニー・クラーク(Sonny Clark)の他、テナー・サックスのクリフ・ジョーダン(Cliff Jordan)、ギターのケニー・バレル(Kenny Burrell)、ベースのポール・チェンバース(Paul Chambers)、ドラムスのピート・ラロカ(Pete La Roca)という珍しい組み合わせです。
3曲目「Minor Meeting」は、ソニー・クラーク(Sonny Clark)の自作曲。
クリフ・ジョーダン(Cliff Jordan)のテナー・サックスと、ケニー・バレル(Kenny Burrell)のギターのユニゾンでこの曲のテーマが演奏されるというのは何とも不思議な気持ちになります。やっぱりトランペット入りの2管かピアノ・トリオの方がしっくりきますねえ・・・・。
ソロはソニー・クラーク(Sonny Clark)、ケニー・バレル(Kenny Burrell)、クリフ・ジョーダン(Cliff Jordan)と続きますが、全員大人し目というか、可もなく不可もなく・・・といった感じです。
うねうねした感じのテーマ・メロディが面白い4曲目「Eastern Incident」は、ソニー・クラーク(Sonny Clark)の自作曲。
ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)風味で吹きまくるクリフ・ジョーダン(Cliff Jordan)、淡々と滋味あるフレーズを綴るケニー・バレル(Kenny Burrell)、フレーズを選びつつも、だんだんファンキーに盛り上げていくソニー・クラーク(Sonny Clark)、ゆったり安定したベース・ソロを聴かせてくれるポール・チェンバース(Paul Chambers)と、このトラックは比較的出来がいいですね。
アップテンポで演奏される5曲目「Little Sonny」は、ソニー・クラーク(Sonny Clark)の自作曲であり、演奏メンバー全員が、活き活きとした演奏を聴かせてくれます。
かなりノリの良いケニー・バレル(Kenny Burrell)、高速フレーズを駆使しつつ何故か、バルネ・ウィラン(Barney Wilen)っぱい音色とフレーズを連発するクリフ・ジョーダン(Cliff Jordan)、快調そのもののソニー・クラーク(Sonny Clark)、短いながらもドラム・ソロでようやく登場するピート・ラロカ(Pete La Roca)と、中々聴きこたえがある1曲であります。
ちなみにこのアルバムは「Sonny Clark – Cool Struttin' Vol. 2 (Blue Note K18P-9279)」、
「Sonny Clark – Quintets (Blue Note BNJ-61016)」など、ジャケットやタイトルを変更して発売いたりしますので、中古屋さんでアナログ・レコードを物色するの際の参考にして下さいませ。
Sonny Clark - Sonny Clark Quintet (not released)
Blue Note BLP-1592 (not released) / LNJ-70093
side 1 (A)
01. Royal Flush (Sonny Clark) 9:01
02. Lover (Rodgers & Hart) 7:02
side 2 (B)
03. Minor Meeting (Sonny Clark) 6:52
04. Eastern Incident (Sonny Clark) 8:12
05. Little Sonny (Sonny Clark) 6:33
#01,02 January 5, 1958 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Art Farmer (tp) Jackie McLean (as) Sonny Clark (p) Paul Chambers (b)
"Philly" Joe Jones (ds)
#03-05 December 8, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Cliff Jordan (ts) Sonny Clark (p) Kenny Burrell (g) Paul Chambers (b) Pete La Roca (ds)
何故か「Cool Struttin'」が追加収録されたCDも発売されております。
なお、1957年12月08日に録音されたセッションは、私も所有している2000年に発売された「Blue Note Connoisseur Series」の1枚、「Sonny Clark – My Conception (Blue Note 7243 5 22674 2 2)」にも、ボーナストラック扱いで収録されております。
同タイトルの日本盤(TOCJ-66079)には別セッションの6曲のみ収録されており、1957年12月08日録音のセッションは、「Sonny Clark Quintet (Blue Note BLP-1592)」とのカブりを危惧した為か、見事にカットされておりますのでご注意を。